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第九十四話《同情》
ボイルとネビューが出会ったのは縛られたまま這いつくばって逃げようとしていたシミーだった。一応ボイルは彼女の話を聞いた。
「成程…」
「…?」
ネビューは話に少しついていけなかった。
「黒いマントを被った男…その男があなたにこの方法を教えたんですね」
「はい…ですから私は」
「誑かされたから悪くない、と?」
「んな理論通用しねぇよ!」
被害者面をして同情を誘おうと目論むシミーに怒る二人だった。
「うっ…」
「さぁ、同行してもらうぞ」
ボイルは縄で縛られて動けないシミーを同行と言うより持ち上げた。
「なぁ親父、その男に心当たりがあるみたいだな」
「…その男が8年前の事件の首謀者と同じ可能性がある」
「マジか!?」
「勿論超機密情報だぞ」
「お、おう…で、それをシンは…」
「勿論シン君は知ってる」
ネビューはちょっとでもシンに近づこうと頑張っている。しかし一体自分とシンはどれだけ差があるのか思い知らされた。