表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/64

Side1 I am Ai

アイの視点からになります^ ^












ーーやっと、見つけた。



 藍上大学。その日は入学説明会らしかった。

新入生に紛れて、侵入成功。




ーーやっと、見つけた。




 時計の下で掲げられた看板が見える。看板には、


『こちら異世界転生研究所

〜柿國キャンパス 理学部棟3階〜』



と書かれている。




 間違いない、あそこにいる人だ。話しかけに行こうとしたが、そこに辿り着くまでに、いろんなサークルの勧誘に邪魔される。


「うちのミステリーサークルに興味ないですかー?」


「君可愛いね〜! ぜひ、うちのしりとりサークルへ!」


「甲殻類サークルどうですカニー! エビやカニを食べられますよー!」



 面白そうなサークルばかりだったが、丁寧に断っていく。



 時計の鐘が鳴る。12時だ。



 相変わらずの雑踏。看板を見失った。

 なんとか時計の下まで辿り着いたときには、

もうそこに人の姿はなかった。帰ってしまったのだろうか。看板が見えていただけで、その人の顔は見れなかった。


「……柿國キャンパス……」



 どこにあるのだろう。スマホを取り出し、検索しようとしたら充電切れ。

 この世界に来てから1日が経つ。昨日は公園で野宿。いろいろ調べたりしてたから、あっというまに充電が切れてしまった。


 とりあえずどこかでお昼ご飯を食べよう。幸い、ポケットにはこの世界で使えるお金が入っていた。支給品のようなものだろうか。


 食堂に行って、とんかつ定食を注文。なんだろう。懐かしい味だ。味噌汁まで飲み干し、完食。


 周りは勧誘組で混み始めた。みんな友人とご飯を食べている。




ーー私は一人。この世界に私を知る者はいない。


 これからどうしよう。支給品(?)として、この辺りのバスの定期券はもらっていたので、自由に動き回れる。

 まずは、当面のお金と寝泊まりするところを

どうにかしなくてはいけない。異世界生活ではスタートが大事だ。できれば協力者も見つけておきたい。私に備わった勘がそう言っている。



 時刻は午後1時30分。食堂を出て、バスを探す。

 それにしても、この大学、広い。見取り図のようなものをもらっておけばよかった。



 やっとの思いでバスを見つけたとき、ポケットに財布がないことに気づいた。


「落としたとしたら食堂か」


 探しながら食堂まで戻る。道中には落ちておらず、自分の座っていた席を見ても、財布は置いていない。そこで食堂の係員に聞いてみた。


「あー! 届いてますよ! これですか?」


「……そうです。ありがとうございます」


 なんて、優しい世界なんだろう。現金が落ちてるってのに、拾った人は、中身に手をつけたりせず、届け出るなんて。



 食堂を出て、もう一度バス停留所へ向かう。

いつのまにか時刻午後3時45分。またあそこまで行かなければいけないのか。今日だけでかなりの距離を歩き回っている。


 なんとかバス停に着いたものの、どのバスに乗ればいいかわからない。近くにいる学生に聞くのが手っ取り早いか。でも、話しかけるの苦手なんだよなー。話しやすそうな人にしよう。


 周りを見ると、ちょっとチャラそうだけど、気さくそうな人がいた。


「……あの…異世界転生研究所に行きたいんだけど、柿國キャンパスはどこ?」


「ん? あぁ、こっちじゃなくて反対側のバス停だぜー。てか、スマホで調べりゃ出てくると思うぜ?」


「……充電切れた」


「それはお気の毒に。俺のモバイルバッテリー貸してやろうか?」


 チャラ男が取り出したのは持ち運び式充電機らしきもの。



「……いいの?」


「おぅよ。また今度返してくれ」


「……ありがとう」



 礼をして立ち去る。



「おーい!……行っちまったよ……。てか、研究所に何の用だろう? どことなくあいつに似てたし、妹かなんかか?」




〜〜〜





 柿國キャンパス行きのバスを見つけ、乗車。

借りたモバイルバッテリーと接続し、携帯を充電した。

 やはりいい世界だ。困った人に手を差し伸べてくれる。この調子なら、きっと私の記憶を取り戻す手伝いをしてくれる人も見つかりそうだ。



 そして、午後4時ごろ。柿國キャンパス理学部棟の3階に上がると、大きな立て札で『こちら異世界転生研究所』とある。


 恐る恐るノックした。




「どうぞー」


 なんだか、馴染みがあるようなないような声。



 そして恐る恐る中に入って、彼を見た瞬間、


ーー吐き気がした。

別に彼の容姿が悪いからではない。昼に食べたとんかつの消化が悪かったからでもない。胸が締め付けられる。

 これが恋? それも違う。

 言うなれば、悪口を言われた時のようななんとも言えない気持ち。結局言い表せられない。


 そうだ。この世界で目を覚ました時と同じ違和感、疎外感。それが一層強くなった感じだ。

 うみかわしょうご。私が好きだったらしい? 

私を好きだったらしい? 君は何者なの?



 困惑する彼に状況を説明し、その日は帰らされたが、あの様子だと、何か知っていそうだ。明日に期待しよう。








プロローグからかっこつけていくスタイル。読み返してみると論理性がないですね。まあ、言葉遊びの一環として捉えていただければと思います。


さて、メインストーリーの答え合わせ的な回になります。ぜひ、メインストーリーを読み返していただけると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ