第87話
今年の誕生日イベントです。
5月末、アルテミシア学園では中間試験が行われる事となった。
そして生徒達も思い思いに試験に挑み、全ての試験を終えた。
2年1組の教室でも、生徒達の安堵や疲労の声等が上がっていた。
「やっと終わった~」
「今回もどっと疲れた…」
「皆、お疲れ様」
「う~、本当にきつかったです~!」
「アリアもお疲れさん」
「それじゃあ、私も生徒会に行ってくるから」
「試験明けなのに?」
「本当、生徒会も大忙しだな」
「そう言う事。それじゃあ、行ってきま~す!」
という感じで、エミリアも教室を出て、生徒会室に向かうのだった。
「…本当、アイツも良く働くなぁ…」
「そりゃそうだよ。国を背負ってる身でもある以上」
「それも、前世から続いている役割だって聞いた事で、尚更ね」
「エミリアもアラタも、500年前から続く夢と理想の為に、そして2人が信じる道の為に、2人共毎日励みに励んでいる日々を過ごしているから」
「そう、だからこそ、僕達もそんな2人を支えてあげないとね」
夕方、女子寮、エミリアの部屋
生徒会の仕事を終えたエミリアは一息付いていた。
「ふぅ、終わった~」
「お疲れ~」
「さて、今日の夕飯、何作ろうかしら」
と、エミリアは台所へ行き、食材の確認をやり始める。
「アタシはビーフストロガノフが良いな~」
「フィーナったら、欲張ってない?」
「まぁ、それはそうと、来月にはまた、アンタとカイトの誕生日だって控えてるけどね~」
「そう言えば、その時期も近づいて来たんだった」
「で、今年はどうするの?」
「どうするって?」
「決まってんでしょ?アラタとどういう誕生日を過ごしたいかよ。カイトは別に普通で良いでしょ?で、アンタの方だけど、折角だから彼氏とバースデーデートに洒落込む気なんでしょう?遊園地とか映画とかショッピングとか色々回って、お洒落なレストランで食事して、最後には綺麗な夜景で熱~いキッスを…」
「って、ちょっ、盛り過ぎ!盛り過ぎ~!」
「何よ?恋人と過ごす特別な日なんだから、これくらいどうって事ないでしょう?」
「そりゃあ、私だってアラタと2人きりで色々やりたいけど、あんまり派手過ぎるのはぁ!」
「何言ってるの?そこら辺の好意、ちゃんと受け取るのもいい女の要素でしょう?折角だから甘えておきなさい」
「うん、分かった、そうする」
こうして、エミリアも夕飯の支度に入っておくのだった。
こうして6月に入り、アルテミシア学園でも夏服に衣替え、国中の気温も高くなり始めた。
そして2年1組教室でも、エミリア達は誕生日に関する話をしていた。
「それじゃあ誕生日なんだけど、丁度休日だし、日の出ている内はエミリアはアラタさんとデートして、そして夕方からカイトと2人合わせてのパーティーを開くって事で」
「えぇ!?皆までそう言う事言うの!?」
「そりゃそうでしょう?折角の誕生日なんだから、彼氏彼女での2人きりの時間は大切でしょう?エミリアだって、そう言う時間があれば嬉しいでしょう?」
「それは、そうだけど…」
「兎に角!ちゃんと交際を続けるなら、そこら辺もちゃんとしておく!でなきゃあ、倦怠期を迎える事にもなっちゃうよ!」
「うぐっ!?…分かったわよ。じゃあ、学校終わったら、アラタにも相談するから」
「そうしとけ。アタシらの事は気にせず、デートを楽しんで来い」
そうして、エミリアもアラタにデートの約束を取り付ける事となった。
休日、城下町、噴水広場
夏の勝負服のフリルトップスとスカートに身を包んだエミリアが噴水の前に座り、そこにカジュアルな服装のアラタがやって来た。
「待たせたな、エミリア」
「ううん、今来た所」
「えっと…何処か行きたい所はあるか?お前の好みに合わせるから」
「えっ、そんな悪いわよ、折角の休みに」
「いや、良いんだ、これくらい。後、下手するとカガリに怒られそうだし」
「えっ、そう?それじゃあ…一端涼しい場所に行きましょうか」
「あぁ、そうだな。暑い中待たせたんだから、そこら辺気を付けてやらないと」
そう言って2人は涼める場所を求めて移動を開始する。
「先ずは商店街の方に行きましょうか。カイトのプレゼントを選びたいし」
「分かった。俺も付き合う」
そして2人はアクセサリーショップに入り、色々なアクセサリーを見ていく。
しばらくして、エミリアとアラタはこれだと思った物を購入した。
「フフフ、これならカイトも気に入ってくれるわね」
「あぁ、そうだな。…エミリア、手を出してくれ」
その言葉に首を傾げるエミリアが手を出すと、その指に銀の指輪が嵌められた。
「これ…!」
「俺からの誕生日プレゼントだ。その、銀は魔除けの効果があるし、ちゃんと男がいる事の証明にもなる。この為に、お前の指のサイズを確認したり、売ってる店も調べたりもした。って、やっぱり自分で言ってて恥ずかしくなるなぁ!」
指輪の場所は、親指は右手: リーダーシップや指導力を高め、勇気を与える、左手: 目標達成や信念を貫く力を象徴し、自己肯定感を高める。
人差し指は、右手: 集中力を高め、現実を導く力がある、左手: 積極性を高め、精神的な成長や目標達成への行動を促す。
中指は、右手: 行動力を高め、直感力や自信を与える(邪気を払う効果も)、左手: 協調性を高め、人間関係を円滑にする。
薬指は、右手: リラックス効果やインスピレーションを高める力がある、左手: 愛情や絆を深める象徴で、婚約指輪や結婚指輪をつけるのが一般的。
小指は、右手: 自分の魅力を高め、自信を与える、左手: 変化やチャンスを呼び込み、新しい出会いを引き寄せる。
当然、アラタが付けてあげた位置は、左薬指である。
「うふふ、ありがとうアラタ。私もこの指輪、大切にするわね」
「そ、そうか。よし、それじゃあ、次行こうか、次!」
アラタも照れ隠し気味にエミリアの手を取って歩みを進めていった。
丁度お昼時となった為、2人は近くのレストランに入る事にした。
「次に行く所だが、水族館はどうだ?丁度これからショーの予定があるんだ」
「良いわね、それ。それじゃあ次は水族館に決まり!」
「意外と食いつき良いな…。それ程までに好きなのか…。で、その後に水辺で噴水アーチを観賞したら、本番のパーティーを迎えようか。最後くらい、皆で祝わせてやりたいし」
「あぁ、確かに。私達2人だけではしゃぐ訳にはいかないものね」
「それじゃあ、食べたら早速水族館へ向かおうか」
そして食事を済ませた2人は水族館であらゆる水槽を通っていき、会場でペンギンやアザラシ達のショーを鑑賞、お土産も買っていく。
そして水辺のアーチを2人で感慨深く眺めるのだった。
「綺麗ね…」
「あぁ、そうだな。本当に綺麗だと思う」
「私も考えた事無かったなぁ。こんな風に彼氏と誕生日デートだなんて」
「それは俺も同じだ。彼女の誕生日にここまで付き合う事になるだなんて」
「そうね…。だからこそ、絶対にこの時間を壊されたくないなって思う」
「"天の笛"か」
「えぇ。彼らが何を狙っているのかはまだ分からないけど、人間もエルフも獣人もドワーフも魔族も、この平和を謳歌して生きているのよ。そんな人達の安寧を壊す様な真似は絶対にさせるつもりはない」
「それは俺も同じだ。だから俺も奴らからこの世界を守ってみせる。…っと、そろそろ行くか。アイツらも待ってるだろうし」
「そうね、行きましょう」
そうして2人はアルテミシア学園へ向かうのだった。
アルテミシア学園、女子寮エミリアの部屋
本日のメインである誕生日パーティーが開かれていた。
『ハッピーバースデー、エミリア、カイト!』
『ありがとう、皆!』
「いや~、そっちもバースデーデート、上手くいった様で何よりだよ!」
「当たり前だ、これくらい」
「今回の私達のプレゼントは共同で用意したんだよ!と言う訳でこれ、縁起を招く置物!これから部屋に飾ってね!」
「素材はアタシとハルトマリーで集めて、スバルとアリアが作ったんだぜ」
「ありがとうね、皆。あっ、そうそうカイト。これ、私達から」
「どれどれ…。…これ、魔法石の入ったブレスレット?」
「ほら、カイトは剣技1本で前線で戦う事になってるでしょ?それに、この前のフェミンの時みたいな事だってあるし。その魔法石は防御力を上げる効果があるし、自分に害を成す存在の接近も知らせてくれるの。良かったら、自分の身を守る為に使って頂戴」
「ありがとう、姉さん、アラタさん。これから使わせて貰うよ」
「…ん?エミリア、その指輪、もしかしてアラタさんから貰ったの?」
「へぇー、やるじゃん!彼氏から指輪を貰えるなんて、かなり進んだんじゃない?」
「もう、揶揄わないでよ!」
「アハハ!赤くなっちゃって可愛い!」
「ほらほら、時間も押してるし、パーティー始めるぞ?」
「あ、ごめんアラタ。ほらほら、早く食べて食べて!」
こうして、今年の誕生日も、盛大に祝われながら過ごす事となった。
これから、エミリアに幸あれ。




