表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/144

第四十六話《決勝戦その一 空中戦》

あけましておめでとうございます…ってもう5日ですね。今年もこの小説をよろしくお願いします。












先に動いたのはシャルドネだった。決勝戦開始の合図と共にシンに超接近し、そのままシンの腹部を思いっきり殴った。殴られたシンはそのまま吹き飛んだ。


「!!おいシンがまさか一撃で!?」


ネビューだけじゃなく会場中の殆どがこの一撃で決まったかのように思った。だが殴ったシャルドネ本人はそうは思わずそのまま吹っ飛んでいるシンを追った。


実際シャルドネの読みは当たっていた。直ぐにシンに追いついたシャルドネはシンを地面にたたきつけようとした。だがシンは叩きつけられる前に地面を思いっきり蹴り上げ上空へ飛んで躱した。


シンは最初の一撃の時にこれは躱せないと瞬時に判断した。シンの反射神経は鍛え上げられていてこの世界では上位に入るくらいの速さなのだがシャルドネの攻撃の速さはそれを上回っていた。だがただ攻撃を受けただけでは終わらないのがシンだ。シンは攻撃を受けた直後直ぐに後ろへ自分から飛んだのだ。そのまま動かずにいるよりもその方が攻撃の衝撃を軽減させることができ、ダメージを軽減できるためだ。そして次の一撃を受ける前に体勢を立て直し跳躍しようと思ったが直ぐにシャルドネが追いついて来て、ギリギリのタイミングで、そして無理な体勢で飛ばざるを得なくなった。この攻防が決勝戦が始まって約5秒間で起きた。


『な、なんだこの二人の闘いは!?人間の動きじゃないぞ!?』


実況している人も大層驚いていた。ちなみに先程から登場しているこの実況の人は四国魔法決闘で実況しているいわばプロの実況者であり、リアス聖国一上手い実況をすると国から認められた人だ。そんな人でもこの二人の動きは常軌を逸していた。会場全体も驚きを隠せないでいた。そして次はシンの動きに注目が向いた。


「な、なんですかあの動き!?シンさんなにか空中を飛び跳ねてませんか!?」


リンの言った通りシンは空中を飛び跳ねるように空を飛んでいた、しかもジグザグに。これはシンの空中戦専用の飛行魔法だ。足に飛行魔法を一瞬だけ発生させその瞬間に地面を蹴るように空中を蹴るとまるで空中を飛び跳ねながら、歩きながら移動しているように見える。この魔法をシンは『空歩』と名づけた。何故ジグザグに飛び跳ねているかというとその方がトリッキーな動きに見えて相手に跳ぶことを一瞬躊躇させることが出来るためだ。シンの狙い通りシャルドネはその動きに一瞬見とれてシンを追うことはしなかった。その一瞬の時を利用しシンはより高く飛んだ。シャルドネが地面から飛行魔法を使わずに飛べそうな範囲よりも高く飛んだ。


「空中戦の方が得意そうね。なら!!」


シンは空中戦が得意で自分を誘っていると判断したシャルドネはそのまま飛行魔法を使ってシンのいる高度まで高く飛んだ。シンはそれを待っていたかのように笑みを浮かべた。


そのままシンは腕に身体強化魔法を掛け、足に空歩を掛けてシャルドネに接近しそのままシャルドネを殴りつけた。だがシャルドネは腕でガードしてその攻撃を防御した。そして攻撃を当て損ねたシンは直ぐシャルドネから距離を取った。そこでシャルドネは気づいた。


「あなた、部分的に魔法を…?」


「早速気づいたか、なら今の状況くらい気づけるな!」


シンは間髪入れず攻撃をシャルドネに与えようとし、シャルドネに攻撃が当たっても防御されても必ず一撃与えたら直ぐにシャルドネから距離を取る、しかもシャルドネが向いている方向とは逆の方向に。そしてシャルドネがこちらを振り向く前にまた攻撃を仕掛ける。それを高速でずっと繰り返しやると流石にガードしているシャルドネでもダメージは蓄積していく。


『おおっと、これはどういうことでしょうか!!シン選手がシャルドネ選手を押しているぞ!!だがおかしいぞ、シャルドネ選手全くと言っていいほど反撃しない!!』


シャルドネはシンに反撃することなく只々シンの攻撃を防御するだけだった。ここで会場中の人々は疑問に思う、なぜ反撃しないのかと。シャルドネの力なら楽に反撃できてもおかしくない、先程からしっかりと攻撃を防御しているから反応できないというわけではないのにどうしてなのだろうかと。だがそう思えるのは傍観者だけだった。シャルドネは反撃できない理由があり、シンは反撃できない状況へシャルドネを追い込んだのだ。


まず飛行魔法は全身に掛かる魔法であり、身体強化魔法も同様に全身に掛かる魔法で重複は出来ない。シャルドネも例外ではなく飛行魔法を使っている今は身体強化魔法を使えない。だがシンは違って部分的に飛行魔法と身体強化魔法を使っている。そしてシンが身体強化魔法を使っている状態での力量はシャルドネの通常時の力量に少しだけ勝っているため反撃しようとしても防御を放棄してしまうのと同じだ。だからと言って飛行魔法を解いて身体強化魔法を使おうとしたらそのまま急降下してしまう。そして体勢を崩したところを狙われ攻撃を喰らってしまう。シャルドネはシンの策略によって追い込まれてしまったのだ。


このままではジリ貧になってしまう、そう思ったシャルドネは意を決して賭けに出た。そう、飛行魔法を一旦解除して身体強化魔法を使って反撃したのだ。それもシンが攻撃の為接近してきた一瞬を狙って。


「!!」


「流石にこうするとは読めなかったみたいね!!」


シャルドネは飛行魔法による浮力が失われる前にシンに向けて右足で蹴りを浴びせようとした。なぜ蹴りなのかというとシンは先程から殴打しかしてこない。つまり足しか飛行魔法は使えないため足に身体強化魔法を与えることはできない、蹴りは使えないとシャルドネは読んでリーチの長い蹴りを選んだのだ。


それを見たシンは両手を前に突き出した。蹴りを受け止めようとしているのかとシャルドネは読んだ。その方がシャルドネには都合が良かった。受け止めてくれるならそのまま飛行魔法を使って体勢の立て直しが可能だからだ。だがシンは蹴りを受け止めるどころかそのまま跳び箱を飛ぶかのように腕を押した。するとシンの身体はシャルドネの蹴りを躱すと同時にシャルドネの上に移ったのだ。


「俺は腕だと飛べないとは言ってないが?」


飛行魔法なしで蹴りを行ったためシャルドネは体勢を崩し地面へ落下し始めた。シャルドネは直ぐに身体強化魔法を解除し飛行魔法を使って体勢を立て直そうとしたがその一瞬をシンは逃さなかった。シンは身体強化魔法を足に掛け、体勢を立て直そうとするシャルドネの腹部目掛けて踵落としをした。勿論シャルドネは防御できず、シンの渾身の踵落としを喰らって地面に叩きつけられた。


『な、なんなんだこの闘いは!!もう四国魔法決闘の闘いと言ってもおかしくない闘いだ!!』


「化け物ですわ…やっぱり化け物ですわねあの男は」


「…そうですね」


それを見た会場中の人々はもうこの闘いは世紀の大決戦なのだと理解した。


「おい、まさかこんなものじゃないだろうな」


シンのその一言の後、シャルドネが落下してきてできた瓦礫の山にあった大きい瓦礫が一つシン目掛けて飛んできた。それをシンは簡単に片腕で叩き落とした。そして飛んできた場所からシャルドネが出てきた。


「成程強いわね、これこそが私の求めていた強者よ!!」


そのままシャルドネは物凄い速度で飛んできた。先程の飛行魔法を使った時とは比べ物にならない速さだった。そして一瞬にしてシンのいた高度まで飛行魔法なしでもたどり着いた。予想よりも高く飛べるのかよとシンが思った。


「誰も飛行魔法じゃないとここまで飛べないなんて言った覚えはないよ?」


読心術でも使えるのかとシンが心の中でツッコんだ瞬間、今度はシンがシャルドネの渾身の踵落としを喰らって叩き落された。


会場中の誰もが思った、こんなものでこの闘いが終わる訳がないと。


ただ今回の空中戦は引き分けに終わった。










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ