第八十七話《ネビューの死へのフラグ》
ネビューは相変わらず広い王宮の奥でユーラインを見つけられず彷徨っていた。しかしネビューはあることに気が付いた。
「そうだ!いかにも頑丈そうな部屋から順に開けて探せばいいじゃないか!」
ユーラインはこのリアス聖国国王後継者唯一の生き残り、物凄い頑丈な部屋にいるに違いないとネビューは考えた。物凄く短絡的ですぐに考え付きそうな考えだがこれが功を奏した。
「お、ここなんかそれっぽいな」
さっそく頑丈そうな扉を見つけて扉を開けようとした。しかし鍵がかかっていた。まぁ人の侵入を考えて頑丈に作ってある扉に常時鍵がかかっているのは当たり前である。だがネビューはそんなことだろうと策は練ってあった。
「ふっ、扉が開けられないのなら壁を壊して入るのみ!」
ネビューは光球を使い、頑丈な扉のすぐ傍の壁を壊そうとした。普通の人ならば扉が頑丈ならば壁も頑丈に作っているだろうと思いこんな考えは思いつかない。しかしネビューは取りあえずできるんじゃね?と思い無謀にもやってみたのだ。それもまた功を奏した。
光球が当たるとなんと壁が物凄い音を立てて崩れていったのだ。しかも崩れた壁から見えた部屋を見るとそこにはまだベッドで眠っているユーラインが見えた。
しかしネビューは気づいていない。王宮の壁の修繕費がどれほど大金なのか。
「よっしゃ!」
ネビューはガッツポーズをして壊した壁からユーラインの部屋に入り、ユーラインのベッドに近づいた。
「さっき物凄い音をさせたはずなんだがな…」
ユーラインは一向に起きる気配がなかった。ネビューはユーラインの顔を叩いたり水をぶっかけるなどして起こそうと考えたがそんなことして起こしても自分の人生が終焉を迎えることを実行する直前で理解した。
「…仕方ない、取りあえずここに居てもしょうがないし起きてる奴を探しますか」
ネビューは考えた末に眠っている寝間着姿のユーラインをおんぶしてこの状況で寝ていない人の捜索をすることにした。
この部屋で敵の行動を待つのが常道だが、敵が誰かわからない焦りからなのかネビューは寝ているユーラインを連れて行動することを選択した。これが果たして功を奏するのか…。
「…重いなおい」
これを起きているユーラインが聞いたら物理的にネビューの人生が終焉していたかもしれない。
そんな中ネビューが部屋を出たのを見ている老人がいた。先程ネビューが殴った老人である。
「あの小僧…殺してやる…!」