第83話
交流会3日目、開始!
交流会3日目、影の円卓の者達も、流石に焦りを見せていた。
「で、今日が最終日な訳だが、本当に大丈夫なんだろうな?」
「我々ももう後が無いぞ?」
「静粛に!なぁに、今回は証拠さえ押さえられる心配の無い計画だ。流石に向こうもこれは予想していないから、何とかなる。ククク、これで今度こそアルテミシアの敗北は確定事項となった」
"天の笛"のスポンサーは、この計画からの絶対的な自信からか、余裕の笑みを浮かべていた。
セフィアスタジアム、第9競技「フライングダンス」
選手達が次々と空中で演舞を見せ、審査員や観客達を魅了していく。
そしてアルテミシアの選手の番となった途端、ステージの下にいる係員が何かを取り出した。
(昨日のウォールクライムは失敗したが、今度こそ…!)
係員が取り出した魔道具のスイッチを入れようとしたその時、係員の腕が糸に縛られ、そして見えない何かに魔道具を取られて取り押さえらえ、口を塞がれた状態で通路まで引っ張られる。
そして通路に入った係員は壁に叩き付けられ、その目の前にトウヤとポポルが姿を現した。
「…っ!?お前ら、何処から!?」
「僕お手製の透明マントで姿を消していたんだなぁ、これが」
「ポポルもトウヤと一緒に透明になって、糸を出したんだよ~」
「トウヤ様~!」
と、そこにセラとカンナが駆け付けて来る。
「そいつが、黒幕と繋がっている不届き者ですか?」
「そうだよ。これが今回使おうとしていた魔道具。鑑定してみた所、大気中のマナに悪い力を働き掛けて、それでマナを乱すジャミング装置。恐らく、これを使って事故を装って、うちの選手の邪魔を図っていたんだろう」
「成程」
と、セラが剣を抜いて係員の喉元に突き立てる。
「ひっ…!」
「言え。誰の差し金で不正を働いた?この魔道具も、そいつが与えたんだろう?言わなければ、剣をその喉に突き刺すぞ」
「そこまでだ」
と、そこでアトラが待ったを掛けて歩み寄って来る。
「冒険老君…!」
「この者は、この魔道具でステージのマナを乱そうとしていたんです」
そう言ってトウヤはアトラに魔道具を手渡す。
「…ふむ。この魔道具は簡易的なジャミング装置。大方、金に釣られて不正の片棒を担がれただけで、こいつ自身は、詳しい事は何も知らんだろう。連れていけ」
『はっ!』
と、アトラの後ろに控えていた者達が係員を連行していく。
「Sランクのリーダー自ら、この場にお越し頂けるだなんて、僕も驚きました」
「なぁに、次期Sランクリーダーが出張ってる上に、新たにSランク入りしたエミリアの舞台でもあるんだ。私だって、そんな2人の姿を見る為に、こんな老体でもやって来る事はあるさ」
「それも言い得てますね」
「君も、高みを目指してみたらどうだ?」
「遠慮します。僕は皆とのんびり過ごしたいので」
「そうか」
「では、僕達はこれで!」
と、トウヤ達はその場を去っていくのだった。
影の円卓の者達も、更なる焦りを見せていた。
「まさか係員の買収と渡した魔道具までバレてしまうだなんて!」
「仕方ない!こうなったら最終手段だ!騒動を起こして大会を中止にしろ!」
観客席に居た工作員が動き出した途端、何処からか伸びたロープに縛られ、外に転移させられる。
「一体何が!?」
「俺達が引きずり込んだからだ」
と、純白の盾が姿を現し、ロープの先もロッソが持っていた。
「皆が楽しむ祭りを、汚い大人の私利私欲で汚させる訳にはいかない!」
「くっ…!?緊急発令!ジャイアントゴーレムを向かわせろ!」
と、工作員が通信水晶を使うと、山の方から轟音と共に岩の巨人が現れる。
そしてロッソがそれに驚いて縄を緩めた隙に工作員も逃げ出す。
「ハハハ!こればかりは例えSランク冒険者だろうが止められ…!」
と、その時、工作員に影が差し掛かり、よく見るとそれは、大剣を振り被りながら跳んでるカガリだった。
「折角の休暇だってのに、ろくでもない事してんじゃないわよぉおおおお!」
そして振り下ろされた大剣により、工作員はクレーターの中で気絶するのだった。
「カガリさん、流石です…」
「そんな事より、あれどうするの?」
「大丈夫っスよ。ちゃんと専門家がいるんで」
ジャイアントゴーレムの進行方向に、ソーマ、サーシャ、ランスロット、アラタ、シェーラがいた。
「あいつら、あんな物まで隠し持っていたとはな」
「よっぽど、アルテミシアの邪魔をしたかったみたいね」
「ソーマさん、お願いします」
「応!サイバーチェンジ!」
<ダイブ・オン!>
そしてサイバーレッドに変身し、5体のロボを呼び出す。
「電脳合体!」
<電脳合体!>
<完成!サイバーキング!>
そして合体が完了し、集合コクピットに5人が乗り込む。
「5人の心を合わせて、あの岩の怪物を倒そうぜ!来い、キングサイバーソード!」
そして亜空間から剣を取り出し、ジャイアントゴーレムへ駆け出す。
そして剣を袈裟斬り、次に左一文字斬り、最後に逆袈裟斬りでゴーレムを仰向けに倒れさせる。
<止めだ!サイバーキング!ヴァリアブルスラッシュ!>
そしてサイバーキングが背中の翼を広げて飛び上がり、剣を構えてエネルギーを収束。
溜まり切った所で真向斬りで立ち上がったゴーレムを斬る。
それによって真っ二つに斬れたゴーレムは爆散。
サイバーキングはその爆発を背にポーズを決めるのだった。
こうして、裏側での活躍の数々により、交流会は無事に終了。
これから表彰式が開始される。
「え~、今年の交流会も白熱した展開が繰り広げられました!それでは、先ず各部門から!芸術部門メルティチーム、戦闘部門フィルビアチーム、体力部門ブレジアンチームが入賞!最後に総合部門の順位は、5位セフィアチーム、4位メルティチーム、3位ブレジアンチーム、2位フィルビアチーム、1位アルテミシアチームだ!」
そして観客席から歓声が湧き上がる。
「それでは、アルテミシアチームにトロフィーを授与しますので、皆様も盛大な拍手でお出迎え下さい!」
そして会場からの拍手と共に、トロフィーが授与される事となった。
そして閉会式を終えた後、ウェインはスタジアムの外に出ていた。
「不味い…!まさかこちらの妨害が全部失敗するだなんて…!兎に角今は…!」
「ジルティナに連絡して、判断を伺っておこうって所かしら?」
その声にウェインが振り向くと同時に水の塊をぶつけられ、全身ずぶ濡れで仰向けに倒れ、頭を上げると、エミリアがゆっくりと歩きながら近づいて来ていた。
「エミリア様…!?一体どうして…!?」
「私が貴方のスパイ行為に気づいてないとでも思った?」
「…っ!?」
「オリエンテーションの時、奴らが日程や場所を正確に把握していた事で、こちらの情報を流している者がいる事は分かっていた。去年の時に襲撃が無かった事で会長達は除外。そして残ったのが貴方1人よ。それでこちらでも交流会に関する会議を始めた日に、私もボディタッチで注意を引きながら探知魔法で通信水晶を探しつつ、うちの妖精に盗聴用の術式を仕込んで貰ったのよ」
「あの時か…!」
「そしたら予想通り、人目を盗んでジルティナと連絡を取っていた。こっちでも盗聴を利用して、事前に予防策を打っておいたのよ。そしてカガリさんに頼んで貴方の経歴を見せてもらったらビンゴ。経歴の所々に、改ざんの形跡が発見された。それじゃあ、貴方を経歴詐称と八百長の助長の容疑で逮捕させてもらうわよ」
「…ククク。身元を偽っているのはお前も同じだろう、スレイ・ワーグナー!」
「…っ!?何処でそれを!?」
「お前が夢の中を満喫している間に、うちの死霊使いがお前の魂を調べといたんだよ!この事は既に組織の人間全員知っている!覚えておけ!いずれお前を王女の座から引きずり下ろすと言う事を!」
そう言ってウェインは転移結晶を使って逃げ出すのだった。
影の円卓の者達もまた、想定外の事態に慌てふためくのだった。
「クソっ!まさかこちらの工作が全て失敗してしまうだなんて!」
「やけに連中の動きが良すぎると思ったら、こちらの情報が漏れていただなんて!」
「ギャンブルも破綻!それどころかこのままでは…!」
「はいは~い!全員動かないでね~!」
と、そこにミザリーが現れ、円卓の者達は身体を足元から盛り上がった岩によって封じられてしまう。
「此処の事は私の"目"で捕捉させて貰ったよ~。そしてリアナちゃん、お見事~!と言う訳で、貴方達を違法賭博及び八百長行為の現行犯で逮捕~!」
こうして、裏で暗躍する者達も捕らえられる事となった。
夜、セフィアスタジアム、空き会議室
エミリア達は、今回の件に関する密会をしていた。
「…そうか。ウェインを取り逃がしたか」
「まさかエミリアの正体がバレてただなんて」
「これからはそこら辺にも気を付けなくちゃならないと言う事か」
「ならば我々もエミリアの事を秘密と共に守ればいいだけの話だ」
「お兄様…」
「ほら、後の事は我々大人でやっておくから、お前達もパーティーに戻れ」
「はい!行って参ります!」
そう言ってエミリア達は部屋を出て、パーティーへと向かっていった。
「…そうさ。子供達の輝かしい未来を、奪わせる訳にはいかない」
こうして、今年の交流会も無事に終える事となった。
今年の交流会も無事終了!




