第百三十八話《形勢逆転》
「さて、どこから行く?」
「やっぱり、あれかな?」
「…は?」
美羽が指差したのは魔法決闘体験会場だった。
「…何故に?」
「え?私の力を把握したくないの?」
「いや、確かにそうしたいのは山々だが確実にお前暴れるだろ」
貰っているであろう転生特典を使って引っ掻き回すのが安易に想像できた。
「暴れるって、私はか弱い一般市民なんだよ!」
「あの白い男を従えてる時点でか弱くもないし一般市民じゃねぇだろ…」
「ま、私としては心の強さを見たいね」
「俺、烈火祭でやらかして出禁だから無理だぞ」
シンは烈火祭で学園一強いシャルドネに勝ったため強すぎて体験目的の客が来なくなることとまた会場を崩壊されることを危惧した聖火祭実行委員から来るなと事前に通知されていた。
「…なにしたの?」
「本気出して会場を崩壊させた…」
「あっ…」
ここで会話が止まり気まずい雰囲気だけが残った。
「ほ、ほら!じゃあここ!ここに行こうよ!」
「ん?…おい、俺のクラスのお化け屋敷じゃないか。お前、怖いの苦手じゃなかったか?」
「い、いいいいいいやそそそそそそそそんなことな、ないよ?」
どうやら話の流れを無理やり切るために勢いで指差したみたいだ。これは、いじり返すチャンスだとシンは悪い顔になった。




