表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/81

第75話

"天の笛"が疑問に迫る。

 アルテミシア学園、廊下

 エミリアが生徒会室に向かっていると、彼女に声を掛ける者がいた。


「エミリア様、お久しゅうございます」


「椿!名簿を確認していたけど、まさかうちに留学していただなんて」


「こちらも、まさか貴方様がこの国の姫君であらせられただなんて驚きました。異国の地の姫君は、自ら戦場に立つ事があるのですね」


「王族だって前線に出向く時くらいあるわ。東方だってそうでしょう?」


「いえ、こちらは姫君だけでなく、大名等も基本守りに入ってる者が多いので」


「そうなの?それも国や文化の違いと言うものなのかしら?」


「左様であり申さん。私もそこら辺も含めて学ぶ為に、この地に参った所存で申す」


「エミリアお姉ちゃ~ん!」


 と、そこにネムがやって来て、エミリアに抱きつく。


「学校でもエミリアお姉ちゃんとカイトお兄ちゃんと一緒になれましたね!」


「もう、ネムったら。学校ではあんまりベタベタしないの」


「妹さんですか?」


「あ、この子は最近仲良くなった子で、血の繋がりは無いわよ。…ね?」


「えっ、あっ、はい、そうです」


「そうでしたか。改めまして、私は東方より来た、花宮椿と申す」


「ネム・サントライトです。よろしくお願いします」


「じゃあ、私はこれから生徒会だから、また後でね」


 と、エミリアは2人と別れて、生徒会室へと足を運ぶのだった。




 夕方、学園裏の森林

 木々の影でウェインとジルティナは密会していた。


「…と言う訳で、エミリア王女の謎に関する調査を、貴方にも手伝って貰う事になりそうです」


「へ~、500年前の勇者と姫の記憶。確かに興味深いですね」


「えぇ。団長によると、7年前に見た彼女の魂は、確かに500年前の勇者パーティーの誰でも無かったと言う話です。魂は個人情報の1種であり、転生後もそれは変わる事は無い。だからこそ、今のエミリア王女の事は、団長もおかしいと感じているのです」


「で、そこら辺の裏取りの為に、彼女に近い俺にも手伝って欲しいって訳か」


「えぇ。今後の為にも、疑問はちゃんと解消しておかなくては」




 翌朝、生徒会室

 生徒会会議の傍ら、ウェインはエミリアを調べる計画について考えていた。


(さ~て、どうやって調べればいいかな~?「500年前の記憶が見れるって本当ですか?」なんて、露骨過ぎて怪しいし。かと言って、「貴方の前世は何ですか?」なんて、インチキ霊商法っぽくて胡散臭い。だったら、この人が何かに集中している間にコッソリ魂の検査とかをするか。スリとかの要領で盗聴器とかの類を仕込むとか。あるいは…)


「ウェイン、聞いているのですか?」


「えっ?あっ、はい!」


「今年の1年生達のオリエンテーションの日程と引率の冒険者の手配、そして来月の交流会メンバーの選出について、今後も話し合う事になります。ですので、貴方の方でも、出来る様なら何かの仕事をしておいて下さい」


「あっ、はい、分かりました!俺の方でも気に留めておきます!」


「よろしい。では、今日の会議はここまでとします」


 こうして、今朝の生徒会会議は終了する事となった。




 休み時間、階段中間踊り場

 ウェインはジルティナに秘蔵回線で連絡していた。


「やっぱり調査するなら、彼女の警戒心が緩んでいる隙を着いてやるのが効率的です」


<でしょうね。彼女も王族でAランク冒険者、しかも組織と関わってしまっている為、その神経も研ぎ澄まされている。その都合上、そう言う方法を使わなければなりません>


「ですよね。…所で、7年前の時、どうやって彼女の魂を調べたんです?」


<それは団長が陰で姿を消しながらその場の様子を伺った上で、こちらの死霊使い(ネクロマンサー)が彼女の魂を観察、そして分析を行ったんです>


「成程。…ん?…そうだ。ジルティナさん、彼女の魂を調べる方法ですが…」


<…成程。それなら彼女に警戒される事無く、魂を調べられます。こちらでも人員を手配致します>


「はい。俺の方でも、それとなく場を作っておきますので、よろしくお願いします」


 そう言ってウェインは通信を切って、教室に戻っていく。


「さぁて、こちらも準備をやっておきますか。…確か魂もれっきとした個人情報だって話だったよな。だとすれば、恐らく今のエミリア王女は別人だってのが、こちら側の見解だ。そこら辺も含めて、ちゃちゃっと調べておきますか」




 深夜、女子寮、裏庭

 そこでエーミアがエミリアの部屋の結界の解除を行っていた。


「ほら、部屋の結界、10分間だけ解除しておいたぞ。これ以上は気付かれるからな」


「ご苦労様です。後はこちらで」


 と、ジルティナが後ろの死霊使い(ネクロマンサー)に指示を出して、魂だけで侵入した。


「確かに、皆が寝静まったタイミングで、気配の薄い魂だけの状態なら、彼女に気付かれる事無く近づく事が出来る。ウェイン、貴方も良く思いつきました」


「いやぁ、これなら何とかなりそうかなと思って」


「こっちも元のエーミアが破魔の使い手で良かったぜ。王族である以上、結界は当然ある筈だからな。…しっかし、こっちも教会の仕事があるんだ。あんまり怪しまれる様な真似は…」


「それについては、こちらも承知しています。…と、戻って来た様です」


 そして魂を肉体に戻した死霊使い(ネクロマンサー)は、少しの間ジルティナに耳打ちした。


「…やはりですか。ウェイン、エーミア、今夜はご協力いただき、ありがとうございます。では、我々は本部に戻りますので、貴方達も急ぎ戻る様、お願いします」


 と、ジルティナは死霊使い(ネクロマンサー)と共に転移魔法でその場から消えた。


「さて、俺も明日の授業があるんで、とっとと部屋に戻りますか」


「俺も教会に戻る。…ったく、こうなったらちゃんと寝れる様、抜いておくか」


 と、ウェインとエーミアも急いでその場を去っていくのであった。




 翌日、"天の笛"本部、団長の部屋

 ジルティナと死霊使い(ネクロマンサー)は、団長に調査結果を報告していた。


「昨夜、エミリア王女の魂を調べた所、明らかに7年前とは別の魂、つまり、全くの別人であった事が判明致しました」


「やはりか。…そう言えば本物のエミリア王女を殺して間もなく、同じ時期に剣の名家の次男が、何の前触れもなく失踪したと言う話を耳にした事があったな。恐らく今のエミリア王女は、その次男が成り代わった者と見ていいだろう」


「しかし不可解です。1年前に我々と繋がっていた事がバレて投獄された貴族、そうなる前にあの者に命じて、彼女の髪や皮膚片等の彼女のDNAを採取させましたが、ちゃんと本人の物でしたし、ウェインから貰った今の彼女の髪でもそれは同じ。コッソリ行った魔力計測でも、それは同様でした」


「となると、本物のエミリア王女の死体を使って、自分の肉体ごと本人に成り代わったんだろう。それならDNA鑑定と魔力計測を誤魔化せた事にも説明がつく。しかも、王族の生活に困らない様にする為、記憶の転写も付けてな。…そんな事が出来る奴だなんて、私が知ってる中で1人だけ。500年前の勇者パーティーの知り合いでもある。まさか奴が関わっていたとはな。"組替の魔女"シェーラ…」


 団長もまた、懐かしさ半分、恨めしさ半分でシェーラの名を口にするのだった。

 今のエミリアの正体が"天の笛"にまで知れ渡ってしまう事となった。

 これからのエミリア達の運命は如何なるものとなってしまうのだろうか!?

 それはまだ、誰も予測がつかない。

遂にエミリアの正体がバレた!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ