第百三十話《手助け》
どうしよう、シンはこういう時どうすればいいのか悩んでいた。
「いいじゃねぇかちょっとくらいよぉ!」
「そうだぜ姉ちゃん、俺たちと遊ぼうぜぇ!」
いかにも悪ぶっている男二人組に絡まれた。普段のシンなら気絶させるか取り押さえるなどしてこんな二人組の小物なんてどうにでもできるのだが今のシンは女装中、しかも目立ってはいけない立場にある。もう目立っているのではと言ってはいけない。
「ほらほら行こうぜぇ」
シンの手を無理やりつかんできた。もうしょうがないから誰も見てないところで気絶させようと思ったその時手を掴んだ男が吹っ飛んだ。
「ひでぶっ!?」
「私の親友になにしてんだ!」
助かったけど助けたのは今シンが一番会いたくない人物であり今一番来てほしくない人物、シャルドネだった。
「この女…」
「チェストォ!」
「ぐえっ!」
もう一人の方もシャルドネの蹴りにより吹っ飛ばされた。
「大丈夫だったココロちゃん?」
「は、はい。ありがとうございます…」
全く持ってありがたくないしとっととどこかに行ってほしい、今は構ってる暇などない。だがこのまま離脱するにしてもどうすればいいか。
「どうしたのシャルちゃん…ってココロちゃん?遊びに来てたのね」
「は、はい」
「そういえば弟のセリン君はどうしたの?」
「来ていますが今はちょっと…」
さらに追い打ちをかけるようにルナが現れた。シャルドネだけなら少し考えて口八丁でどうにかできたのだがルナも一緒じゃあちょっとまずい。このままだと交渉に遅刻する。交渉事に遅刻はやってはいけない。本当にどうするかと頭の中で頭を抱えるシンだった。するとなにやら白い執事服を着た男が近づいてきた。というかよく見ると執事服を着たあの白い男だった。
「失礼、お嬢様お探ししましたよ」
白い男の言葉を聞くとシンは思考を加速させた。
「すみません、つい友人とお話ししてしまい…」
「早くこちらに、あのお方がお待ちです」
「あ、ごめんなさい、用事があったのね。ほら、邪魔みたいだから行くわよシャルちゃん」
「う、うん。またねココロちゃん!」
白い男の手助けによって二人は去った。白い男が女装を見抜けるわけないから転生者の差し金だなと思ったのと同時にそれなら胸の校章に気づいたのかそれとも漢字に気づいたのか分からないが高校の同級生だという可能性が出てきたなと考えた。