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第七十三話《変装》










シン達四人はリアス聖国の未来とセリルの命を掛けて、一大作戦を実行しようとしていた。作戦は念入りに確認し、不測の事態が起きる可能性とその場合の対処も徹夜をして確認し続けた。徹夜したのはボイルとシンだけでセリルは色々あって疲れているだろうとボイルが気を利かせて眠らして、ネビューは関係なく爆睡していた。


そして明朝、四人は真剣な面持ちで作戦を開始しようとしている。しようとしているのだが…問題がある。


「…ねぇ、どうしてもこの恰好じゃないとダメ?」


なぜなら件のセリルが男装をしているのだ。身長の小ささを誤魔化すため、格好は短パンに半袖という10歳の子どもを意識したものとなっている。胸にサラシを巻いていて、化粧もしていない、そして髪は帽子をかぶっているため誰が見ても男の子しか見えないようになっている。


この変装の案はシンが出した。これなら安全に行けるだろうとの思惑だ。犯人たちなら見抜けるのではないかという意見がネビューからあったが王族がこんなことするはずがないと思っているだろうというボイルの意見に相殺された。


その意見通りセリルは男装に反対していた。だが嫌々ながら男装をしている。なぜかというと、セリルよりも不憫な男が居るからだ。


「当たり前だ馬鹿」


そう、シンだ。犯人がシンの事を知っている可能性があり、セリルの男装が子どもであるためシンがセリルの姉役として女装しなければならないという事になった。髪はなぜか倉庫にあった茶色で長髪のかつら。服は白色のワンピース、下着は流石に男物だ。化粧もなぜかシン自身がが完璧に仕上げ、あとは仕草さえ何とかなれば完璧な女性に見える。


「ハハハハハハハハハハハハハハッ!!何度見てもこれがシンだと思うと笑えてくるぜ!!」


ネビューはシンがシンの女装を見てからずっと笑い転げている。シンがネビューも知られている可能性があると言って女装させようとしたら自分は女装は出来ても仕草は無理だと拒否しているのにも関わらず。そろそろシンはネビューを殺そうかと迷い始めていた。


「ネビュー…そろそろ笑うのを止めなさい。シン君はいたって真面目なんだ」


ボイルだけが今から一大作戦を決行するという雰囲気と服が一致していた。


「わ、わかってるけどよぉ…やべぇ、念写機で撮りてぇ…」


「撮ったら殺すからな」


シンがネビューを睨みつけながらブチ切れ寸前で放った言葉は殺気に満ちておりその恰好に猛烈に合っておらず、表情も女性とは思えない修羅の顔になっていた。


「は、はい」


流石にこれが聞いたのかネビューは一切笑わなくなった。というより笑ったら本気で殺されそうだと思った。


「よし、じゃあ最後の確認だ。これから俺たちは朝一番に出る首都行の魔車に乗る。車両は一つのみだ。俺とセリルは怪しまれないように適当に空いた場所へ一緒に座る。ネビューは運転席から一番後ろ、ネビューさんは一番前の席に座る。こんな辺境の町の朝一番の魔車だからありえないとは思うがもしもそこに座れない場合は何処にも座らずに立っていること。いいな」


「おう!」


「まぁ大丈夫だとは思うけどね」


「魔車に乗ったら俺が『電索』で魔車の進路上に爆発物などの怪しいものがないか密かに確認、ネビューは魔車の後ろにある貨物室にこの荷物を置いてくると同時に貨物室に怪しいものがないかどうかの確認、ボイルさんは魔車の運転手に怪しい動きがないかの常時確認と俺たち二人が何か怪しいものを見つけた時に警備隊の身分を使って運転手に即時報告して魔車を止めさせてください」


シンは人一人が入りそうな木箱を指さした。この中にはシンが放魔石を応用して作った人形が入っている。この中に荷物のフリをしているセリルが隠れていると犯人に思わせるためだ。人形に服を着せてワザと木箱の隙間からはみ出させているため箱の中に人が入っていると余計に思わせれるようになっている。


シン以外が箱を開けると電流が走り対象を動けなくすると同時に四人に伝わるようになっている。もし雷属性の対策がされていても対象の手足を凍らせて動けなくする魔法も複合しているため問題ない。二つの魔法属性を同時に対策することは困難、よってこれ以上と無い犯人ホイホイとなっている。


「これ結構重いんだな」


「人形の中身は空洞だがセリルの体重に合わせるために重石を入れているからな」


「私が重いっていうの!」


「そういう事じゃないから喚くな」


何時の間に体重を調べたのか、この時セリルはあえて言わなかった。なんか怖かったから。


「あとこれは念話紙です。緊急時以外は使わないように」


三人はシンから念話紙を渡された。


「いいか、再三言いますが失敗は許されない作戦だ。いつでも気を張りつめていこう」


「おう!」


「任せなさい!」


「やってやりましょう」


四人は気合を入れなおした。


「ではいきましょう!」


四人は駅へと一歩ずつ真剣に歩き始めた。

















「なぁシン君、その…ウルとミラのことなんだが…」


「どれだけ待っても帰ってこないあいつらの事なんか知りません。大嫌いです」


これを聞いたらミラは発狂しそうだなとボイルは思った。












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