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第百一話《トゥール王国》








まさかの責任者になってしまったシン。仕方がないため早急にこの案件を済ませることにした。


「それじゃあまずどういった物にするかを考えるか…」


「そうですね、何か考えがある方はいませんか?」


リンが意見を求めると誰も手を挙げなかった。意見がないというより意見を挙げてもシンのアイデアに遠く及ばないと全員が悟っているからだ。


「誰もいないな、それなら俺から言わせてもらおうか。お化け屋敷は恐怖の感情を引き出させることが重要だ。恐怖とは想像から生まれるものだ。だから…」


これは長くなるなと誰しもが思った瞬間、ネビューが手を挙げた。


「なぁシン、そう言う難しいことは置いといてまず協力してくれる会社を探すのが先だと思うぜ?」


「は?」


ネビューの意味不明な発言にシンは思わず間の抜けた返事をした。


「そういえばシンさんはそういうことには疎かったですね。聖火祭の出し物は全て生徒自身で取り組むことになってます。予算、建築、改装その他諸々全て自分たちで負担することになってます。先生や学園はよほどのことがない限り一切助けてくれません」


「…だからお化け屋敷を作る際、大がかりになってくる建築工事を協力してやってくれる建築会社を探して確保するのが先ってことか」


「さすがシンさんです!聖火祭準備期間は他のクラスもそういった工事を受注しますから早くに受注しないと全部自分たちでやるってことになりかねませんからね」


リンの説明で何とか理解したシンだった。こういうところは地球(前世)の学校より進んでいるんだなとシンは感心した。


するとユーラインが座席から立ち自信満々にこう言った。


「その件に関しては安心してください。私がもう見つけています」


「早いな、ってもし工事とかが必要ないのが選ばれたらどうするつもりだったんだよ」


「その辺も抜かりありませんわ。装飾関連にも精通しておられる方なのでお化け屋敷を造る際にも役に立ってくれるはずですわ」


「方…ってことは会社じゃなく個人ということか」


「ええ、しかもあの技術大国トゥール王国から技術交換のために派遣された素晴らしい方ですわ」


トゥール王国という単語が出てクラス中がどよめき始めた。トゥール王国、四国の中で一番の魔法技術力を誇る国である。なぜそうなったか理由は定かではないが四国一資源が乏しい国でもあるため少ない資源でやりくりするために技術が進歩したのではないかという説が有力だ。そんな国の人が助っ人なら大丈夫だろうとシンは思った。


「それなら大丈夫だろう。よしユーライン、その人の予定が空き次第直ぐにここに来てもらえるようにしてくれないか?」


「それもご安心ください、もうそのお方の予定は抑えてあります。明日にはここに来る手筈になっていますわ」


「手が早すぎないか…?」


「…ここまで来ると逆に不安だ」


ネビューとタイソンはユーラインの手の早さに不気味さを感じた。


「まぁいいじゃないか。では本格的に考えるのは明日にしよう。みんなは明日までに何があると怖がるのかを考えてくれ」


これで少しは早く終わって転生者のことを考える時間が確保できるだろうと安易に思ってしまったシンだった。










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