第百二十五話《男装》
シンが白い男の拘束具を解除すると白い男は明日の朝共有スペース、ミーシャと昼食を食べたところで待つと言い残して光速で去った。
「…さて、どうするか」
「何を?」
「変装だ、流石に素顔で交渉は出来ないだろ」
「普通にエリスのやつを使えば良いんじゃないか?」
「別にそれでも良いんだが…」
「あ、もしかしてじょ…」
ネビューが女装と言いかけた瞬間シンの拳によりネビューは壁にめり込んだ。
「材料になる皮とかがもう無いんだよ馬鹿」
「買いに行くにしても経費で落とせないしそもそもあの皮を取り寄せるには数日かかるしな」
みんなが悩んでいると帽子を被った少年が割り込んできた。
「ならこれを着ればいいじゃん」
「え?誰?」
「何やってんだお前…」
その少年は男装をしたセリルだった。ユーラインはセリルだと気付いていない。何故かセリルの男装が上達しているからだ。
「話は聞かせてもらいました!さあ、あの時のように女装しましょう!」
「何で興奮してんだお前は!しないぞ!あの時は仕方なくやっただけだ!絶対しないからな!」
「あの時って事は前にしてたの?」
ユーラインが疑問を投げかけるとシンは焦りを見せ始めた。
「いや違うんだ!女装はしたがしてないんだ!」
「何を言ってるんだお前は…」
結局シンの抵抗虚しくシンが女装する事となった。そう決まったときのセリルの顔は満面の笑みだった。
シンはもう少し皮を買っとけば良かったと後悔した。