第36話
文化祭1日目開始。
文化祭1日目
遂にやって来たアルテミシア学園の秋の祭りの前半。
どこもかしこも出店で賑わっていた。
祭りを楽しむ者、大なり小なりトラブルを起こす者、それを取り締まる者、怪我や体調不良を起こす者等、様々な人間が文化祭に興じていた。
そして1年1組も、自分達の出店で成果を出していた。
「お帰りなさいませ、ご主人様」
「お嬢様、こちらのコーヒーを冷めない内にどうぞ」
「オムライスをお持ちしました」
「行ってらっしゃいませ、ご主人様」
そして厨房の方でも、あくせくと働く者達もいた。
「3番テーブル、注文入りましたー!」
「これ、5番テーブルに!」
「1番テーブルのパフェ、出来たわよ!」
「うちの『執事&メイドカフェ』、本当に大盛況ね」
「そりゃそうだ。うちは顔の良いメンツが揃ってる上に、美味い飯作れる奴もいるからな」
当然、店内の方でも、真面目に接客している者達の姿があれば、サーシャに色目を使う男共に斬りかかろうとするランスロットを止めるソーマの姿等があったりする。
「って訳だから、アタシらの方も自分達の仕事をやっとかねぇとな。パンケーキお待ちどお!」
そこに接客担当のスバルが顔を出して来る。
「エミリア~。そろそろ客足が落ち着いてきたし、休憩取って良いよ」
「そうだな。ここはアタシらだけでも大丈夫だし、しばらく休んで来いよ。お前も朝から働きづめで、そろそろ疲れてきたろ?」
「まぁ、そこまで言うなら、休憩貰っておくわね」
と、エミリアもエプロンを外し、外を回っていく事にした。
アルテミシア学園、玄関前広場
そこでは、あらゆる食べ物やゲーム等の出店が開かれていた。
「こっちも賑わってるわね~。やっぱりお客さんがいっぱいだわ~」
「エミリア」
と、そこにアラタが声を掛けて来た。
「アラタ、貴方も来てたの?」
「俺もこの日を楽しみにしてたからな。それと、実はお前の兄達からも、王女であるお前を守る様、キッチリ頼まれてるから、この2日間、お前に付きっ切りになる」
「そうなの?それじゃあ、一緒に回りましょう」
そしてエミリアの差し出した手をアラタは取り、2人で文化祭を回る事に。
「これからどうする?」
「そうねぇ…。先ずはここら辺の出店を回って、校内のブースにも寄りましょう」
そして2人は、出店で買った食べ物を食べ歩き、射的やヨーヨー釣り、型抜きで遊び、それから校内に入っていく事に。
その中の展示ブースを閲覧、お化け屋敷を散策、その後に食堂で一息を入れ、次に行く場所を話し合っていた。
「これから何処へ行く?」
「後は聖堂のイベントを見終わったら、店に戻るわ。そろそろ波が来そうだし」
「聖堂でどんなイベントが行われるんだ?」
「えっと確か、これから行われるのは…ゲストを招いての座談会だったかしら?」
「ゲストについては、聞かされてるのか?」
「ごめんなさい。こっちも準備で忙しかったから、調べる暇が無くて…」
「まぁ良い。行って見れば分かる」
と、2人は聖堂へ向かう事にした。
聖堂
この中は現在、生徒会主催の座談会の為の客が大勢いた。
<皆様、お集まりいただきありがとうございます。只今より、特別ゲストによる座談会を始めます。本日お招きしたゲストは、純白の盾のお三方です>
と、壇上に座っているシェズ達が紹介される。
<さて、本日お越しいただいたのは、冒険者に関するアレコレを聞く為です。ではシェズさん、先ずは冒険者になる為に必要なものは何でしょう?>
<そうですね。先ず前提として、冒険者とは本来、必要があれば魔物や犯罪者との戦闘も入っている為、必要条件として、戦闘能力に戦場に立つ覚悟、そして周囲からの信用が必要となります。俺達冒険者だって、常に命の危機に立っている訳ですからね>
<確かにそうですね。では次に、皆さんは冒険者である事に生き甲斐を見出せていますか?>
<私は最初は怖い思いをして、失敗続きだったけど、シェズとロッソに出会えた事で、自信を持つ事が出来て、2人が信じてくれるから、冒険者をやる事が出来るのです!>
<俺は充分生き甲斐を感じている。特にリズを泣かす奴には容赦はしない>
<俺も、皆の期待に応えられる様になってきて、そして、帰りを待ってくれる人も出来た。だから俺も、冒険者生活に生き甲斐を感じているよ>
<おっとシェズさん、今「帰りを待ってくれる人」と言いましたか?それは恋人ですか?>
<ハハハ。いえ、まだ恋人と言う訳じゃありませんが、いずれ振り向かせる所存です>
<冒険者ギルドでも女性人気を誇るイケメン冒険者のシェズ・サリズさんに、何と恋の予感が出て来ました!この言葉に、玉の輿を狙ってた女性も非常に落胆した事でしょう!続きましては…>
と、幾つもの質問と共に時が流れ、そして終わりの時を迎える。
<…と、もう終了の時間となります。以上、純白の盾による座談会でした!>
この挨拶と共に、客席からの拍手喝采で幕を降ろすのだった。
聖堂前、出入口
純白の盾の3人の下に、エミリアとアラタが歩み寄る。
「お疲れ様です」
「エミリア様、アラタ。2人も来ていたんだ」
「えぇ、折角の機会だったから」
「お前達はこれからどうする?」
「取り敢えず、カガリさんに頼まれたお土産を買って帰ろうかと」
「そうした方がいい。今、冒険者ギルドの方でも繫忙期に入っていて、ギルド職員も残業続き、それによって、アイツも滅茶苦茶機嫌が悪くなってるからな」
「お土産なら、1年3組の売店がオススメですよ。トウヤも張り切って、色んな商品を作ったから」
「成程。じゃあ早速寄ってみる。ありがとう、エミリア様」
と、3人はすぐさまその場を去った。
「それじゃあ、私も自分の職場に戻りますか。アラタも寄る?」
「いや、俺は辺りを見回って来る。そろそろ今日も終盤に差し掛かってるし、警備も手伝っておきたい」
「そう。じゃあ、また明日」
「あぁ、また明日」
と、2人もその場で別れる事にした。
こうして、文化祭1日目は無事終了し、学園の生徒及び教師も達成感を出していた。
そして今、校内で終了のアナウンスが流れていた。
<皆さん、文化祭1日目、大変お疲れ様でした。前半、皆さんも良い成果を出しています。この調子で、明日の後半を乗り切りましょう!>
文化祭1日目終了。




