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24話 助けられますよ

 ゼラジェム商会との打ち合わせを終え、宿屋へと帰ってきた。


 そして部屋に戻ってきたのだが、みんなはまだ作業を続けていた。

 とはいえさすがに限界を迎えてしまった子もいるようで、メルナとティルナは床の上で眠り込んでいた。

 残っているのはクランセラとナユハとシェルラの三人と、起き始めた年少組。

 彼女たちが残りを請け負っているようである。


 俺はそれを見て、彼女たちに声をかける。


「三人も一度寝た方がいいんじゃないか。明日の朝までに完成させればいいんだから」

「でもここで休んでしまうと、間に合うかどうかわかりませんの」

「クランセラとプロネアには、午後から別の仕事があるだろ。休んだ方がいいよ」


 そう言うとクランセラは、思い出したように、その口を開いた。


「あっ、馬車と食糧を買いにいかないといけませんの……」

「うん。プロネアと二人で馬車と馬を買って、山の向こうで待機しておいて欲しい」

「忘れてましたの……」

「こっちは残ったメンバーで仕上げるから、大丈夫だよ」

「……分かりましたわ。休ませてもらいますの」


 クランセラはそう言って横になると、そのまま寝てしまった。

 こんな場所で寝てると誰かに踏まれそう。

 

「きゃうっ!」

「あっ、クランセラお姉ちゃん、ご、ごめんなさい」


 そう思ったときには、寝起きの子供に、お腹を踏まれていた。

 

「いいんですわ。ベッドで寝てないから、私が悪かったのですの」


 クランセラはそう言ってお腹をさすりながら、部屋から出て行った。

 俺はそれを見送り、プロネアにも声をかける。


「プロネアも休んでおきなよ」

「でもいいんですか、私も今のペースだと厳しい気がします」

「最悪間に合わなかったら一台あたりの乗員人数を増やして、シェルラの風魔法で手伝ってもらうよ」

「保険を掛けてるでしたら……そうですね。私も休ませてもらいます」


 彼女もそう言って、部屋から出て行った。


「シェルラとナユハも休憩取った方がいいよ」

「わらわは三か月程度寝なくても大丈夫なのじゃ」

「……私もこれぐらい……起きてても平気」


 二人からそんな返事が返ってきた。

 シェルラはまだしも、ナユハはただのヒューマンである。


「ナユハ、本当に大丈夫なのか」

「……私は……ご主人様の役に立ちたい……だから、頑張る」

「十分役に立ってるよ。無理しない方がいい。起きてからまた続きをすればいいから、もう休みな」

「……でも、まだ残ってる」

「大丈夫だから、ほら。プロネアとクランセラも休みをとってるし、ナユハも寝てきなよ」

「…………分かった」


 ナユハはそう言って頷くと、部屋から出て行った。

   

 その後、俺も自分の組み立て途中だった、火力パーツの組み立てを再開した。

 そうして部屋には俺とシェルラ、それと起きてる子供たちが残った。


 みんなで黙々と気球のパーツを作っていた。


 やがて昼過ぎになるになると、プロネアとクランセラが部屋に戻ってきた。

 これから出かけるようである。


「それではクトリールさん、行ってきますの」

「ちゃんと朝までには戻ってきますね」


 二人はそう言って宿屋を出発した。

 それと入れ違いで、ナユハも起きてきたようだ。


「……少し寝た……だから、また作る」


 ――それからも俺たちは気球のパーツを作り続け、さらに一晩が明けた。


「戻りましたよ、クトリール様!」

「お疲れ様。ありがとね」


 プロネアが返って来たので、俺たちの作業もそこで切り上げることにした。

 そしてメンバーに向かって声をかける。


「みんなも頑張ってくれてありがとう。もう気球作りはそこまでにしてくれていい。そろそろ作戦を始めないといけないからね。片づけは俺がしておくから、みんなは出かける準備をして欲しい」


 そう告げると、年少組はティーナの指示で動き出した。

 その間に俺は作りかけのパーツやゴミも含めて、全てアイテムボックスに突っ込んでいく。


 完成した気球のパーツは全部で18個分。

 これだけあればなんとか獣人を全員乗せることができそうだ。


 あとはこれを予定の合流場所に運び、俺たちがゼラジェム商会へ行っている間、イベントに参加しない待機メンバーに組み立てておいてもらえばいい。

 その待機メンバーの編成は、もうみんなに伝えてある。


 リーダーはシェルラ。

 しかし彼女は時間が来たら、待機場所が上空に変わるので、サブリーダーにナユハ。

 年少組はこの二人に任せることにした。

 戦える人間がいないと、子供たちも危ないからな。

 

 そしてイベント参加組は俺とプロネアとティーナである。


 やがてみんなの準備が整うと、最後に作戦の最終確認をして、宿屋をチェックアウトした。




 そうして俺たちイベント組は、予定の合流地点に気球のパーツを置いてきてから、ゼラジェム商会へと向かった。

 そして奴隷商館に到着すると、店の入り口の扉を叩く。


「すみません、イベントギルドの者です」


 すると連日顔を合わせている店員が、扉の向こうから出てきた。


「どうぞお入りください。本日はよろしくお願いします」

「ああ。こちらこそよろしくお願いする」


 挨拶交わして店に入ると、店員とそのまま話しながら、牢屋の方へと進んでいった。


「今日は昼前と午後、それと夜の3回に分けて宣伝活動を行う。まずは連れていく奴隷たちを選ばせて貰うぞ。それで彼女たちをイベント用の衣装に着替えさせたら、檻を積んだ馬車に乗せて、街中を周る」

「はい。そのように伺っております」


 俺はイベントスケジュールの確認をした。

 作戦では昼前のイベントだけはまじめにこなして、午後の回で奴隷を脱出させる予定である。

 

 店員と話しているうちに、俺たちは牢屋の前に着いた。


「それではお選び下さい」


 そう言われて、獣人の少女たちを見回した。


 みんな可愛いので誰を選んでも同じか。

 美少女獣人の一族というのもあながち嘘ではないな、これは。

 それでもメルナとティルナ、ティアネーシュは別格に可愛いけど。


 そんなことを思いながらも、イベントに連れていく獣人の女の子を選んでいった。  

 

「それじゃあ、この子とこの子と……」


 そうして数人ほど牢屋から出してもらうと、店員に話しかける。

 今日は自前で仕切りカーテンを持ってきていた。

 

「着替えさせるから、これを使わせてもらうよ」


 彼女たちの前に仕切りを用意して、プロネアとティーナに着替えさせてもらう。


「プロネア、ティーナ、お願いする」

「今日もお姫様の恰好でいいんですか」

「ああ、それが一番可愛いからね」


 そう答えると二人は仕切りの反対側へと入り、獣人の女の子たちを着替えさせ始めた。

 しばらく待っていると、それも終わったようだ。

 プロネアがカーテンを開けて、話しかけてくる。


「どうですか、みんなお姫様みたいですよ」


 確かに着替えを終えた獣人の女の子たちは、みんなお姫様みたいで可愛い。

 しかし……


「うーん……何人か衣装を変えよう」

「えっ、どうしてですか。クトリール様にとっては、これが一番可愛い服装ではないのですか」

「全員が似たような格好だとね……やっぱり被っちゃうよ」

「では別のコーディネートを試してみますね」

「ああ。セーラ服とブレザー、ゴスロリ、私服と浴衣とメイド服も混ぜてくれ」

「分かりました」


 プロネアは裁縫が得意なのだ。

 彼女は何種類もの服を自分で作って、持っていた。

 そして俺の趣味も当然知っているので、彼女のアイテムボックスには一通りの衣装が入っていた。


 そんなわけで再び彼女たちに、獣人の女の子を着替えさせてもらう。


「これで大丈夫ですよね。ちゃんとお姫様の恰好が目立ってますよ」

「うん。やっぱりお姫様が一番だな。でもリボンをもっと派手にしたい」

「でしたら、このフリルが付いた大きいやつにしますか」

「それは少しイメージと違うな、もう少し控え目な方がいい。リボンはあくまでアクセントに抑えて、主役に持っていきたくはない」

「ではこれですね」

「あとは髪形だな。ここが一番重要だから。リボンが生きるように仕上げたい」

「分かりました」

「違う。それじゃあ、ただのツインテールだろ。ここは俺がやる」

「……はい、どうぞ……クトリール様」


 俺はプロネアの代わりに、彼女たちの髪をセットしていく。

 梳かして、ピン留めして、編み込んで、結って、リボンを結んで、サイドは完成。

 あとは前髪か。


 彼女たちの髪形を、念入りに整えていった。


「これでだいぶイメージ通りの仕上がりだな」


 獣人の女の子たちの髪を仕上げて満足していると、プロネアが話しかけてくる。


「あのクトリール様……私の髪形もセットして下さい」

「あっ、それなら私の髪形も整えて欲しいです。せっかくリボンを買って貰ったんですから、似合うような髪形にして欲しいです」

「えっ、ティーナちゃん。クトリール様にリボンを買って貰ったんですか!?」

「あっ……うん、クランセラお姉ちゃんとお揃いのやつ……」

 

 俺は彼女たちの会話に危機感を覚えたので、プロネアに問い詰められる前に説明することにした。

  

「いや、プロネアの分も買おうとしたんだけど、在庫がなくてね。それで買えなかったんだ」

「気にしてませんよ、クトリール様。私は指輪の方がいいですから」

「……う、うん。また、買い物に行ったときにね」

    

 俺はそれだけ答えると、すぐに話題を変えた。


「それじゃあ俺はイベントで使う馬車を見てくるから、二人は休んでて」


 そして二人を残し、1階へと戻ることにした。

    

 ――そうして馬車を確認してから、再び地下に戻ってきた。


 それから女の子たちにイベントのときする仕草を教えてることにした。

 そうしているちに、やがてイベントの時間がやってくる。

 

「そろそろ行くか。プロネア、頼んだよ」

「はい、大丈夫です」

「頑張って下さいね」

 

 俺たちは奴隷獣人を連れて表に出ると、店員に話しかける。


「それではイベントを始めるぞ」

「かしこまりました。宜しくお願いします」


 そうして獣人たちを馬車に連れてると、プロネアが詠唱を唱え始める。


 そして綺麗なだけの魔法を複数空に打ち上げると、それらをまとめて破裂させた。

 細かく撒き散らかされた魔法が、煌めきながら街に降り注いでいく。


 突然降ってきたその魔法に、街の人が驚きながら見上げていた。   


 プロネアはさらに、地上にも魔法を放ち、これから通る道を照らし出した。

 それによって通り全体が輝きを帯びながら魔法に包まれた。


 そこを馬車で通りながらも、獣人の女の子たちが可愛い仕草を見せつける。


 ただしそれは昨日、ティアネーシュがしたような露骨なものではない。

 何気ない自然の動きのまま、可愛く見せるための表現を取り入れたものだった。


 馬車の両サイドにはゼラジェム商会の名前と、美少女獣人族の取り扱い始めました、という看板が取り付けられている。

 これだけ派手なイベントで宣伝すれば、かなり目立つだろう。


 馬車はそれから街を一巡りして、そこで一回目のイベントは終了となった。


 ゼラジェム商会に戻ってくると、店員が嬉しそうに話しかけてくる。

 どうやらもう効果があったらしい。


「おかげさまで、獣人奴隷の予約が何件か入りましたよ。ありがとうございます」

「それはよかったな、午後からも頑張るよ」

「ええ、お願いします」


 そう答えると、俺たちは休憩をとるため、座り込んだ。

 すると檻の中の獣人の奴隷と目が合った。


 その目は不安そうにこちらを見ていたので、俺は頷いて返事をした。


 彼女たちには最初に地下へ侵入したとき以来、何も説明してないからな。

 不安にもなるだろうが、店員たちの目もあるため、下手に話し掛けるわけにもいかない。


 

 ――そして二回目のイベントが始まった。


 この回で俺たちは、奴隷たちを逃がすことになっている。

 しかし最初は怪しまれないように一回目と同じよう、プロネアが綺麗なだけの魔法を打ち上げて、そのまま馬車を走らせていた。

 しかし今回の馬車に、俺は乗っていなかった。

 俺とティーナは作戦のために、奴隷商館に残ることになっていたのである。


 そろそろ予定の時間だな……


 俺は周囲の綺麗なだけの魔法を、さりげなく観察していた。

 するとその中の一つに、変化が訪れた。


 青白く輝いていた綺麗なだけの魔法は、突如として色を赤く染まり、火球へと変化した。

 

 それを見つけた俺は店の中へと移動し、待っていると……

 

 ――やがて店に火の手が上がった。


 プロネアは俺の居場所を感知できるので、それを目印に魔法を誘導したのである。

 そして炎はどんどん奴隷商館を飲み込んでいった。

 店内は一気に騒然となり、客は逃げ出して、店員たちも右往左往している。


 俺はその隙にフォーマットをアサシネイトに変え、店の奥へと侵入し、牢屋に向かった。


 そこにたどり着くと、何人かの店員と、冒険者の姿が見える。

 どうやら檻の中の奴隷たちを、逃がそうとしているようだ。

 彼らにとって獣人たちは大事な商品だからな。

 ゆえに人道的な立場で助けているのかどうかは、分からない。


 ただどちらにせよ、ここにいる人間は邪魔なのだ。

 俺は彼らに襲いかかった。


 さすがに冒険者は抵抗を見せたが、そんなに手ごわい相手ではない。

 今やアサシンスキルを使える俺にとっては、意識を奪うことなど、簡単なことだった。

 やがて全員を倒すと、牢屋の鍵を奪い取る。


 そして順番に扉を開けて獣人たちを開放していき、一番奥の牢屋の前に立つ。


「お待たせティルナ」


 そう言って扉を開けて彼女に手を差し出したのだが、ティルナは首を振った。


「助けにきて頂いたことは、とても感謝しております。ですが……私の奴隷の首輪は、既に調整が終わってるんです。私が逃げ出せば、他のみんなが死ぬようになってるんです。私の首輪は皆のものと連動して動くように調整されてしまいました。幸い他の首輪からも解除できるらしいので、みんなが売られるときは効果もなくなるそうですが……今はまだ効果を発揮してしまいます。奴隷になるときの条件が……そうなってるんです。私が……奴隷になるかわりに、他のみんなは助けて欲しいと言ったら……こうなってしまったんです。騙されてしまいました……ですから私は出られません。気にしないで、みんなを連れて行ってあげて下さい」

 

 彼女はそう言って笑いかけてきた。

 自分は助からないけど、みんなが助かるのならよかった。

 そういう顔をしている。

 俺はそれに胸が苦しくなり、やさしく彼女に話しかけた。


「騙されたも何も……ティルナは国を襲われて、無理矢理奴隷にされたんじゃないか。俺はそれを助けるためにギルドのみんなにも協力してもらって、ここまで来たんだ。大丈夫、首輪は外してあげるから、安心してついて来ればいい。ティルナも一緒にここから逃げられるよ」


 そう言って彼女の手を取ると、ワールドフレーム・MODEを発動させた。


「はうっ、な、何をなさるのですか」

「ごめんね。でもすぐ終わるから」


 ティルナの奴隷化プロレスを遡り、やがてそのデータを消去する。

 奴隷化を解除。

 そして――

 彼女の首輪が外され、床に落ちた。


 するとティルナは慌てたように、泣きそうになっていた。


「えっ……そんな、どうして首輪が……これが取ってしまうと、みんなが死んでしまうんですよ!」


 彼女は慌てて牢屋を出たが、そこで、さらに驚いていた。

 

「みんな無事……なの。どうして」

「もうティルナは奴隷じゃないからね。奴隷のルールは無効化されたんだよ」

「どういうこと……なのですか、それは」

「俺は奴隷の首輪を外すことが出来る……ってことかな。だからみんな首輪も外していくよ。数が多いから急がないとね」

 

 たぶんこんな説明じゃ理解できなと思うけど、たとえ詳しく説明しても同じだろう。

 奴隷化ルールやデータのことは俺とプロネアにしか分からない。

 ただ今は、俺が奴隷の首輪を外せることを知って貰えれば十分である。


 そうして俺は一人ずつ、奴隷の首輪を解除していった。


 そして彼らの首輪を外すと、アイテムボックスから着替えを取り出した。

 この後は多少ながら街を歩かなくてはいけない。

 奴隷のままの姿では、目立ちすぎるだ。

 とはいえ着替える時間も惜しいので、服の上から羽織れるような被り物である。

 それはフード付きなので、けもみみも隠せるようになっていた。

 

 それを全員に渡すと、そのまま地下から連れ出した。


 すでに炎は1階の全域に広がっている。

 火傷しないと分かっていても、獣人たちはそれを怖がっているようだ。

 

 俺は彼女たちを先導しながら、店の中を進んで行った。

 もちろん目指しているのは店の外なのだが、目的の場所は正面の入り口ではない。

 あらかじめ目星をつけていた窓から、俺たちは脱出することになっていた。


 そしてその窓の近くは、一段と激しい炎が燃え盛っており、それは店の外にまで伸びていた。

 

 ――そんな中をティーナが平然と立っていた。


「クトリールさん、こっちです」


 彼女は脱出するときの目印となるため、ここが待機場所だったのである。


 窓の外は炎で包まれているおかげで、ほとんど周囲が見えない。

 ――そのおかげで外からも、俺たちの姿は分からないだろうが。

 だからこそティーナには、ここで待機してもらっていたのだ。


 そうして、燃え盛る炎を中を俺たちは移動していく。


 この道は人通りが少ない路地裏に繋がっている。

 一度そこへ出ることになるのだが、さらに進むと、大通り出るようになっていた。

 その大通りを渡った場所で、ギルドメンバーが組み立てた気球を用意して、待機してるはずである。


 炎を抜けた俺たちは路地裏を通ると、予定と同じように、大通りへと出た。

 あとはここを渡れば、みんなを気球に乗せることができる。

 

 そう思っていると、上空からティルナに襲いかかる何かが見えた。


 咄嗟にそれを小太刀で斬り払う。

 するとそいつは刃を避けて翻り、俺たちを前を塞ぐように着地した。

 それと同時。

 さらに二人が建物の上から降りて来る。


 三人組なのか……

 一人は貴族風の美青年で、もう一人は野性味が溢れた青年。

 その中に一人だけ、赤い髪をした可愛い女の子が、混ざっていた。


 そいつらは俺たちの前に立ちふさがると、会話をし始めた


「冒険者ギルドの連中だと、警備もろくにできねぇみたいだな」

「クラウロッシュ。我々とてここまで逃がしているのだぞ」

「それはルイドクス兄さんが、新しく買った奴隷に夢中だったせいでしょ」

「この街は奴隷がすぐに手に入るからな。いくらでも無茶が出来て楽しめる」

「私ルイドクス兄さんのそういう趣味って好きになれない……」

「俺もそういうのには興味がねーな」

「クーシアもクラウロッシュもまだそんな年頃か。奴隷の一人や二人、遊び殺す経験ぐらい積んでおいた方がいい。面白いものなのだぞ」


 こいつら、プロネアが言ってたリデスの人間か。

 アナライズをかけると、三人ともレベルが100を超えている。


 貴族風の美青年が、ルイドクス。

 野性味のある男が、クラウロッシュ。

 赤い髪の美少女が、クーシア。


 全員ユニークスキルこそ持っていないが、このレベルは相当な場数を踏んでいる。

 おそらく獣人たちを連れ戻しにきたのだろう。 

 しかし合流場所まではもう少しなのだ。

 彼女たちを向こう側に渡らせば、作戦は成功する。

 だからたとえ相手が三人だとしても、俺が時間を稼がなくてはいけない。


「こいつらは俺が引きとめる。みんなはこのまま通りを渡ってくれ!」


 俺はスキルを発動させると、一気に詰め寄った。


 この貴族風の美青年がリーダー格のようだ。

 まずはこいつを狙う。


 そう思って小太刀を向けたのだが、それはもう一人の男、クラウロッシュによって防がれる。

 

「珍しいな。アマユリ製のとは違うが、小太刀か。しかも二刀も使う相手とは初めてだな」

「クッ――」


 俺の突撃は長剣によっていなされ、反撃を食らいそうなったが、すかさずもう片方の小太刀でカウンタースキルを発動させた。


「何か狙っているのか。でもな……戦い方が悪い」


 クラウロッシュがそう言った次の瞬間、背中に激痛が走った。


「あはは、三対一なのに一人に集中してどうするの。と言っても、私の加勢はこれで終わりだよ。逃げた奴隷を捕まえなくちゃ。よかったねー」


 そう言ってクーシアは奴隷たちの方へと走って行った。

 くそっ、追いかけないと。

 俺はスキルを使い、今度はクーシアの走っている背中を目がけて、斬りかかろうとした。


 ――すると彼女が振り返り、笑いかけてくる。


「あは、やっぱり追いかけてた。でもいいのかなー」


 クーシアは俺の斬撃を受け止めながら、そう言った。

 そして俺は――

 背後からクラウロッシュに突き刺された。


「だから戦い方が悪いって、言ってるだろ」


 男は剣を引き抜くと止めを刺そうとしてくるが、そんな中、クーシアが話しかけてくる。


「んー、助けて欲しい? ほれほれ、助けて欲しい? 私のペットになるなら飼ってあげるよ。なんか好みだし、特別だよー。ちゃんと首輪をつけて毎日媚びるように懐いてくれば、可愛がってあげる! エサは私の食べ残しをあげるね。それが一番のご褒美エサだからね。お風呂にも毎日入れてあげるよ。でもー、その代わり躾はきびしいよ! あはは」

「クーシア。まだ相手は動ける。油断するな」


 そうだな……クラウロッシュの言う通りだ。

 俺はこの隙にスキルを使い、その場から距離を取ると、全治の霊薬を飲み干した。


「あれ? 怪我がなおってる。すごい薬もってるね!」

「まったく……ここはクーシアが責任をもって相手をしろ。俺はルイドクス兄貴の援護に行く」

「援護って、あれれ? なにあの女の子。あんなナイフだけでルイドクス兄さんと戦ってる。すっごいね。相当の達人なのかな。私と同じくらいの年なのに、んー、私が弱く見えるじゃん!」


 ナユハか。

 騒ぎに気付いて、集合場所から駆けつけてくれたんだな。

 その方向をみると気球が昇っているのが分かる。

 ――綺麗なだけの魔法で見えにくいが。

 あと少しだけ時間を稼げばいいというわけだ。


 俺は二人に話しかけた。


「そっちに行っていいのか。一対一なら、この子には負けないと思うけど」

「あはは、さっきまでやられてたくせに、可愛いこと言うんだね。私だってリデスに通るぐらい強いんだよ。君みたいな冒険者に負けるなんて、ありえないんだけどなー」

「いや、確かにこいつをさっさと倒してから、向かった方がいいか」

「ちょっと、クラウロッシュ兄さん!」

「いいから早く倒すぞ」


 そうして俺たちは戦闘を再開した。


「ちょっと、何で!? さっきより強くなってる気がするんだけど!」

「ちっ、向こうに加勢が来たせいで、こいつ、俺たちに二人に集中してるやがる」


 その通りだ。

 さっきまでは獣人たちの安全を守ることを考えていたからな。

 しかしナユハがもう一人の相手をしてくれてるならば、二人を相手にするくらいはできる。

 

 ――戦いは場所を移動しながらも繰り広げられたせいで、やがて混戦となってきた。


 今はちょうどナユハと背中合わせになり、俺の前にルイドクスとクーシア。

 ナユハの前にクロウラッシュがいる。

 俺たちを三人が取り囲んでいる状態だ。


「ナユハ。いま気球が全部で何個あがったか、覚えているか」

「……たぶん、17個」


 俺も同意見だった。

 ならばあとは、”俺たちの分の気球”が残されているだけだ。

 もう時間を稼ぐ必要はない。


 しかしこいつら、なかなかしぶとい。

 今の状況は五分に近かった。

 少し時間がかかりそうだ……


 そう思ったとき、突然、ルイドクスが何かによって撃ち抜かれた。

 綺麗なだけの魔法?

 プロネアが来てくれたのか、でもそれは予定と違う。

 

 空を見上げると、そこにはシェルラがいた。

 確かに彼女も”複数の属性”を扱うことができたな。

 ――威力を失くすことはできなくても、見かけだけなら彼女も綺麗なだけの魔法を使えるらしい。

 

 最後の気球がなかなか上がらないから、俺たちの様子を見に来たわけか。

 気球は風魔法で操らないといけないので、一つでもはぐれていると、その操作も難しくなる。

 それが嫌だったのだろう。

 彼女はステータスは高くても、魔法を扱うのは上手くないからな。


「ぐぅ、な、なんだ」


 いきなり攻撃をくらったルイドクスも上空を見つめて、彼女の存在に気が付いたらしい。

 そしてシェルラは、もう一度魔法を放とうとしていた。


「くっ、傷が……これでは逃げられない」


 最初のダメージが大きかったようで、ルイドクスはふらついていた。

 そして隣にいたクーシアの腕を掴むと、盾にするように、前へと追いやった。


「えっ、うそっ、ルイドクス兄さんっ!」

「悪いな。俺はまだ動けない。回復するまで、お前が防げ」


 彼女はそう言われて、慌てだした。


「そんなっ! 私は防御魔法なんか使えないんだよ!」

「だからその体で受け切れと言ってるんだよ! この馬鹿が!」

「そんなの無理だよ、死んじゃう!」


 クーシアは腕を振りほどこうとしている。

 しかしルイドクスはがっちり掴んでいたようで、逃げられないようだ。

 そんな彼女に向かって、彼は本性を現したかのように口を開いた。


「どうせお前みたいな馬鹿は、すぐに死ぬ。ずっと俺に騙され続け、未だに気付かないやつは、こうなっても当然のことだ」

「えっ、どういうこと?」

「お前の本物の兄を殺したのは、俺だってことだよ。お前を引き取ったのは、その証拠を消すためだ。お前を引き取れば、お前の家の屋敷も丸ごと貰えたからな。もっともあんなボロ屋敷などいらなかったのだが、なにせお前の兄は俺を告発しようとしていたのだ。その証拠も消す必要があった。たかが数人の少女を遊び半分で殺しただけだぞ。確かにその中にお前の兄の恋人の妹も含まれていたが、それと比べて、俺を切り捨てたのだ。俺もさすがに腹が立ってな。お前を人質にとるようなことを言ってみたんだ。するとあっさり告発するのをやめたよ。まあ、もちろん殺したがな。親友を売ろうとした外道にいつまでも弱みを握られるなんて、誰だって嫌だろう。しかし俺も多少ながら罪悪があった。だからお前には兄のようにならないよう、教育してやったのだが……クーシア、お前には能がなかったな。奴隷を与えてみてもペットにするだけで、殺しもしなければ、拷問にもかけない。最初から期待はしてなかったが、本当にダメなやつだと思ったよ。抱く気すらおきなかったぞ。いっそ引き取った時点で、オークの群れにでも放り込んで、捨てればよかった。とはいえ……それをしなかったおかげでこうして有効活用できるわけだがな」

「なっ……なにそれ、いきなりそんな――」


 彼女がそう言っている途中で、シェルラの魔法がクーシアに着弾した。

   

 その衝撃でクーシアは体に穴を開けて倒れ、二人の男は、その隙に逃げていった。

 そうして倒れた彼女だけが残された。


 シェルラのおかげで助かったが……


 クーシアの方を見ると、まだ生きてるようだ。

 しかしこのままだと、すぐにでも死んでしまうのは確実だった。

 俺はアイテムボックスから全治の霊薬を取り出すと、彼女の傷口に注ぎ落とす。

 これで一命は取り留めただろ。


「ぐっ……」


 彼女は起き上がり、俺を睨みつけてきた。


「なんで私を……」

「水を飲もうと思っただけなんだけどね。手が滑ってこぼれた」

「……そんな嘘には……さすがに騙されない……けど、私は……もっとひどい嘘に……」


 クーシアは先ほどのルイドクスの言葉に、ひどくショックを受けてるようだった。


 俺はその姿を見ていると、いたたまれなくなった。

 だから――

 彼女の手を掴み、走り出す。


「お前も一緒に来い」

「えっ……なんで、私まで……」

「来たくないなら、振りほどけばいいだろ」

 

 しかし彼女は何の抵抗もせず、俺に引っ張られたままになっていた。

 おそらくそんな気力もないのだろう。

 これほどの美少女をこんな状態でこの街に残したら、ひどいことされるに決まっている。

 彼女が立ち直れるまでは、面倒を見てあげたい。


 そうして気球が用意された指定の場所へと辿り着くと、ティーナだけが残っていた。


「クトリールさん、よかった……早く行きましょう」

「ああ、すぐ出発する」

 

 そうして気球に俺とクーシア、ナユハ、ティーナの4人で乗り込むと、すぐに上昇させた。


 すると周囲の綺麗なだけの魔法が、一段と輝きをまして、太陽の光を反射させるようになった。

 プロネアが俺が上空に上がったことを、感知したのだろう。

 さらにシェルラが風魔法を使い、俺たちの乗った気球に追い風を送ってくる。

 それによって気球はどんどん速度をあげて、クランセラが待つ目的地へと進んでいった。 


 これで作戦はほぼ終了だ……


 遠ざかるレードネイテスを見送り、正面のクーシアに向き直った。

 彼女はずっと俯きながら、泣きそうになっていた。


「俺はクトリール。この子はナユハ、こっちはティーナ。君はクーシアでいいんだよね」


 そう問いかけるも、彼女は返事をしない。

 ステータスを見たから、名前があってるのは知っている。


 ただ彼女と話すきっかけとして、問いかけたに過ぎない。


 ただそれも空振りだったが。

 ナユハは喋らないし、ティーナも困惑している。

 

 結局俺たちは無言のまま、クランセラが待つ合流地点へと到着した。


 そうして地上に降りると、既にティルナとメルナ、年少組の姿がそこに見えた。

 もっとも俺たちが気球組の中では一番最後なので、それは当然ではあるが。

 

 しかし本当の最後はプロネアたちイベント組である。

 彼女たちは俺たちが街から離れたあとに、こっそり街から抜け出して、精霊魔法を使いこちらへ向かうことになっていた。

 少人数のためそれも可能なのだ。


 獣人のみんなが奴隷商館から逃げ出せことを喜び話し合ってる中、ティルナが俺のことを見つけたようで、こちらに近づいてくる。


「この度は助けて頂き、ありがとうございました」


 彼女はそう言ってから、とても丁寧なおじぎをしてきた。


「いや。メルナに頼まれたからね。成り行きだっただけだよ」

「本当にそれだけで……なんですか。もしよければメルナを差し上げます。それくらいしか私たちにはできません。それにクトリール様なら……あの子も喜ぶと思います」


 何を勘違いしたのか、彼女はそんなことを言いだしてきた。


「いや、それはどうかと……それよりティルナたちはこれから、どうするんだ」

「新しく街を作るしかないでしょう。ですがこの国で作ったところで、またいつ襲われるか分かりません……なのでこの国から離れて、新しい街を作れる場所を探そうと思います」

「そうか」


 大変だとは思うが、さすがに俺も、150人近い人数の面倒を見る自信はない。

 それに俺と彼女たちでは目的も違う。

 そう思っていると――


「でしたら、クトリール様が作る新しい国に住めばいいのです!」


 いきなり後ろから聞こえてきた声は、プロネアのものだった。

 

「クトリール様はこれからエルフの国を取り込み、魔王軍をも平定するんです。新しい国の一つや二つ、簡単に作れますよ。クトリール様はすごいんです。奴隷の契約をも断ち切る能力だってあるんですよ」


 プロネアさん……

 綺麗なだけの魔法を、迫力があるだけの魔法に変えて、演説するのはやめて下さい……

 余計なことは学習しないで……


 しかしその迫力に飲まれたのか、獣人たちがどよめいていた。


 そしてなぜかクランセラもそれに続いた。

 祝勝会だとでも思ているのか。


「そうですの。クトリールさんは、すごいですの! 私たちが孤児院を潰されそうになったときも、助けてくれましたの。貴族や教会から、ただの子供である私たちを、救ってくれましたわ!」


 さらにシェルラも続いた。


「クトリールはわらわが300年以上生きて来て初めて惚れた人間なのじゃ。ドラゴンが見定めた人間に間違いはなのじゃ」


 そしてメルナ。


「クトリールさんは私が助けてとお願いしたとき、それだけで助けてくれました。私が体を差し出すって言っても断って、何も求めず、助けてくれたんです。私はエレイストの姫としても、女の子としても、クトリールさんについて行きたいと思ってます!」


 女の子としていうのはまだしも、エレイストの姫としていうのはどういうことだ。

 そう思ってたのも束の間、今度はティルナが、訊ねてきた。


「クトリール様に着いて行けば……我々獣人のことも助けてくれるのですか」

「そんなことは無理だ。そもそも俺は目的があって旅をしてるだけで、国をつくる気なんてない。彼女たちのことも、成り行きで助けることになった。それだけだよ」


「でもクトリール様はすごいんです。助けられますよ」

「そうですの、すごいですの! 獣人の人を助けて欲しいですの」

「ふむ。すごいのじゃ。メルナよ、クトリールを頼るとよいのじゃ」


 それぞれ同じようなことを言ってる彼女たちだが、その内心は全く違う。

 プロネアはギルドを大きくしたいから獣人たちを勧誘してるだけだし、クランセラは何も考えず思ったままの心情を語ってるだけだろう。

 シェルラは獣人たちのことを考えた上で、俺の仲間にさせようとしてる節がある。

 そこまで俺のことを評価されても困るが。


 そんなことを考えていると、ティルナが再び口を開いた。


「もし連れていってもらえるならば、正式にメルナをクトリール様の側室にお送りします。私も奴隷の首輪を解いた力には正直驚きました。それにクトリール様のお話は、ここで待っている間もクランセラさんから聞かせて頂きました。私たちが再び安住の地を手に入れるには、クトリール様のように貴族や教会といった権力にも屈せず、強い力をもった人の力が必要なんです」


 確かに新しい街を作ると言うことは、どこかしらの領地を分けてもらうことだからな。

 今回は無理矢理元から住んでいた場所を襲われたのだろうが、新しく街をつくるとなると、領主の許可なども必要になるだろう。


「でもティルナが思ってるほど力になれないと思うよ。俺は貴族でも何でもないし、交渉も上手くないし、そもそも弱いし。他にも獣人たちの街はあるんでしょ。そこに住まわせてもらうとか出来ないの」

「獣人同士は種族間の相性もあります……なかなかよそ者を受け入れてくれません。ですから頼んでいるのです。どうかお願いします、私達の力になって頂けませんか」


 彼女は切実に、そう頼み込んできた。


 俺はそれに対して答える。


「はぁ……分かったよ。どうせ、世界中を回らないといけないんだ。その途中で街が作れそうなところがあれば、そこで新しい街を作ればいい。そのときまでは協力し合おう。俺も魔王軍に対抗するために戦力を集めてるところだ。だからエレイスト国は、それに協力してくれればいい」

 

 その言葉にプロネア以外の全員が声をあげて、驚いた。


「クトリールさん、魔王と戦うつもりでしたの!?」

「さすがクトリールなのじゃ」

「……私はご主人様の命令なら、魔王でも戦う……」


 少しニュアンスが違うので、俺は訂正した。


「いや戦うわけじゃない。ただ魔王に用事があるだけなんだ。でも魔王に会うためには、会いに行くまでの力がいる。だから戦力が欲しいだけなんだよ」

「もしかしてクトリールさんは魔王とお知り合いですの?」

「んー……たぶん。それを確かめたいから、会いにいくんだよ」

「すごいですの! 魔王と知りなんて、すごいですの!」


 そしてティルナも声をかけてくる。


「そういうことでしたら、分かりました。魔王と戦うと思えば躊躇いますけど、魔王と知り合いということであればなおさら心強いです。是非協力をさせて頂きたいです」

「そうか、分かった。それならお互い協力することでいいな」

「はい、もとろんです。クトリール様は私の弟ということにもなりますしね」

「えっ?」

「メルナのこと、よろしくお願いしますね」


 そういえば……メルナが側室だとか、そんな話題もあったけど……

 正妻不在でいきなり側室なのですか。


 するとメルナも同じく頭を下げてきた。


「あの、よろしくお願いします」

「ああ……よろしく……」

 

 その後俺たちはエレイスト国とギルドの関係について話し合った。

 結果、みんな俺のギルドに入ることとなった。

 

 俺はそれが終わると、一人で座り込んでいるクーシアにも声をかける。


「クーシアも俺のギルドに入れておいていいよね、心配だし」


 しかし答えてくれない。


「返事しないってことは、ギルドに入ってもいいってことだよね」


 それでも返事をしてくれない。

 なので俺はとりあえず彼女をギルドに登録しておいた。

 エラーもでないし、これは同意がなされたということだろう。


 これでギルドの総数は164人か。

 だいぶ増えたな。


 それを確認してから俺はみんなに告げた。


「それじゃこれから最初の予定通り、ルーゲルパレーズに向かう」


 そう号令をかけると、俺たちは馬車を出発させた。   

第二章、完結しました。


今回の章はヒロイン、ヒロイン候補がそこそこ増えました。

もちろん三章でも増えます。

ですが次回は閑話(というかサイドエピソード)を1話だけ掲載する予定です。


ここまで読んでくれて、ありがとうございました。

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