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説明してみたよっ♪

 

「で、あの変態が、なんかネコ型ロボットみたいに引き出しから登場してきて、こう言ったんだよ。『モテたいというあなたの気持ち。叶えてみせましょう。あなたにはどうやら特別な才能が眠っているようですから。それさえ引き出せば』ってね。それで、やけになってたボクは、お願いしてみたわけさ。そしたらコレだよ」


 と、ボクは肩をすくめた。

 現在、姉さんはボクのOAチェアに座り、サイテンとボクはベッドに腰掛けている。サイテンはあんなことをしてきたヘンタイだけれど、お客様には変わりない。ボクも羽をむしったし、おあいこということで、二人してベッドインしているのだ。サイテンの距離が近いことが正直、イヤなのだけれど、ボクは知らないフリして姉さんに説明していた。ちなみに、未だにワンピースのままだ。できれば早く着替えたい。


「それで、このアクセをくれたんだ」


 あの可愛らしいハートは、右腕に装着している。サイテンが言うには、天使の力と関わった人は、なんらかの能力に見合った装備を最低一ヶ月間しなければいけないらしい。野球の才能だったら渡されたバットを愛用しなければならないし、漫画家ならGペンを、女装ならペンダントを着けなければいけないというのだ。といっても、首元はさすがに目立つし、恥ずかしいから、せめてもの抵抗に、腕輪代わりにしたわけだ。なんかどっちもどっちな気がするけど。


「んー」


 姉さんが背伸びをした。


「にわかには信じがたいけど……。天使とか。でも目の前でブラが消えたりしたから、本当なのかもしれない。どうとも言えるわね。カオルの髪型とか服装はそれで固定なの?」

「いえいえ。このサイテン、そんな生ぬるいことはしませんよ。カオルさんがどうあがいても、髪の毛を短くしようが長くしようが、ひとたびペンダントにお願いすれば、そのときに見合った髪型に強制チェンジします。服装も変わりますし、下着も必ず着用です。ですが、確かに下着も含めて男性の服に着替えることは可能です。カオルさんは元々天性の素質の持ち主でした。私はそれを気付かせるお手伝いをさせていただいたまでです。才能を伸ばすという本当の意味は、その人自身の気付いていない才能を、自覚させてあげることなのです」


 さも、私はプロフェッショナルなんです、とばかりに嬉々として胸を張るサイテン。

 ボクはというと、少し安心していた。だって、着替えることができるんだよ。いや、当たり前のことなんだけどさ、心配してたんだよ。ヘンタイなだけに。ワンピースが固定とか言われた日には絶望だね。でも救済措置があって助かるよ。サイテンのこと、少しだけ見直しちゃったかも。

 ニッコリとサイテンに笑いかけると、ヤツは躊躇なく胸を揉んできやがった。

 頬にビンタしてやったわ。「ありがとうございますッ」って、やっぱりコイツ、どうしようもなく最低だわ。

 姉さんの頬が引きつっている。

 そりゃあ、そうだよね。こんなヘンタイ、おかしいよね。


「あんた、容赦ないわね……」


 って、ボク!?

 ボクがおかしいの!?

 このヘンタイじゃなくてェ!?

 そ、そうなんだぁ。

 次から気を付けよう……。


「まぁいいわ。早く着替えて。どうせ、そんなことだとご飯、作れてないんでしょ。ファミレスに行くわよ」

「私も同席しても? お金なら少しあります」

「割り勘ね」

「ありがとうございます」

「さ、着替えた?」


 いや、そんなに早く着替えれるわけないし。


「ちょっと待って。ごめん。すぐ着替えるから」


 と言い返すも、こちらをじーっと見つめてくる二人。

 気味が悪い。


「えっと……。着替えるから、出てってくれないかな?」

「なーにを言ってるの。姉弟でしょ。気にしない、気にしない」

「気にするよっ」

「まったく。せっかく胸の成長具合を確かめようとしてるのに」

「ボクは男だからね」

「ですです。私の女王様ともあろう方が、羞恥心から下僕の前で着替えることができないとは……。まだまだですよ」

「いつボクが女王様になった! あー、もう。とにかく、出てって!」

「一人で脱げるの?」

「ううう」


 姉さんがニヤニヤしてる。

 悔しい。悔しいけど、こんなの着たことない。時間をかければ脱げるだろうけど、お腹の減った姉さんほど怖いものはない。


「さあ、ショータイムのはじまりよっ」

「覚えてろーっ!」


 羞恥プレイがはじまった!

 

 

 

 




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