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第五十七話《比較》





「終わったぜチクショー!!」


期末テストが終わった直後のネビューの第一声がそれだった。


「…そう言いたい気持ちは分からんでもないが、時と場所を考えろ」


まだゲイルが教壇でテストの解答用紙を整理している時にだ。ゲイルの顔が険しくなってネビューに静かにこう言った。


「後で職員室に来いよネビュー…!」


あ、これは物凄く叱られるなとクラス全員が思った。











____________________________________________________________











「ネビュー…なんで呼ばれたか分かるか?」


「教室で意味もなくはしゃいだからです…」


ネビューは職員室で他の先生が見ている中で叱られていた。ものすごく恥ずかしさと共になんであんなことを言っただけで叱られなくちゃいけないんだと言う憤りも感じていた。


「これを見ろ」


出されたのはネビューのテストの解答用紙だった。基本的な問題でのミスが多く、軒並み成績が良くなかった。


「この成績で良くはしゃげたな」


「す、すみません…」


自分では手ごたえがあったんだけどなぁ…とネビューは思った。だが次の一言でネビューは怒り心頭になった。


全く(・・)父親とは大違いだな(・・・・・・・・・)


「ち、父親は関係ないじゃないですか!」


ネビューは思わずここが職員室だという事を忘れて、しかも相手が教師だという事も忘れて怒鳴ってしまった。


「…それは優秀な奴しか言えん事だ」


「関係ないです、俺は俺です。父親と比べられるのは苦痛でしかありません」


「父親と比べられると必ず自分が悪く見えるからだろ」


ネビューはゲイルの襟首を掴んで顔を思いっきりぶん殴りたいと思ったがそんな事をしても退学になるだけと何とか踏みとどまっている。


「お前の父親はとても優秀だった、だからこそお前には期待しているんだ」


何を言われてもネビューは憤りしか感じなかった。












____________________________________________________________



















「さてと、こんなもんか」


シンは父親と母親に向けて手紙を書いていた。内容は今学期が終わったらすぐ帰る事だ。


シンは手紙が少し苦手である。こういう時前世であった携帯電話があればと思ってしまう。


この世界では電化製品はなくそれに似た魔法製品が数多くある。しかしシンはそれを殆ど見たことがない。理由は両親がそれを買っていないからであり、そんなものがない田舎で育ったからでもある。


前世では都会で育ったシンだけに最初は便利なものがない生活に少しイライラしたが今ではそれなりに馴染んでいる。


「…やっぱり帰らない方がいいかな」


そう思うのには理由がある、あの母親がいるからだ。正直シンはあの母親が苦手である。嫌いではないが苦手なのだ。しかも何か月も会って無いため帰ったらとんでもないことになる気がする。もう少し節度を保って自重してもらいたいと切に願っている。


「まぁ、何処かに出かけるとはいえ顔は出しておくか」


シンは手紙をポストに入れようと部屋を出ると、外にふてくされているネビューがいた。


「何してんだよお前…」


「シンか…気にするな」


シンは手紙をポストに入れて、さっさと部屋に戻ろうとした。しかしネビューの一言で足が止まった。


「シン…お前の家に行ってもいいか?」


ちょっと何を言ってるのかシンには分からなかった。








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