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25話 先輩と後輩

 目的地はルーゲルパレーズ。

 その道中をエレイスト獣人たちと共に過ごしていた。

 16台もの馬車を引き連れての移動だったが、アイテムボックスのおかげで荷物もほとんどない。

 おかげで旅は順調に進んでいる。

 そして俺は運転席で慣れた操縦をこなしていた。

 そんな中、背後からプロネアが話しかけてくる。


「あと1週間くらいで着きそうですね」

「そうだな」


 俺達の会話に参加するのは、隣に座っていたクランセラ。


「今度は治安がいい街だといいですの」

「プロネア、ルーゲルパレーズの治安はどうなんだ」

「大金を扱う街ですからね。警備や治安にはかなり気を使われてますよ」

「それなら安心ですの!」


 クランセラはプロネアの答えに安心した様子だった。

 そんな彼女を茶化すようにプロネアが話しかける。 


「でも悪いことして見つかったら、ひどいことされますよ」

「それはプロネアさんだけ心配してればいいですの!」


 確かにクランセラは悪いことしないだろうな。

 誰かにそそのかされなければだけど。

 彼女はしっかり守ってあげよう。


 そう思いつつも今はもう一人、クランセラの他にも保護したい女の子がいるんだよね。


 俺は馬車の荷台を振り返る。

 するとそこには一人で座り込んでいるクーシアの姿があった。


 いつものように馬車の隅でふさぎ込んでるか。

 クランセラやティーナもよく話しかけに行くんだけどな……

 だがそのほとんどが無視されて終わるのだ。


 もちろん俺もまともに会話が成立したことはない。

 

 何か一言でも話して貰いたいよね。

 とはいえあまり強引に迫るのもよくないし、時間をかけるしかないか。


 そう思いながらも見ていると、ティーナとアリルが彼女の隣に座り込んだ。

 しかしすぐにアリルが立ち上がりこちらへと向かってくる。

 どうしたんだろう。


「クトリール、あの子喋りかけても絶対に無視してくるの!」


 そう言いながら彼女は甘えるように膝へと座ってきた。

 すると甘い匂いがしてくる。

 つまみ食いをしたに違いない。


「アリル、クーシアは今落ち込んでるんだよ。だから優しく話しかけてあげてね」

「でも喋ってくれないとつまらないの」

「そのうち喋ってくれるよ。だから一緒にもう一度お話ししに行こうか」


 彼女の頭を撫でながら、クランセラに話しかける。


「クランセラ、ちょっと後ろに行きたいから運転を頼めるか」

「大丈夫ですわ!」

「助かるよ、それじゃあ行ってくる」

「クトリールさんなら大丈夫ですの!」

「うん、ありがとうクランセラ」


 俺はクランセラにお礼を言いながら手綱を渡すと、操縦を任せた。


「それじゃあアリル、行くよ」

「わかったの。クトリールがそう言うならもう一回、話してみるの!」


 そうしてアリルを抱っこしながら後ろへ下がり、クーシアの元へと向かう。   

 するとティーナが俺達に気が付いたようだ。

 

「あっ、クトリールさん。アリルも戻ってきたのね」

「俺たちも一緒に話したいんだけど、ここに座っていいよね」


 そう言って腰をかける。

 アリルは膝に乗せた。

 そしてティーナもこちらに身を寄せてきた。


 それをちらりと見たクーシアは、露骨に不機嫌そうな表情を見せた。

 別に自慢してるわけではないのだが……

 二人のことを気にしつつも、離れてとは言えないのでそのまま話しかける。


「レードネイテスを出て一週間くらいか。もうすぐ次の街に着くんだよ」

「…………」

「馬車の中にずっといると辛いよね、次の休憩は外に出てみない」

「…………」


 相変わらず返事を返してくれないか。

 まあ話しかけていけば、そのうち一回くらいは返事してくれるかもね。

 クーシアとは気長にいくか。

 そんなふうに長期作戦を考えていると、アリルが文句を言いだした。 

 

「ほら、やっぱり喋らないの。クーシアはずっと馬車にいるだけなの。仕事もしないの」


 アリルはクーシアにおかんむりのようだ。

 優しくしてあげてとは言ったものの、やはり子供は素直なことしか言えないか。

 あとでアリルにも注意な。

 そう考えていると、隣にいたティーナが声を荒げる。

 彼女はそこまで甘く教育するつもりはないようだった。


「そんなこと言ったらダメでしょ! ちゃんと人の気持ちを考えなさい!」


 ティーナはそう言って、きつくアリルを叱った。

 しかし彼女は言い返す。


「みんな言ってるの。新しい子は何もしないの。ごはん作るときも手伝わないの。ずるい子なの!」


 アリルは自分の主張は正しいと、そう言い切るように対抗していた。

 子供だからそう思っても仕方ないかな、と思うところはある。

 ただティーナはその言葉にさらに怒りを強くした。


「そんなふうに言ったらダメって言ってるでしょ! アリルは今日の当番を増やします!」 

「何で私だけなの! みんな言ってるの!」

「アリルがいけないんです!」

「うぅ、く……クトリールぅ……」


 いよいよアリルは泣き出しそうになり、俺に助けを求めてきた。

 しかし今回は助けてあげるとアリルの教育によくない。

 だから俺はアリルに優しく言い含めようとした。


 だがそのとき、馬車が急に止まり、荷台が大きく揺さぶられた。

 そのせいでティーナがバランスを崩してしまう。

 それを抱き寄せると、すぐに前方から声をかけられる。


「クトリールさん、モンスターですの!」


 運転席にはプロネアもいたよな。

 なら彼女が魔法で一掃してくれるだろう。

 実際外からは爆発音が聞こえてくる。

 すぐに終わるだろうさ。

 そんなふうに余裕ぶっていると、クランセラが慌てたように話しかけてくる。


「魔法が効きませんの、プロネアさんじゃ無理ですの!」


 それはまずいな。

 いくら相手がザコモンスターでも相性が悪すぎる。


「分かった。すぐに行く。シェルラとナユハも頼む」

「ふむ。魔法だけしか使えない精霊とは違うのじゃ」

「……うん」


 物理攻撃に強い二人を連れて、馬車を降りようとした。

 ところがもう一人。

 クーシアも立ち上がった。


「もしかして、クーシアも戦ってくれるのか」


 不機嫌そうに顔を逸らされたが、その通りらしい。

 アリルに言われたことを気にしてたのだろうか。

 ともかく一緒に戦ってくれるのは嬉しい。


「ありがとうクーシア、それじゃあ行こう」 


 そうして俺たちはモンスターが待ち受ける馬車の外に出た。

 

 その途端、焼けるような熱気に晒される。

 熱いな……

 相手は炎でも使ってくるのか。

 地面まで融解してるぞ。


 一見そんな風には見えない相手だが、どうだろうな。

 すぐにアナライズかける。

 

 巨大な岩で作られたような人型のモンスター。

 群れをなしており数は多いが、魔法が効かないだけで炎攻撃なんて持ってないようだ。

 ならこの溶けた地面はプロネアの仕業か。

 しかしいくらプロネアでもこんな馬車に影響のでる戦い方をするかな。


 そう疑問に思ったとき、群れの奥から爆発火炎がこちらに向かってくる。


 ちょっとやばいぞ。

 馬車が巻き込まれてしまう。


 危機を感じた瞬間、その爆発火炎は上空から打ち下ろされた風により消失した。

 そして声がかけられる。


「クトリール様。あの一番奥にいるモンスター、ユニークスキル持ちですよ」


 上空にいたプロネアはそう告げると、一匹のモンスターに魔法を打ち放った。

 おそらく目印代わりなのだろう。 

 俺はその魔法を受けたモンスターに向けて、アナライズを使用する。


 チェインドエクスプロードか――


 そいつが持っていたユニークスキルが判明した。

 この世界に来てから始めて見る直接的な攻撃スキルだ。

 それは使用者が止めようとしない限り、永延に爆発が連鎖し続けるというもの。

 是非とも欲しい。

 それを確認したところでプロネアが告げる。


「クトリール様、早く倒さないと馬車が危険です」

「分かった。プロネアはそのまま援護してくれ」


 そう答えるとワールドフレームを起動させる。

 

 エディション/アサシネイト――

 

 俺はモンスターが放つ爆発火炎を躱しながら、その巨体の足元へと駆け走る。

 そして小太刀をその足に突き刺した。

 それを介してそのまま相手のデータにアクセスして、スキルを転送。

 すぐに取り込んだスキルを発動させる。


「チェインドエクスプロード!」


 たった今取り込んだスキルだが、すぐに使わせてもらったぞ。

 なにせ初めての攻撃スキルだからな。


 そうして岩が連なり出来たその巨体は、あっけなく内側からの連鎖爆発により崩壊していった。

 

 さすがに強い!

 魔人の技として封印されていただけのことはある。

 まあゲームでの設定の話ではあるが。

 

 ともあれこのスキル。

 もっと使ってみたい。

 よし、残りのモンスターもこれで倒してやろう。


 勢いづいた俺は他のモンスターたちに対しても同じ攻撃を仕掛けていく。

 剣を刺して連鎖爆発。

 それだけで相手はバラバラに崩れるのだから面白い。

 クランセラからコピーした”無垢の剣太刀”のおかげで、小太刀を突き刺すのも容易いのだ。

 そうしてどんどん連鎖爆発を見舞っていくと、すぐにモンスターは全滅してしまった。


 もっと戦いたかったが、相手がいなくなってしまった。

 他のメンバーも頑張ってたからな。

 でも今回は俺だってそこそこ倒したはずだぞ。

 そんなふうに期待しながら、システムメニューを開く。

 すると成績という画面が映し出された。

 

 

 クトリール:36体

 プロネア:0体

 クランセラ:0体

 シェルラ:145体

 ナユハ:26体

 クーシア:4体



 やはりザコモンスターが相手ならシェルラが一番か。

 彼女は単純に物量で攻めてくる相手には、かなり相性がいいからな。

 さすが強キャラ性能である。


 プロネアは援護に回っていたし、クランセラは馬車を守る役目だった。


 ナユハも頑張っていたけど、彼女はどちらかというと対人の方が強い。

 シェルラとは正反対と言えるだろう。

 

 クーシアは4体か。

 

 彼女のことは戦力を見込んで連れてきたわけじゃない。

 それでもこのギルドにいるなら勝手に経験値が入るからな、そのうち自然と強くなるだろ。

 そんなことを考えながらクーシアを見てみると、彼女はこちらを睨んでいた。


「ど、どうかしたの」


 問いかけるがクーシアは無言でこちらに詰め寄ってくる。

 そして近すぎるくらい距離で話しかけられた。


「私だってそれなりに強い自信はあったんだよ。でもこの戦力は普通じゃない。Sランク冒険者とかリデスの特位階級とも遜色のない人が複数いるなんて、ここは何のギルドなのよ!」

「どういうギルドと言われても……」


 個人的にはデータを回収するためのギルドなのだが、今はクランセラやシェルラ、それにメルナたちもいるしそれだけじゃないような気もするが……

 だからと言ってどういうギルドでもないよな。

 そもそも名前すら付けてないようなギルドなのだ。

 この質問は答えづらかった。


「とりあえず旅をしながら、世界中を巡るギルドかな……」


 なんとも漠然とした答えになってしまった。

 しかし俺自身もこのギルドが何なのか分からないので仕方ない。

 ただその答えは彼女を安心させるようなものだったらしい。

 クーシアは可愛い顔を緩ませた。

 

「そうなんだ……これだけの戦力なのに、戦争ギルドとか傭兵ギルドとかじゃないんだね」


 何だよそれ。

 そんな恐ろしいギルドとかもあるのかよ。


「別に戦うためのギルドじゃないからね。他のメンバーを見たら分かる通り子供や女の子も多いだろ。このギルドは戦闘が得意なメンバーの方が少ないくらいだからね」


 クーシアはそれを聞いて馬車の方を見つめていた。

 馬車では戦いを終えたメンバーが、他のみんなから声を掛けられていた。

 

「ナユハお姉ちゃんありがとう、かっこよかったよ」

「……うん。私は戦うのが仕事だから」

「私も戦いたいー」

「まだ危ないからダメ……それより、今日のご飯に期待する……」

「大丈夫だよ、ちゃんと15人前用意しとくからね!」


 そんな会話が聞こえてきた。


「このギルドは戦えなくてもみんな扱いは同じなの?」

「そうだよ。ギルドではそれぞれ役割があるからね」

「だからあの子も怒ってたんだ」


 アリルのことだろう。

 あれはアリルが悪いけどな。


「クーシアはまだ無理しなくてもいいよ。まだ辛いだろうし」

「誘拐してきたくせに気を使うんだ」

「あれはあのまま放っておいたら、悪い人にひどいことされそうだったからだぞ」

「ふーん。そんなこと言って、キミもそういうことするつもりだったんじゃないの」

「そんなつもりはない」


 クーシアは赤い髪が綺麗な美少女なので、もちろん可愛い。

 ただあのときはそういう感情抜きで助けたいと思っていたからな。

 しかしクーシアは俺の答えを怪しむように、上目使いで話しかけてくる。

 

「あれー、そうなんだ。可愛い子をいっぱい囲ってるようだし、本当かなー」

「もちろんだ」

「私みたいな美少女を前にして、本当にいいのー」


 そう言いながら彼女はスカートを手でつかみ、パタパタと挑発するように煽ってくる。

 惜しいところで見えない。

 この子……

 ギリギリ見えないラインを完璧に分かっててやっているぞ。


「あれ、見たいの。それなら土下座すれば見えるんじゃないかなー」

「そんなことをするつもりはない」

「あはは、他の子の前だから情けない姿は嫌なのかな。だったら今夜、こっそりでもいいよ」

「俺はそんなつもりでクーシアを連れてきたわけじゃない」

「あれ、意外と奥手さんなの。もしかして勇気が出ないのかな。だったら応援してあげようか。ほらほら、がんばれって言ってあげようか、そういうのも得意なんだよ」


 クーシアは怪しい目つきでそう言ってきた。

 とても誘いに乗ってみたいが、それはお互いのためによくないだろう。

 もしこの誘いに乗ると、彼女をダメにしてしまいそうな気がする。

 クーシアのこれはまだ空元気というのが、薄々分かってしまうのだ。

 彼女を完全に立ち直らせるにはそういう行為よりも、純粋な愛情の方が必要だろう。


「応援は十分間に合ってるよ。むしろ俺の方がクーシアを応援したい」

「キミっていつもそんな風に女の子落としてるの」

「そんなつもりじゃない」

「ふーん……」


 彼女は疑わしげな視線を向けてきたが、その後すぐに表情をまじめなものへと変えた。


「きっとキミは私なんか放っておいてもよかったんだろうね。このギルドには可愛い女の子なんてたくさんいるし、私より強い人も多いから。それでも強引に私の手を取ってくれた。裏切られて帰る場所もなくなって自暴自棄になっていた私をここに連れて来てくれたよね。クトリールがそんな人だからこのギルドはみんな笑顔でいられるんだね。戦えるとか関係なくみんな幸せそう」


 シェルラにも似たようなことを言われたな。

 彼女も帰る場所をなくした女の子だし、二人とも何か思うところがあるのだろう。

 

「だから私もこのギルドで働きたい。リデスの仕事はもう受けないつもりだよ。どうせ受けたところで邪魔されるだろうからね。そういうわけでよろしく!」

「それは歓迎だけど、俺たちのギルドはリデスに加入してるぞ」

「そうなの?」


 俺はリデスの証を取り出すと、それを彼女に見せた。

 

「ほらな」

「えっ、この刻印ってレネジェーガ卿のものじゃん!」


 刻印ってそんなのあったっけ。

 リデスの証をよく見てみると、確かに何か模様が描かれていた。


「レネジェーガって有名なのか」

「そりゃ有名だよ、リデスの幹部だもん。証の色も私のと違うでしょ」

「色が違うと何かあるのか」

「優遇度合とかね、この証なら最高待遇は間違いないよ」

「そうなんだ」

「うん、この色と刻印はレネジェーガ卿直属って意味だからね」

  

 あいつ……

 そんなものを俺たちに渡したのか。

 やっぱり捨てたくなってきた。


「それじゃあ余ってるから、クーシアに一つあげるよ」

「えっ、いいの」

「本当はシェルラのだけどいらないらしいから。ついでに俺のもあげるよ」

「ううん、一つでいい」


 断られてしまった。

 もう捨てちゃおうかな、これ……

 

 そうして二人で話していると、プロネアがこちらに寄って来た。


「クトリール様、素材の回収が完了しましたよ」

「うん、ありがとう」


 ギルドの予算のために出来るだけモンスターの素材は回収しているのだ。

 今回の素材はただの石にしか見えないが、ちゃんと売れるのかな……

 まあ売れなくてもアイテムボックスのおかげで荷物にはならないからいいけど。


「それじゃあクーシア、俺達も馬車に戻ろう」

「うんっ」

 

 そうして三人で馬車に戻ると、他のメンバーがクーシアの様子をみて驚いていた。

 まず声を上げたのはクランセラとナユハである。


「クーシアさんが元気になってますの!」

「……元に戻ってる」


 二人の言葉に対してクーシアは答える。


「今まで無視してごめんね。反省してるから、これからはよろしくです、せーんぱいっ!」


 彼女は軽い口調でそう言いながら、二人にピースをした。

 クランセラはその雰囲気に押されて戸惑っているようだ。

 一方ナユハは無表情に言葉を返すだけである。  


「こ、こちらこそよろしくですの」  

「……うん、よろしく」


 そしてクーシアは他のメンバーにも挨拶をする。

 相手が誰であれ、その砕けた口調は変わらないようだ。

 

「プロネア先輩もシェルラ先輩もよろしくね!」


 その言葉に対し、プロネアは微笑みながらシェルラに問いかける。


「シェルラちゃん、生意気な新人を躾けるのも先輩の役目だと思うですが、どうしましょう」

「そなたは心が狭すぎるのじゃ……」

「え……あの……」

「冗談ですよ。よろしくお願いしますね、クーシアちゃん」

「ふむ。よろしくなのじゃ」

「は、はい! よ、よろしくお願いします!」


 クーシアは直立して最敬礼で挨拶し直した。

 いや……

 このギルドはそんな上下関係とかないからね。


 ただそれを見て思いだした。

 そう言えば制服の中でも軍服って持ってなかったよな。

 今度プロネアに作ってもらおう。

 

 そんなことを考えているうちに、クーシアはメルナへと挨拶し始めていた。


「あなたがクトリールのお嫁さんなのよね。よろしく!」

「そんな。私はただの側室だよ。だからクーシアさんが正妻を狙ってるなら応援するよ」

「うーん、どちらかというと愛人って感じかな。私の場合は」


 彼女はそう言うと馬車内にいる他のメンバーにも声をかけていった。

 今まで気にかけて貰っていたこともあって、これを機に仲良くしたいのだろう。

 

 そしてクーシアには、戦闘と子供たちへの訓練の仕事が与えられた。

 

 それから1週間が過ぎた頃。

 俺たちはルーゲルパレーズにたどり着いた。 

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