第44話
初の国外へ。
とある回廊
その廊下をジルティナが1人歩いていると、背後から彼女に声を掛ける者達がいた。
「隊長~!」
「…貴方達ですか。一体何の御用で?」
「いや~、そろそろ僕達にも仕事回して下さいよ~。最近、本当に暇過ぎて、いい加減外に出たいんです~」
「全く、そんなに外に出たいのですか?」
「良いじゃないですか~!ケイリーもミルザも外に出てるんですから~!」
「はぁ…。仕方のない人達ですね。分かりました、任務を与えます」
「よっしゃー、やったー!」
「それでは、貴方方の任務は…」
北方の大森林
タケル達は、そこで討伐された巨大魔物を見上げていた。
「凄いですね~。軍隊を率いないと倒せない様な巨大魔物がこんな簡単に…」
「そうだね~。まさか僕も、アニメとかでしか見ない様な巨大ロボを間近で見るとは思わなかったな~」
と、タケルとアンリエットは、その場にそびえ立つ巨大ロボを見上げる。
<へへっ!どうだい、相棒の力は?>
「はい!異世界の巨大ゴーレムの力、本当に素晴らしいです!」
「まさかSF世界からやって来た人間がいるだなんて思わなかったよ!」
<それについてはこっちも驚いている!急に亜空間トンネルが開いたと思ったら、まさか、こんなファンタジー世界に迷い込む事になるだなんて!>
「それについては僕も同じ意見だったよ!」
「どうでしょう!?貴方も私達と共に世界を救う旅に出てみませんか!?」
<いいね!これも何かの縁!一緒に冒険の旅に出よう!>
「よろしくね!僕は勇者、星宮タケル!」
「私はアルテミシア王国第2王女、アンリエット・フォン・アルテミシアと申します!」
そしてロボからパイロットが降りて、2人に近付いた。
「では、こちらも自己紹介だ!僕は…!」
と、そこでエミリアが魔導列車の座席で目を覚ます。
「…またあの夢か」
「どうしたの、姉さん?」
「あぁ、うん。実は夏休みが始まった日から、500年前の勇者と姫の記憶を夢で見るのよ」
「500年前の?一体どういう事?」
「それが私にも良く分からなくて…」
「ほらほら、アンタ達、外見なさい!もうすぐ着くわよ!」
フィーナに言われて、エミリア達も窓の外を覗く。
「さて、そろそろ降りる支度をしておきなさい」
そして駅に到着した所で、エミリア達も列車を降りるのだった。
魔道国家フィルビア王国
実はエミリアはゼシカに頼まれ、自身のパーティーメンバーだけでなく、レオニーとサイバーズ出張版を連れて、フィルビアに訪れていた。
そして駅を出た後、ゼシカが手配した馬車に乗って城へ向かう。
「ゼシカ王女は、何で俺達まで呼んだんだ?」
「何か異世界関係の知見が欲しいから呼んでほしいって頼まれたのよ」
「それってどういう事?」
「それが直接話したいって言って教えてくれなかったのよ」
「あのお姫様の事だ。また夏休みの時みたいに面倒事に発展させるぞ」
「兎に角、行ってみねぇと分かんねぇだろ?」
「何ならこっちでも、フィルビアの研究機関に出入りさせて貰える様にしちゃえば良いだけだし」
「ミュリナさんもちゃっかりしてますね」
そして城に到着した為、一同は馬車を降りて城の中へ案内される。
客室で待たされる事10分、ゼシカとデュークが入ってきた。
「お待たせ致しました、エミリア王女、サーシャ王女、そして異世界の戦士とパーティーメンバーの皆さん」
「ゼシカ王女、今回私達を呼んだのは、どう言った要件かしら?」
「はい、実は皆様に現場に行って確認して欲しい事があって。此処では何ですから、現場へ向かいながら話しましょう」
そう言って、ゼシカが手配した馬車に一同も乗り込んでいく。
「あら?この馬車、中が滅茶苦茶広い。空間魔法での拡張かしら?」
「えぇ、この馬車の製造者であるトウヤ君もそう言ってました」
「何時の間に彼に製造依頼を出してたんですか?」
「彼が懇意にしているグロンゾ商会、我が国とも交易があるのですよ」
「あぁ、納得」
北の辺境の神殿
ゼシカの案内の下、エミリア達は神殿の奥へ進んでいた。
「ゼシカ王女、この場所に一体何が…?」
「実は此処に祀られている物が、異世界由来の物である可能性が出て来たのです」
「何故そうだと言い切れるのです?」
「一目見ただけで、直ぐに気付く外観を持っていたからです」
「成程。それで異世界から力をそのまま持って来たソーマにも確認を取って貰いたかったって訳ね」
「そう言う事です。…っと、そろそろ着きます」
と、奥に祀られている物を見た一同も息を吞んだ。
「これって…!?」
「ソーマ、これってまさか…!」
「あぁ、これは確かに巨大ロボだ。外観と大きさからして、SF系のアニメや映画で見る様なタイプだ」
皆は一様にその場に佇む、白い騎士風の巨大ロボを見上げる中、エミリアは既視感と共にその名前を呼ぶ。
「…"シュヴァリエ・ルミナス"」
「エミリア王女、これを知っているのですか?」
「知ってるも何もこれ、夢で見た500年前の記憶の中の巨大ゴーレム、そしてシアン・ウィンチェスターの相棒よ!」
『夢?』
「それがうちの姫様、最近500年前の勇者と姫の記憶を夢で見る様になったって話みたいでな」
「それは一体どういう事でしょうか?」
「それが私にも良く分かってなくて」
「その話、是非私達にも聞かせて欲しいものですね」
と、その声に一同が振り返ると、そこにジルティナが立っていた。
「ジルティナ!」
「彼女は一体?」
「彼女はジルティナ!私達が言ってた組織"天の笛"の特殊精鋭部隊双性者の隊長よ!」
「成程!要は敵の主力幹部か!」
「確かにそう言えますね。ですが、今回の任務はその巨大ゴーレムの回収です。大人しく引いてくれるなら、貴方達を生かして帰してあげられますよ」
「聞けない相談ね。信用していない相手の言う事なんて聞くと思う?」
「そう言う事だ!お前こそ大人しく帰って貰うぜ!」
<ダイブ・オン!>
「サイバーチェンジ!」
ソーマがサイバーブレスのボタンを押し、ポージングを取ってサイバーレッドに変身する。
因みにエミリア達も爆発からの回避の為にすぐさま距離を取る。
「電脳の赤き壁!サイバーレッド!」
「成程、それが異世界の力ですか。彼の相手は私がします。貴方達はエミリア王女達を」
その言葉と共に、ジルティナの背後の影から人影が現れる。
「任せて下さいよ、隊長~!こんな奴ら、直ぐに片付けちゃいますから!」
と、緑のボサボサ髪の少年の頭を持つ、乙女チックな服装の少女が笑いながら言う。
「何だあれ?男なのか?女なのか?」
「双性者は男女融合した人間達の集まりでもあるのよ」
「そう言う事~!」
と、少年の頭の横から、ワインカラーの巻きツインテールの少女の頭が生えてきた。
「頭が2つ!?」
「私達はこんな風に、1つの身体を2人一緒に使う事が出来る融合体でね。しかも…!」
と、その身体がツインテールの少女とボサボサ髪のパンク風の少年の身体に分かれた。
「こうやって2人に分かれて別々に行動だって出来る!それじゃあ、フィルビアの2人は姉の私、ファムが遊んでおくね~」
「でもって、アルテミシアの連中は、弟の僕、ヴァーリが貰うよ~」
「2人共、あまり手間暇掛ける事なくお願いしますよ」
「皆、絶対に油断しない様にお願いね」
こうして、フィルビア北方での戦いが幕を開けるのだった。
国外での戦闘も開幕。




