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第39話

奴らが動く…!

 アルテミシア学園、生徒会室

 現在、ラウディーより、引き続きに関する挨拶が行なわれていた。


「では、只今を以て、俺とリリアンは生徒会を引退。次からは、アイラを会長とした新体制で運営する事となる」


「ラウディー前会長、今までありがとうございました。これからの生徒会は、私達が守っていきます」


「では、これからの事はよろしく頼むぞ、アイラ」


 そして室内に拍手の音が響き渡る。


「さて、これで俺も社会生活の足掛かりに専念する事になるな」


「前会長は、これからどうするおつもりで?」


「そうだな。俺は元々、女性服が好きだし、ファッションデザイナーを目指す。だから先ずは、服の専門学校に入学して勉強だ」


「出来ると思いますよ。だって前会長、女性の私から見ても素敵な方ですし」


「ねぇラウ、良かったら私も付いて行きましょうか?私もファッション系の仕事やりたいって思ってたし。何より、もっと貴方と居たいし」


「あぁ、別に構わない。一緒に歩んでいこう」


 そんな中、エミリアはアイラに耳打ちする。


「あの、アイラ会長。リリアン先輩って、もしかしてラウディー先輩の事…」


「えぇ、察しの通りよ。何でも1年の時から意識していたって話」


「そうなんだ。何だか素敵な話だな…」


 こうして、生徒会の新体制への引き続きを終える事となった。




 週末、冒険者ギルド

 今回、エミリア達は、ギルドからの呼び出しを受けてやって来ていた。


「通り魔?」


「はい。実はここ最近、茂の中や路地裏等、人目の付きにくい場所で多発発生していて、それで急遽、警備を当てる事になったんですよ。街の警備隊では人手が足りず、冒険者の方々にも手伝って貰う事になったんです。エミリア様達にも手伝って欲しいのですが…」


「分かりました。私達も引き受けます」


「ありがとうございます。では皆様には、この辺りを担当して貰います」


 と、エミリア達も地図で示された場所に目を通す。


「北の街道か…。犯人の特定については?」


「それが犯行時刻前後の不審な人物については、皆思い当たらないそうで。まぁ、人目の付かない場所なら仕方ないですし、冒険者だって街中での武装も許可されてますし、警備だって目星が付けられなくてもおかしくありません」


「それもそうか。それじゃあ早速動きましょう。レオニーは裏の人間が使いそうなルートをお願い。勿論、貴方の部下達と一緒に」


「あいよ」


「私達のパーティーは、手分けして北の街道を捜索しておきましょう」


 こうして、エミリア達も通り魔の捜査に動き出す事に。




 北の街道、路地裏

 エミリアは現在、単独での捜査を行っていた。


「…此処も異常なし。他の皆はどう?」


<大通りは問題ないよ>


<こっちも屋根から見下ろしてるけど、不審な人影は無いよ>


<一応、警備にも声を掛けたけど、怪しい人影は見てないって>


「分かった。私もこのまま見回りを続けるから、皆もお願い」


 そう言ってエミリアは通信を切って、水晶をしまう。


「しっかし、何で誰も見てないんだろう?普通、妙な挙動を見ただけでも気づけるものなのに」


 そう言いながらエミリアが歩いていると、少女が通り過ぎようとした途端、急にエミリアにナイフを突き付け、エミリアも反射的に剣で弾く。


「何、一体!?」


「…流石Aランク冒険者にして、アルテミシア王国第1王女。この不意打ちに反応出来るだなんてな」


 そう言いながら、目の前の茶髪のセミロングの可愛らしい顔立ちの12歳位の少女は構える。


「…成程、通りで皆気付かなった訳ね。これまでの通り魔被害、貴方の仕業ね?」


「ご名答。あれらは俺が慣らしがてら、いい獲物を釣り上げる為に撒いた餌だ。まさか、うちの組織のAランク指定の邪魔者の1人であるエミリア王女に当たるだなんてな」


「まさか…!」


「そう。俺はお前らが追ってる組織"天の笛"の特殊精鋭部隊双性者(ジェミメイル)の1人、ケイリーだ。って事で、早速俺の相手をして貰うぜ。」


「…"天の笛"。それが貴方達の組織の名前。先ずは貴方を戦闘不能にして拘束、そして貴方から組織の事を色々聞かせて貰うわ」


 そしてエミリアもまた剣を構え、お互いに動き出す。

 エミリアが剣を横なぎに振った所をケイリーは跳んで躱し、ナイフが首元目掛けて振られた所をエミリアは頭を下げ、そしてエミリアは水流を放ってケイリーを壁に叩き付け、そしてエミリアは剣を突き付ける。


「さぁ、知ってる事を話して貰うわよ」


 そこにケイリーがニヤリと笑い、エミリアの剣を弾いて跳んで、エミリアの顔を蹴ろうとするが、エミリアも寸でで障壁で防ぎ、ケイリーも距離を取る。


「今、貴方のスカートの中見えたけど、まさか…男!?でもその見た目、小さい女の子にしか見えない…!?」


「チッ、面倒臭ぇ!お前らの所にうちの元実験体だったスバルって奴がいるだろ?そいつみてぇに男女融合させて、男女両方の特性を持たせ、素体となった奴らの潜在能力を引き出し、戦闘で使い物になる様訓練させて、配属されたのが、俺ら双性者(ジェミメイル)だ。俺の場合は、元の俺である40代の筋肉質の男としての筋力、この見た目のベースとなったガキの魔力と言った具合にな。でも融合にも適合率ってのが存在してな。100%未満だと、適合率の低さの具合によって、外見に使う予定の無かった部分をしまう事が出来ねぇ箇所も増える。お陰で俺のがデカ過ぎるせいで、スカート以外履けやしねぇ。…と、長話しちまったな。じゃあ、俺の得意の得物で仕切り直しと行こうか」


 そう言ってケイリーはナイフをしまい、作った空間の穴に手を突っ込んで、そこから身の丈程の斧を取り出す。


「そんじゃあ、ミンチになってもらうぜ!」


 そしてケイリーは一気に距離を詰めて斧を振り下ろし、避けたエミリアが立ってた場所が抉り取られる。


(何てパワー!?まともに当たったら、こっちも大怪我を負う!)


 そこからケイリーは斧の持ち手を軸にして身体を回転させて、エミリア目掛けて跳び蹴りをかまし、それを防いだエミリアも後ずさる。

 そこからケイリーが足元を抉って石の破片を飛ばし、エミリアを牽制。

 エミリアが怯んだ隙にケイリーは跳んで斧を振り被るが、エミリアはバック転で躱し、火球を放つ。

 当然、ケイリーも斧を振って防ぎ、エミリアに緊張が走る。


(あのパワーに加え、斧にこだわり過ぎず、機転も効く。頭はちゃんと使うみたいね)


「おいおい、こんなものかお姫様?俺はまだまだ遊び足りねぇぞ」


「そうね。流石に長引かせると不味いから、そろそろ決めましょうか」


 そして2人の武器がぶつかる音が響く。

 そこをエミリアが斧を受け流して、ケイリーもバランスを崩し、すかさずエミリアが蹴り上げ、空中に上がった所を光の斬撃を飛ばす。

 ケイリーも斧で防ぐが、斧も柄の部分で斬り落とされ、無防備になった所をエミリアが炎の斬撃を飛ばし、ケイリーは焼け焦げた状態で地面に落ちた。


「かはっ!…やっぱりお姫様でも、Aランク冒険者と言った所か」


「私だって、あの時のグリフォンの件でちゃんと修行しておいたのよ。さぁ、大人しく拘束されて貰いましょうか?」


 そう言ってエミリアが倒れているケイリーに剣を突き付ける。

 その途端、何処からか雷が飛んできて、それに気付いたエミリアも後ろへ跳んで躱すが、ケイリーの傍に人影が降りてくる。


「とんだ失態を晒しましたね、ケイリー」


「うるせぇ。お前こそ何しに来た、ジルティナ?」


 と、ケイリーは、その場に来た、銀髪ショートヘアーの端正な顔立ちの女性を見上げる。


「貴方の助力に来た訳では無い事位分かるでしょう?貴方の強制送還を行う為に来ました。此度の貴方の無差別殺人、組織の方から見ても目に余ります。戻ったら最低でも謹慎は覚悟しておいて下さい」


「ちょっと待って!貴方達は一体…!?」


「その質問にはお答え願えません。私も隊長として彼に処分を与えなければなりませんので。では、私達はこれで」


 と、ジルティナは魔法陣を展開し、ケイリーと共に消えた。


(ジルティナ、恐らく彼女、とんでもなく強い。私でも勝てるかどうか…)


 と、そこにカイト達が駆け付けて来る。


「姉さん、大丈夫!?」


「フィーナから組織の刺客が襲ってきたって聞いたよ!」


「あぁ、私は大丈夫。何があったか話すわね」


 と、エミリアも今回の戦闘で得た情報を伝える。


「"天の笛"、それが組織の名前」


双性者(ジェミメイル)、私もその1人として働かせようって魂胆だったって事?」


「兎に角、エミリアが無事で良かったよ」


「えぇ、そうね。今回はケイリーに勝てたけど、ジルティナは仕事を優先したお陰で戦わずに済んだ。双性者(ジェミメイル)隊長ジルティナ、彼女の力は未知数。下手してたら無事じゃ済まなかった」


「取り敢えず、ギルドに報告しようか?」


「そうね。犯人は取り逃がしちゃったけど、ジルティナの口振りからもう起きないだろうし」


 と、エミリア達もまた、ギルドへ報告に向かう事となった。




 とある地下空間

 そこにある牢屋に入れられてるケイリーを、ジルティナは檻の外から眺めていた。


「今回の独断に対する罰として、貴方に謹慎を言い渡します。これから1ヶ月、その檻の中でしっかり反省してなさい」


「へいへい、俺が悪ぅござんしたよ。今までの身体から一転して、誰もが愛でてくれる事間違い無しの可愛さを手に入れたもんだから、つい試してみたくなっちゃって」


「全然反省してませんね?全く、勝手な事をされたら、我々も動き辛くなってしまうんですからね」


「分ぁってるよ。ったく、本当口うるせぇ奴だな」


 と、ケイリーはしかめっ面で横向きで肘をつき、スカートの中をかきむしる。


「貴方、私と事を交える事を辞さないと言う気ですか?」


「待て待て、俺だってお前やボスとドンパチやるつもりは無ぇって。持ってる力が強大なボスは勿論、俺らが隊長にして、何人もの人間を取り込み、しかも適合率オール100%のジルティナじゃあ、逆に俺の方が殺されちまうっての」


「分かっているならよろしい」


 と、そこに1人の黒ローブがジルティナに声を掛ける。


「ジルティナ隊長、団長がお呼びです」


「分かった、直ぐに向かう」


 と、ジルティナはローブを脱いで、その下にあるスレンダーながらもとても大きくて張りのある爆乳、そしてその身体を覆う黒のハイヒールとガーターベルト付きニーソックス、そしてミニスカートの黒の軍服を晒す。


「では、私は団長の下に向かいますので、ケイリー、貴方もちゃんとそこで大人しくして下さいね?」


「あいよー。行ってらー」


 と、適当に返事をするケイリーを置いて、ジルティナは団長の下へ向かう。

 裏で暗躍する組織"天の笛"。

 彼らの方も動きを見せる時が近づいてくる予感がするのだった。

"天の笛"も強者が集う。

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