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第百二十九話《注目》
翌日、時折入場者の注目を集める人がいた。その清楚さから男性からは下心のある、女性からは羨望の視線を集めるその女性は実は男である。
「…」
勿論その人は女装したシンである。注目を集めてることを気にせずシンは考えていた。なぜ朝に、それも人目の付きやすい共有スペースを会う場所に決めたのか、と思ったが白い男が独断で決めたような感じだったので深い意味はないと結論付けた。そんな中念話紙に反応があった。
「どうかしましたか?」
『シン、見つけたぞ例の少女。お前の言っていた両親らしき人も一緒にいる』
ネビューからの連絡だった。どうやらミーシャを見つけることが出来たらしい。
「そう、なら手筈通りに。接触はできるだけ避けるように」
『分かった、しかし念話中くらいは女言葉を止めても…』
「うるさい」
シンは小声で捨て台詞を吐き念話を切った。これでこっちに集中できると意気込みシンは共有スペースのある方へ歩く。
「ねぇねぇ御嬢さん、俺らと一緒に周らない?」
「いえ、約束があるので遠慮させてもらいます」
道中男共からナンパをされまくったが全て断った。