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第二話 即海

今回のリクエストは――殺人事件が起こり、即海のそばから始めて、刑事がとんちんかんな推理を発表して、真犯人がそれにツッコミを入れて、結局真犯人逮捕されるやつ……という具体的なものでした。


出来の方はあれですが、この企画の試みを少しでも面白がって頂ければ嬉しいです。

「殺ってしまった……」

「彼氏の手料理がまずかったからつい、カッとなって殺しちゃったわ……」


 私は思った。死体を処分しないと。考えた末、細切れにして海に捨てる事にした。


 2、3日すると刑事が訪ねてきた。

「田中さんの行方がわからなくなっているのですが、何か心当たりはありますか?」

「いえ」


 私が疑われているのだろうか。不安になった私は翌朝、死体を捨てた現場へ見落としがないか見に行った。


 死体を捨てた『即海』に立ち思う。風が吹き付ける。大丈夫。昨日は雨が降ったし、証拠は流れたはず。


 後ろで声がした。

「お嬢さん、早まっては駄目だ!」


「え?」

 振り向くと昨日の刑事がいた。――もう調べがついたのだろうか……。私は観念した。自首しよう。そうすれば罪が軽くなるかもしれない。


「私は田中さんを殺しました」

 すると、刑事は言った。

「それはわかっています。しかしあなたには、彼を殺さなければならない理由があった」


「は?」

 この人は何を言っているのだろう。私は疑問に思った。



「――僕は先日あなたを始めて見た時、思いました。世の中にこれほど美しい人がいるのかと……。その人の性格というのは、目を見ればわかります。あなたは綺麗な目をしている」


 私は思った。一体この人は何を言っているのだろう。


「しかし、美しいというのも時に罪ですな。男というのは美しいものを手にすると、手離したくなくなる。きっと彼の束縛もすごかったはずだ」


 私は言った。

「い、いえ別に……」


 しかし刑事は続ける。

「そして彼はあなたの行動や、服装にいたるまで口をだしてきたに違いない。そして言う事を聞かないと、殴る蹴るの暴力。優しいあなたは耐えた。しかし耐えに耐えて、ある日あなたは我慢が出来なくなってしまった」


 私は思う。この人は頭大丈夫だろうか。


 さらに刑事は言う。

「しかし僕は! 僕なら、あなたを悲しませるような事はしない!」


 こ、こいつヤバい。私は言った。

「私がやったんです! 死体も細切れにして海に捨てました」


「あれだけの事をされておきながら、潔く罪を認めるとは……。僕は待ちます。あなたが出てくるのを何年も。そして一生あなたを守ります。僕は家庭というものに憧れています。そうだ、子供は3人がいい……僕と愛ある家庭を――」


 私は思わず叫んだ。

「そんな事、されてねーから!!」


 すると刑事は言った。

「な、何を言ってるんです? それに、その言葉遣いは……。僕はわかっています。あなたが悪い人じゃないという事は!」


「いやいや、カッとなって殺っただけだから!」


「う、嘘だっ!!」


「嘘じゃねーし!」


「嘘だぁーーっ!!」



 こうして私は逮捕された。


 即海には泣き崩れる男の声が、いつまでも木霊していた――。

二件も感想を頂き、そして小説を書く事が出来て大変嬉しいです!

今回のお題は勉強にもなりました。

読んで頂きありがとうございました!

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