Another2 全てが平等な"ゲーム"で決まる世界 4
広場には既に何人か集まっていた。その中に、アリアさんもいた。側には執事さんも控えている。
「おはようございます」
「あ、海川さん、おはようございます。もう受付は済まされましたか?」
「受付? まだですけど」
「それでしたら、先に済ませたほうがいいですよ。混雑いたしますから」
「あ、はい」
受付は数十カ所あった。たくさんの人が来るのだし、これだけあっても混雑するだろう。幸い、今は空いている。
受付のお姉さんに名前と住所を告げた。ボディーチェックもされた。さすがは国を挙げての大会。チェックは入念だ。お姉さんに全身を入念に触られるのも悪くない。
「大丈夫のようですね、ご協力感謝します。それでは、こちらをお着けください」
渡されたのは腕時計のようなもの。ただ、表示されているのは時間ではなかった。
「そちらは、じゃんけん用デバイスとなっております。対戦相手とデバイスとリンクさせ、センサーによって出した手を記録していきます」
なるほど、それで勝敗が本部に伝わるのか。この大人数の対戦を審判はいちいち見ていることはできない。なかなかハイテクだ。
「そのデバイスは、大会が終わるまでは外さないようにお願いします。防水ですのでお風呂に入る時も着けていてかまいません」
「わかりました」
「あと、詳しい操作方法などはヘルプをご覧ください」
「はい、ありがとうございます」
これでエントリー完了か。これから、戦いが始まる。
「では、早速ですが」
戻ろうとした俺を、受付のお姉さんは引き止めた。
「エントリーテストを行います。私と"ゲーム"をしましょう」
「はい?」
「第一次予選です。私に勝ってはじめてエントリー完了となります」
アリアさんの言う第一次予選ってこれか。ここで先にふるいにかけるというわけか。
「もし、負けたら?」
「もちろん失格となります」
「なかなか厳しいですね」
「私に勝てないようでは、この先も勝っていけませんよ?」
じゃんけんなんて運だから。と、思ったが、ここで勝てないような不運の持ち主は、きっとじゃんけんの神様から見離される。じゃんけんの神様って誰だよ。
「さあ! ここを通りたくば私を倒してから行け!!」
「ノリノリですね……」
デバイスをリンクさせ、
ーーそして、"ゲーム"が、始まる。
「いきますよー! グーの神よ! チョキの神よ! パーの神よ! ここに絶対の平等を宣誓す! 我に力を与え給え!」
俺もタイミングはもうわかっている。
「じゃーんけーん……」
「ポン!!」
受付のお姉さん、パー。
俺はチョキを出していた。
「おめでとうございます。これでエントリー完了です」
「ありがとうございます」
「ふっ、しかし私は四天王の中でも最弱……。これから厳しい戦いが君を待っている! 幸運を祈るよ!」
なんで、そんなノリノリなんだ……この人は俺以外にもたくさんの人の受付をしなくてはいけない。大変そうだな。
アリアさんの所に戻った。
「あ、突破されたんですね。おめでとうございます」
「びっくりしましたよー。受付でじゃんけんなんて。言ってくれればよかったのに」
「サプライズです!」
エヘヘと笑うアリアさん。くっ、ちょっと可愛いと思ってしまった。年上の趣味はないと思っていたが、受付のお姉さんといい、なかなかイイ。
おっと、見とれていてはいけない。
「かなりの人が受付に負けて帰っていってますね」
「はい、3分の1くらいに減ってしまうのでしょう」
しかし、時間がかかっている。受付前は列ができはじめていた。この調子だと受付だけで、午前中は終わりそうだ。
「時間ありそうなんで、ちょっと街をぶらついてきます」
「あ、ではわたくしもご一緒します。いいわよね、田中?」
一瞬ためらったが、無言で頷く執事さん。別に過保護というわけではないらしい。信頼関係ができた、いいご家庭じゃないか。
「それでは、昨日の街案内の続きと参りましょう」
このままだと、1話に1回は
じゃんけんシーンが出てきそう……
仕方ないねそういう世界だから。
もう少しお付き合いください^ ^




