第41話
今回は魔女関係。
10月下旬、アルテミシア学園、1年1組教室
エミリア達は現在、ある話題に関する話をしていた。
「"風月の魔女"がうちの学校にやって来る?」
「そう。その人、魔法協会のトップで、今度この学校の魔法関連の授業の見学に来るって」
「その人の話、私も聞いた事あるわよ」
「ミュリナさん、やっぱり知ってたんだ」
「えぇ。魔導工学研究所も魔法協会認定の組織だから、そりゃあ、その手の情報も入って来るわよ。それに、私のお父様もその人に良くして貰っていたって話もあるし」
「そうなんだ」
「ん?ハルトマリー良い?」
と、エミリアもハルトマリーに耳打ちする。
「魔女に二つ名があるなら、もしかしてシェーラも持ってたりするの?」
「あるよ、"組替の魔女"の二つ名が。後、"風月の魔女"と昔馴染みだって言ってた」
「そうなんだ」
「"風月の魔女"、一体どんな人何だろうなぁ」
と、ソーマの言葉に人物像を考えるのだった。
シェーラの家
現在、此処には、長い白髪を纏めた老婆と、茶髪のロングヘアーの少女がやって来ていた。
「全く、全然アタシの所に顔見せに来ないから、こっちから来る事になっちまったじゃないか、シェーラ」
「貴方こそ、いい歳なんだから、ちゃんと身体を労りなさいよ、スファニア」
「やかましい。こっちだってまだまだ現役やれるわ。"風月の魔女"舐めるな」
「貴方も態々ご苦労な事ね。"風月の魔女"スファニア・マルドルが学校見学なんて」
「これでも魔法協会の幹部なんでね。そう言う話はやるに決まってるだろ」
「ねぇねぇ師匠、いい加減、私にもこの人の紹介して欲しいんだけど」
「あぁ悪い悪い。こいつは"組替の魔女"シェーラ。対価を払えばどんな姿にも変えてやると言う商売をやってる、肉体改造専門の魔女だよ」
「どんな姿にも!?じゃあ私をボンキュッボンのナイスバディにする事も!?」
「良いわよ。但し、対価は高いわよ」
「うぇ…。やっぱ遠慮します」
「所で、この娘は?」
「アタシの弟子だよ。拾ったついでに、魔女の修行をさせてるのさ」
「どうも!私はアルト・レリーナ!未来を飾る魔女でーす!」
「貴方も弟子を取ったのね。それにしても、元気溌剌な事じゃない」
「毎日騒がしいったらありゃしないけどね」
「ちょっと師匠!流石に酷くないですか!?」
「本当に元気なお嬢さんね。あぁ、アルテミシア学園に、貴方と同い年くらいの私の弟子もいるから、その時はよろしくね」
「気に留めておくよ」
「かしこまりました!…所でお姉さん、本当に抱き心地良さそうな身体してますね?取り敢えず、一揉み…」
「そのエロ親父みたいな思考やめろ。でもって、向こうでもそれやらかすんじゃないよ」
「分かってますってば~!やだなぁ師匠、もう!」
翌日、アルテミシア学園、1年1組教室
「と言う訳で、本日はこのクラスで行われる魔法の授業に、"風月の魔女"スファニア・マルドルさんと、その弟子のアルト・レリーナさんが見学する事となった」
「別にこんな年寄り相手に、そんな固くなる必要はないからね。…と、そこに居るのが、アタシの昔馴染みの弟子のハルトマリーだね?アンタの話は聞いてるよ。でもって、そこに居るのはあの男の娘のミュリナだね?アンタの活躍も聞いてるよ」
「はっ、はい!よろしくお願いします!」
「こちらも、知っていただけて光栄です!」
「それじゃあ、そろそろ授業に入ってくれ」
そして魔法の授業に入った事で、その様子を見られる事となる。
「今回は触媒についてです。実は魔法には、その場で構築した術式を展開するだけでなく、触媒を用いる事で、より強力かつ効率的な効果を発揮出来る事があり…」
(成程。魔法の授業については、何も問題ないみたいだね。一般的な使い方の範囲で収まってる)
正午、食堂
アルトがハルトマリーとミュリナと話をしたいと頼んだ為、3人で昼食を取る事に。
「で、話したい事って?」
「いや~、先ずミュリナは確か、お父さんが研究所の主任って話でしょ?それでハルトマリーも、師匠の友達の弟子って話じゃん?ぶっちゃけると、2人共、進路はそれぞれの後を継ぐ事にしてるの?」
「そりゃそうよ。私もお父様みたいになりたいってのもあるけど、ソーマとの縁も大事にしたい。だからアイツが自分の世界に帰れる様に、ちゃんと手を尽くしたいから」
「お、私も縁を大事にする為に、もっと魔法を勉強して、魔女を襲名したいな」
「そっか。2人共私と同じだ。私も魔法が好きだから、魔法の勉強を頑張ってる。そして世界中の人を魔法で笑顔に出来る魔女になってみせるよ」
「良い志ね。ちゃんと励みなさい」
「うん、頑張る。…所で、さっきから思ってたけど、やっぱり2人共良い身体してるね~。後でその身体触らせても…」
『却下』
「何さ~!良いじゃない!女同士なんだから!」
「貴方のそのいやらしい顔と手付きが嫌だって言ってんの!」
「2人共、話は終わった?」
と、そこにエミリアがやって来た。
「うん。今、丁度切りが良くなった所」
「お~!やっぱりエミリア様、顔も身体も極上な美少女お姫様ですな~!」
「言っとくけど、彼女、星空の勇者と関係持ち始めているから」
「なぬ~!?絵に描いた様な男女関係!?く~、羨まけしからん!私だっていい感じの男と城でゴロゴロダラダラ暮らしてみた~い!」
「王族の前で嫌な偏見を持つの止めて貰える?」
放課後、校門前
本日の2人の来日は終了となり、エミリア達もコッソリ見送りに来ていた。
「態々王女様自ら出向かなくても良いのに」
「いえ、私も生徒会の1人でもありますから、魔法協会のトップに相応の敬意を払わないと」
「律儀な事だ。それじゃあ、城にもよろしく伝えとくれ」
「はい。ではまた会う機会があれば」
そう言って、2人は学校を去るのだった。
「そう言えば師匠、何で私を学校に入れようと思わなかったの?」
「アンタの性格上無理だからだよ。朝起きるのは基本使い魔任せ、サボり癖が目立つ面倒臭がり、調子に乗りやすく失敗もしやすい、本音も漏れやすい等々、アンタには合わない」
「ちょっと、それ酷くない!?」
「良いんだよ。アンタは学校よか、広い場所でのびのびと育っていく方が性に合ってる。それにアタシももう歳だし、家事や薬草の栽培に使い魔の世話とかを手伝ってくれる奴はいて欲しい」
「成程~、そう言う事か~。いや~、私に一緒にいて欲しいならそう言って下さいよ~!」
「調子に乗るな。そんなんだから、まだ半人前なんだ」
「え~、ケチ~!」
と、2人はおばあちゃんと孫みたいな会話をしながら足を進める。
アルトが世界中から称賛される魔女になれるかどうかは、彼女次第である。
のんびりとした生き方の魔女もいる。




