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ある日の話 2

 この殻阿からあ中学校では手洗い・うがいを励行れいこうしている。食事後のエチケットだということで学校の規則に決められているのだ。ある日、真坂が手洗い場でうがいをしていると不穏な影が………………


 音もなく、足音を殺して近づいてきたゆかりにわきばらをこづかれる。

「がふぁっ!?」

 いきなりだったことと、わきばらに響いた痛みに真坂は水を吐き出してしまった。

「い……いきなり何すんのよ!?」

 ゆかりに怒りたい真坂ではあったが、苦しさでむせが止まらないので彼女に怒りが伝わっている感が六割くらいしかない。


「いゃあ」

 彼女は悪びれもせずにのたまう。

『がふぁ!?』って言うかなーと思って」

 思い通りの行動をした真坂にゆかりは笑いが止まらない。

(試すなよ)

 ゆかりの行動に怨念を発している真坂を気にしないゆかりであった。



 この中学校恒例のうがいの時間、真坂は何日かゆかりを観察してお返しのチャンスをうかがっていた。 チャンスを感じた真坂は――

「うりゃあ!!」

 ウキウキした声で油断していたゆかりのわきばらを真坂はこづき返す。その反動でゆかりが歯磨き粉を含んだまま水を飲み込んでしまった。


「飲んじゃった――!!」

 さすがにそこまでする気がなかった真坂はオロオロする。ゆかりに何倍もの報復をされてしまいそうと考えると怖くて汗が吹き出した。



 ある日の帰りの会、真坂達の担任はやる気が空回ったのか教卓を叩いて間抜けな発言をする。

「突然だが明日はっ、持ち物検査をする!!」

 得意気な担任に同情しているのか、間抜けだと思っているのかは生徒それぞれだが教室が静まり返った。

「何だ、お前ら。やましい物でも持ってきているのか、黙っちゃったりしてよー」

 一人楽しそうな担任には悪いが真坂達だけでなく、クラスメイトの心境も同調しているだろう。

(言ったら意味ないよ先生!!)


 

 そんな微妙な空気の中、悪気なく、真坂が核心に迫ったことを言う。ゆかりは「何、言ってるの」という心境だ。

「先生ーっ、持ち物検査は予告したら意味がないと思うんですがー」

 それを聞いてしまったと表情に出した担任、今気づいたので焦りを隠せない。それを悟らせまいと平静を装って嘘を語る。


「何を言ってるんだ……そう、すべて計算!! 先生は君達の良心を信じているからこそあえて予告したというのに…………」

 しかしクラスが一瞬静まり返ってヒソヒソ声が聞こえ始めた中、担任の先生が怒りでごまかし出した。

「そんな親心がわからんとは何事だ! よって全員補習!!」

 “逆ギレー!?” 

担任の先生の理不尽な怒りにクラス全員の心が一つにまとまったのは言うまでもない。


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