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第78話

今期の1年生のオリエンテーション開始。

 アルテミシア学園、生徒会室

 今日この時も、1年生のオリエンテーションに関する会議が行なわれていた。


「当日の引率については、教員はケビン先生が引き続き担当。そして冒険者の方は純白の盾(セイクリッド)が引き受けてくれる事となりました。彼らの信用と実績ならば、何も問題は無いでしょう。以上をもちまして、会議を終了します」


 こうして会議は終了。

 そしてウェインも、階段の中間踊り場で秘蔵回線を使っていた。


「…以上が、オリエンテーションに関する情報です」


<了解。こちらでも当日に合わせてミルザを向かわせます。彼女のターゲットが孤立した時を狙って襲撃を行う手筈となっています。そして他の者達についても、奇襲部隊を派遣しておきます>


「確かに、それなら彼女のプライドを刺激する事無く、問題を起こせますね。分かりました。それではまた」


 そう言ってウェインは通信を終え、教室に戻っていく。


「さてと、向こうもどうなるのか、見物だな」




 1週間後、アルテミシア王国、山岳地帯

 今回もまた、今期の1年生達が集まっていた。


「ではこれより、本日から3日間、野外演習を行う!これは野営を行う時が来た時の為の訓練も兼ねている!今回の警護には、Aランクパーティー純白の盾(セイクリッド)が担当する事となった」


「改めまして、純白の盾(セイクリッド)リーダー、シェズ・サリズです。我々も責任を持って、皆さんの引率をやらせて貰います」


「それでは、移動を開始する!」


 ケビンの号令で1年生達は森の中へ入っていく。

 その裏で動く影の存在に気づかずに。


「こちら奇襲部隊。手筈通り、尾行を開始します」


<了解。奇襲のタイミングはこちらで知らせる。指示は追って待て>


 そして生徒の中に1人、何かに気づいた反応を見せる者がいた。


「何か悪意の反応を感じる。まさかこの世界にもアイツらが?」


「どうするの、春香?」


「大丈夫、私が皆を守って見せるから」




 アルテミシア学園、図書室

 エミリア達が勉強をしている中、カイトが徐に口を開いた。


「ちょっと気になる事があるんだけど」


「何?分からない所があるの?」


「いや、勉強じゃなくて…」


「勉強じゃないなら何だよ?」


「"天の笛"の連中絡みでね」


「アイツらの?」


「先ずミルザなんだけど、初めて会った時から彼女の事、何か軽い奴だなって思ってたんだよね」


「それはそうでしょう。彼女、自己主張が激しいタイプの1人なんだから」


「どういう事?」


「先ず彼女、自分の容姿や力を見せつけてる様な態度を見せてたでしょ?あの自己アピールの強さは、自分が如何に優れているのかを見せつけたい人によくある傾向よ。それに、事件を起こしてた時でも、他人を見下す様な取ってもいた。そう言うのは、「自分はお前ら何かよりも凄いんだぞ。自分はお前らよりずっと上の存在だぞ」と言う自慢しかなく、そう言う態度を見せつける様な人は、私だって重宝しない。何故なら、「自分は偉い。自分こそが絶対だ」等と勘違いした考え方の人は、勝手な判断で先走る傾向にあるからよ。実際、バザーグ達の性の要素を奪った件と、春休みでの件も、彼女の独断だったみたいだし、手柄を主張する言動だって見られた。でもって、自分の名前を連呼してる時点で、承認欲求が強い。まぁ向上心は有りそうだけど、いずれ自分の力を驕って出しゃばり、肝心な局面で大失態を犯す事になるわ」


「エミリア、アイツに数回会っただけなのに、よくそこまで見抜けるね?」


「私だって人の上に立つ王族よ。人の気持ちに関する勉強だって欠かしてないわよ。まぁ、後は経験ね。私も社交界や冒険者活動で、あらゆるタイプの人間に会ってきたから」


「確かに。そんな生活を送っていれば、観察眼だって養われるか」


「ミルザについて何となく分かった。後、問題は向こうに着いたって言う転生者と転移者だよね?ソーマ達みたいな、人としての倫理観や正義感を持ってる人達なら、敵になる心配は無いでしょ?だから"天の笛"に加担する様な人って、どんな何だろう?」


「恐らく考えられるとしたら、劣等感や暴力性等言った、負の感情が強い人か。彼らの計画に強く共感出来る感性や思考を持った人格の持ち主か。最悪の場合、自らの私利私欲の為に、組織を利用しようとしている卑怯者の場合だってあり得るわ。まぁこれらについては、向こうだって馬鹿じゃない。ちゃんとそこら辺も見抜いている筈だろうし、事前の対策だってしてる筈よ」


「成程~」


「さぁ、無駄話はここまでにして、勉強の続き!」


『は~い!』


 こう言う話をしながら、エミリア達も勉強していくのだった。




 それから時は流れ、オリエンテーション2日目の夜の皆が寝静まった時間、フェリシアは1人、夜の森の中を散策していた。

 そして、そんな彼女の前にミルザが現れる。


「久しぶりだね~、フェリシア・ヴァンデグド」


「貴方はこの前の…」


「あの時はよくもやってくれたね。アタシの方でも、あれから修練して、リベンジの時を待ってたんだ。そして今、あの時の雪辱を晴らす時だ!」


「いいでしょう。相手して差し上げます」


 それから雷のオーラを纏ったミルザは、森の奥目掛けてフェリシアを蹴り飛ばし、そして飛んで行ったフェリシアをミルザも追いかける。

 その裏で、1年生達のテントに複数の影が近づいて来た。


「こちら奇襲部隊。ミルザが行動を開始した為、我々も襲撃を開始します」


<了解。確認されている脅威が離れている内に、任務を遂行せよ>


 襲撃部隊が実行しようとしたその時、急に彼らの周りの風景が少女チックなものに変わる。


「っ!?何だこれは!?」


「空間転移!?いや、結界か!?それにしては、この風景は…!?」


「ほら春香、シャキッとして!」


「うーん、眠いよ~」


 と、そこにピンクのショートボブの少女と、空飛ぶ兎のぬいぐるみが現れる。


「何者だ、貴様ら!?この空間はお前達の仕業か!?」


「そっちこそ、こんな夜中に悪い事しようったって、そうはいかないよ!」


「私も眠いので、早めに終わらせます!」


「春香!」


「うん!」


 そして少女はハート型のブローチを取り出し、中央に宝石のペンダントを嵌める。


「スターライト・マジカルタイム!」


 そして少女が光に包まれ、それが晴れると、そこにピンクを基調とした衣装に身を包み、金髪のストレートロングを風になびかせる少女が立っていた。


「異世界の戦士!?こんな奴、情報には無かったぞ!?」


「私の本名は綺羅星春香!そして今の私は、皆の願いを守る一筋の流れ星!魔法少女、カレイドスター!空の輝きを隠す雲は、私が吹き飛ばしてあげる!」


 そしてカレイドスターが星のステッキを構えると、先端から魔力砲撃が繰り出される。


「カレイドスター・メテオシュート!」


 そしてその砲撃に刺客は全員倒れ、景色も元の場所に戻る。


「この人達、どうしよう?」


「僕が衛兵の詰所へ転送しておくよ」


「お願い、ナビィ」


 そしてナビィによって刺客は送り飛ばされ、カレイドスターも変身を解除する。


「奴らじゃなかったみたいだけど、この世界で何が起きているの?」




 同じく暗い森林の中、フェリシアとミルザの拳と雷の剣の交差が交わされていた。

 そしてお互い距離を取った所で、ミルザは出した人形を取り込み、大人の姿になった。


「ウォーミングアップはここまでだ!あの時のリベンジと行こうか!」


「えぇ。どうか私を楽しませて下さい」


 ミルザがオーラ全開で突進して剣を横なぎ、フェリシアも身体を後ろに仰け反らせて、ミルザの手元を狙って拳を突き出す。

 そして剣を手放した瞬間に手を掴んで投げ飛ばす。

 ミルザを地面に打ち付けた瞬間に拳を落とすが、ミルザも横回転で回避、剣を拾って起き上がる。

 そこから剣の電撃が膨れ上がり、ミルザも剣を足元に突き刺して電気を流す。

 フェリシアも反射的に飛び上がり、空中に身を投げた瞬間にミルザも剣を伸ばす。


「ハハハ!脳天串刺しだぁ!」


「…5倍速」


 自らを5倍で加速させたフェリシアには、剣は止まって見え、そして剣を指で挟んで宙返り。

 そしてミルザの真上に来たタイミングで真下に向かって足を突き出し、ミルザを蹴って彼女の後ろへ着地。

 そこから加速が解除され、ミルザも地面に倒れ伏す。


「畜生…!こんな奴に…!」


「さて、もう気が済んだのではないのですか?」


「何…?」


「ここまでの撃ち合いで、貴方が私に勝つ事が出来ないのは予測出来ます。このまま不毛な戦いを続けても、貴方のプライドがボロボロになるだけです。ですので、大人しく白旗を上げて逃げ帰るのが、貴方の為になりますよ」


「…ふざけんな!アタシは誰にも見下されない力と容姿を手に入れる為に"天の笛"に入り、双性者(ジェミメイル)になったんだ!そのお陰で、アタシを見下してた連中にも仕返しする事だって出来たんだ!だから今もアタシを見下してるお前の事も、絶対にぶっ殺してやるぅうううう!」


 そう言ったミルザのオーラが更に膨れ上がり、周囲の木々を揺らしていく。


「そうですか。なら、次の一撃でフィナーレと参りましょう」


 そしてお互い、全速力で駆け出し、剣と拳が振り抜かれる。


「消えろぉおおおお!」


「…10倍速、魔力ブースト」


 その瞬間、フェリシアの前では、今のミルザも遅く感じ、そして懐に入って、魔力で強化した拳を腹に叩き込む。

 そして加速が解除されたと同時に、ミルザも向かいの山に激突し、クレーターを作る事になった。


「…ふぅ。ようやく終わりました。さて、夜更かしは身体に悪いですし、もうテントに戻りましょうか」


 こうしてフェリシアがテントに戻る中、ミルザも痛む身体に鞭を打って、這いずり回っていた。


「…ごふぅ!あの女、絶対に殺す~!」


「残念~。もうおしまいだよ~」


「…っ!?」


 その瞬間、ミルザの視界は真っ赤に染まり、その身体も事切れて止まった。




 そしてオリエンテーション3日目、1年生達は何事もなく全日程を終え、山から降りる事となった。


「では、今回のオリエンテーションはこれにて終了!これから学園へ帰還する!」


 こうして、一同が帰宅に入る中、フェリシアは物足りなさを感じていた。


「3日目があまりにも退屈でした。昨夜と比べて」


 春香の方も、ウキウキした気分になっていた。


「魔物は怖かったけど、楽しかった~!」


「お疲れ、春香」


 と言った具合に、1年生達もあらゆる思いでオリエンテーションを終える事となった。




 "天の笛"本部

 ジルティナの方も、今回の報告を受けていた。


「…誤算でしたね。襲撃が異世界の戦士に邪魔されるなんて」


「あれは魔法少女って言って、女の子達の理想とも取れる存在だよ~」


「それでも、我々の脅威である事に変わりはありません。それよりも、そちらもミルザを始末しておいたみたいですね」


「何?何か文句でもあるの?」


「いえ、どっちみちミルザに望みは無かったですから」


「だよね~。あの子、ピンキリのキリの1人だった事に変わりないし~」


「そう言う訳ですので、貴方もそろそろ働いて貰いますよ」


「はいはい。この僕、川島総一郎にお任せを」


 と、糸目の少年も不適の笑みを浮かべる。

 ケイリーとミルザが倒されたが、"天の笛"からしたらまだ序の口でしかない。

 これから彼らとの戦いも、更に激しくなっていくであろう事が予想されるのだった。

ミルザとの決着、そして次の段階へ。

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