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Side1 I was probably Ai

 そこからの林さんの話は何も頭に入ってこなかった。


 ずっと、頭の中で考えをめぐらしていた。


 俺はどうすればいい? 何をするのが正解だ? 


 第一の選択肢:隣の俺に全て話す

ーーだめだ。そんなことをして、こいつが、俺が信じるはずがない。第一、話したところで何が変わる? ここにずっと居続けるのか? ゲーム以外の転生方法があるのか? それは神に許されるのか?


 第二の選択肢:ゲーム世界に転移する

ーーこれもだめだ。こんなことしたら神の思うツボだ。また、繰り返してしまう。いつまでもこんなつまらない茶番が展開される。


 第三の選択肢:自殺

ーーもちろんだめだ。神がつまらないと判断すれば消滅してしまう。


 究極の選択肢:俺が隣の俺を殺す

ーーこれが一番可能性がある。俺に俺が殺される。前世に殺される。これ以上ないくらい物語になってるじゃんかよ。しかし、裏を返せば自殺と同じだ。「自分で自分を殺す」という行為において自殺だ。それは神の意向に沿っているか?



 結局さぁ、神が全てじゃん。俺がここでどんな行動を取ろうと、神の意向通りなら輪廻転生。神の意向に背けば消滅。そんなのってアリかよ?



 俺のとるべき最善策は、

「神が飽きるまで、神の意向に沿う」

ということか。


 はぁ。俺はちっぽけで無力だ。横で嬉々としている俺もまた、無力だ。

 物語の人間の行動は全て、神によって操作されていたのか。

 

 突然の死も、異世界転生も、チートも、ハーレムも、追放者も、レベル1も、レベル99も、勇者も、魔王も、姫も、お嬢様も、チャラ男も、ゲーマーも、受付嬢も、老人も、親友も、純粋なヒロインも、冴えない主人公も、あるいは女神までもが、

全て神様の手のひらの上か。


ーーこれが世界の現実。

ーーこれが物語の現実。




 隣の役立たずな俺に聞いてみた。もう決まりきったセリフ。何度も繰り返されて来たセリフ。



「…ねぇ。キミは私のことなに1つ覚えてないの……?」


「…うん。なんかごめんね」


「…そう…。」



 やっぱり。答えを知っていても、聞かずにはいられなかった。



 そっと目を閉じた。




ーーそして俺は夢を見た。

 俺が女神と楽しげに話している。そして場面が変わって、変な街でじゃんけんをしている。また、ある場面では誰もいない世界で、老人と二人で星を見ている。また別の場面では、壊されて荒廃した世界を……


 

 こんなことになったらなんて素敵なことだろう。いろんな世界に行けて、いろんな研究ができる、そんな夢みたいな世界があったら……





 そこで目が覚めた。

 ずっと見ていたかった夢。ずっと夢見ていた世界。所詮それは夢でしかない。想像は勝手だ。もしや、こんな夢を見ることすら神の思惑なのか? 




〜〜



 その日は隣の俺に言われるがまま、ゲームのある街まで歩いた。

 道中、彼と何も話すことはなかった。何も話す事がなかったのだ。


 

 街に着いて、ゲームの所有者を見つけ、ラボに連れていかれた。



 そしてスマホのくだりになる。このスマホがどういう役割を果たすかは分かっていた。

 しかし、迷いはあった。例えばここでスマホを渡さずに転移したら? ゲーム世界でアイの消滅を知り、レベル上げを粗末にして負けて、転生して、地球に行く。

ーーそこで自分が何者か分からないという恐怖を覚える。同時に降り注ぐのは、俺が二人いるという矛盾が生み出す疎外感。


 


 もう嫌だ。考えるのに疲れた。俺がいくら頭を巡らしたところで、運命は変わらないのかもしれない。そうだよ、何で俺だけがこんなに背負い込まなくちゃいけないんだよ。悪いのは俺か? ここでループを止められなかったとして、悪いのはこの俺か? 

 だったら、次の俺に考えてもらおう。



 早く行こう。こんなことに悩むくらいなら、早く俺は消滅したい。



 へっ。俺は悪くない。悪いのはいつかの俺だ。この俺じゃない。


 そしてなにより神が悪い。こんな茶番劇作りやがって。よほど暇人なのか? もっと、面白い物語があるだろう? みんなをワクワクさせる、見た人が笑顔になれる、そんな話を作れよ。




 さあ、隣の俺よ。神を止めろとは言わない。そんなことがお前にできないのは分かってる。お前は俺だから。俺はお前だから。

 

 せいぜい、悩んでくれ。俺より1分でも多く頭を使ってくれ。そうすれば微小に何かが変わるはずだ。その塵がつもって山となる。俺はもう疲れた。次はお前の番だ。


 これからのお前の人生はお前が今想像してるほど甘くない。まあ、俺も耐えれたしお前も大丈夫だろ。



 最後に、お前へのエールを込めて、僅かながら希望をあげるよ。


 それはお前が欲しかった言葉。俺があの時心の奥底で欲しがった言葉。俺なら知っている。渾身のあざとさを見せてやるよ。





「ウミカワショウゴ、お前が好きだ」





これが、この海川翔悟の人生2回目の告白。









Side1 I was probably Ai 完






サイドストーリー、アイ視点 完です。

結局主人公視点っていうね(*´-`)



ぜひお時間のある時に、いろいろ読み返していただけたらと思います。

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