第1章 愛と出逢い、 6
目が覚めた。目の前には見たこともない景色。地面が、果てしなく続いている。上を見上げると、空もまた、果てしなく続いている。平らな世界。
「ここは……?」
おそらく、練習したからではない。咄嗟に出た一言だった。
状況はなんとなくわかった。幾度となく脳内シュミレーションしてきた状況が目の前に起こっている。
しかし、興奮よりも驚きと困惑が勝る。
異世界だ。ついにやった。
ほおをつねってみる。痛い。確かに痛い。夢じゃない。夢にまで見た異世界転生だ。
隣を見ると、アイがいる。俺の愛する、アイが。
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【研究成果報告15】
〈4月6日?〉
ついに、異世界に転生した。
異世界転生を予期せず本物の死の恐怖を感じ、誰かを愛し、誰かを守りたいと、純粋に思ったからだろう。
しかし、ここで私の研究が終わったわけではない。
むしろ、ようやくスタートラインに立ったと言えよう。
異世界転生を果たした、私の次なる目標は、
『異世界からの異世界転生。あるいは転移。』
ーーそして、いずれは、元の世界に戻る。
誰も成し遂げてないことをやってやろう。
最後に。
私は初めて人を好きになった。こんな気持ちは生まれて初めてだ。一緒に恐怖を体感した、いわゆる吊り橋効果なんてものではない。
心から、アイが好きだ。
ーー春。
出逢いの季節に、
俺は、
アイと出逢い、
愛に惹かれ、
ーー恋に、落ちた。
第1章 愛と出逢い、 完
物語はまだまだ続きます。むしろここから本番です。
これからもよろしくお願いします。