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第四十話《廃人ネビュー》














「シンさん、本当にネビューさんって生きていますよね?完全に魂が抜けているように見えるんですが…」


リンが意識のはっきりしていないネビューを心配してシンにそう質問した。


「大丈夫だ、俺はそこまで鬼じゃない」


「…体が灰のように真っ白なんだが……」


タイソンの言う通りネビューの体はまるで人生全てをやり終えたように真っ白な灰のようになっていた。


「大丈夫だって言ってるだろ。息も脈もあるから生きているって」


「でもその代わり心が死んでますわね……」


ユーラインがネビューの目の前で勢いよく両手を叩いてもネビューはなんの反応も見せなかった。まさに心ここに在らずだった。


「それでどんな魔法を教えたんですか?」


「まぁそれは実際に見た方が早いな。ネビュー、やれ」


「あー」


ネビューは気のない返事をして右手を前に出した。


「最早人よりも人形に近いですわね……」


ユーラインのツッコミを無視し、ネビューは右手から赤色の光線を出した。そして壁に大きい赤色の円が出来た。


「えっ、光に色が……」


リンが驚くのも無理はない。この世界で色のある光なんて存在しないからだ。


「ああ、これが俺の教えた魔法の一つ『赤光』だ。魅せるだけの魔法だから簡単なイメージで済んだ」


そう言ってシンがリンたちに手渡したノートには数十ページに及ぶほど魔法の法則やら必要なイメージがびっしりと書かれていた。


「えっ、ネビューさんこれをたった一晩で覚えたんですか⁉」


「そうだ、正確に言えばこれと同じような魔法を後二つ覚えたんだ」


その事実に三人は驚きを隠せない。何故ならネビューは不真面目で授業も全然聞いておらず、勉強が出来ない印象が強かったからだ。


「…頑張ればできるじゃないか」


「あー」


タイソンがネビューの肩を軽く叩くとネビューはまた気のない返事をした。


「何時になったら戻るんですか…」


リンはただただネビューが元通りになるのか心配で仕方がなかった。


「でもただ赤い光を出す魔法を覚えただけではこの学園の魔法遊戯で勝てるとは到底思えませんわ。例え他に同じような魔法を二つ覚えているとしても勝つのは困難と言わざるを得ないですわ」


ユーラインの指摘にシンはそれを見透かしたように頬を緩ませた。


「ふっ、それはこれを見てから言うんだな。ネビュー、『緑光』と『青光』を」


「あー」


シンが指示を出すとネビューは右手から緑色の光線と青色の光線が出した。すると二つの光線はそれぞれ壁に大きな円となり、先程から出ている赤色の円と重なった。赤色と青色が重なった所は紅紫色に、青色と緑色が重なった所は水色に、緑色と赤色が重なった所は黄色になった。


「えっ、どうして光と光が重なると違う色になるんですか?」


「まぁ詳しい説明をすると丸一日掛かるからしないが、簡単に言うと赤、青、緑は光の三原色と言うものでこの三つの色の光の組み合わせで黒以外の色を全て表せるんだ」


リンの疑問にシンは簡単に答えた。だがタイソンはもっと詳しく知りたくなった。


「…仕組みが知りたい」


するとシンは少し考えてタイソンに確認をとった。


「別に全部を知っていないから断片的にしか説明出来ないがそれでもいいか?」


「…構わない」


タイソンの答えを聞くとシンはこの前ネビューに説明したように説明をし始めた。


「じゃあ説明するぞ。俺たち人間の目…と言うか目を持つ生物は光の刺激を目で感じてそれを三次元の情報としているんだ。色は生物それぞれにある色覚と言うもので色を判断するんだ。その色を判断する材料の色、それを色覚受容体と言って人間は赤、青、緑の三色を色覚受容体としているんだ。だから赤、青、緑の三色の光で人間に見えている全ての色が作れるんだ。他の生物の中には二色しか色覚受容体を持っていないのがいたり、四色も持っているものいる。あっ、確か人間の中にも四色も色覚を持っている人も極稀に居るらしい。俺が知ってるのはここまでだ。うろ覚えだったりする所もあるし間違ってる所もあるかも知れんが概ね合っていると思う」


シンが説明し終わると三人は全然分からないといった顔になっていた。


「全くもって分かりませんわ…」


「…すまん、理解ができない事だらけだった」


するとリンはある事に気がついた。


「まさかネビューさんは…えっと色覚受容体、とやらを理解してるんですか⁉」


「いや、こいつには説明すらしてない」


「何故ですか?」


「これから覚える事が大量にあるのに理解できない事を説明できる訳ないだろ。現にお前ら理解出来てないじゃないか」


シンは口にしなかったがもしネビューにその事も理解させようとしたならネビューは死んでいただろうと言う事は容易に想像出来た。


「…確かにな」


「ともかく俺は教えられる事は全部教えた。後はネビュー自身で頑張る番だ」


「そうですね、何もかも人に考えてもらうのはダメですからね。頑張ってくださいねネビューさん♪」


「…頑張れと言ってもこの状態でどう頑張らせるんだ?」


「あー」


タイソンの言う通りネビューはもう自分で何かを考えられる状態ではなかった。


「……」


シンはタイソンの問いに答えられなかった。


「シンさん、まさか教えた後の事は全くもって考えてなかったんですか?」


リンの疑問にも答えられなかった。リンの言う通り全くもって考えてなかったからだ。


「……」


「はぁ…最悪この男が烈火祭まで目覚めなければあなたが何とかしてくださいよ」


だがユーラインが直ぐにいい提案をしてくれた。二人もそれならいいと納得した。


「…その時は俺たちも協力してやるからな」


「……分かった、考えておく」


それから寮でシンは思いつきでネビューに電気ショックの要領で雷掌を当ててみた。するとネビューは雷掌を当てられると一瞬ネビューの体がとんでもない動きをした。その後数時間程度目を覚まさなかったが、目を覚ましたネビューは元通りになった。人間思いつきでどうにかなるんだなとシンは思った。

















私もうろ覚えの所が多いので間違ってる所がかなり多いと思います。


大目に見て下さい。

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