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第17話

6月のエピソード開始です。

 6月頭、1年1組教室

 気温が上がり始めたこの季節、制服も半袖仕様となっていた。

 そして中間試験を終えた生徒達は打ち上げを企画する者もいれば、試験の見直しを行う者もいる。

 当然、安心して机に伏しているカイトとスバルを、エミリアとハルトマリーが労っていた。


「終わった~!」


「お疲れ様。2人も良く頑張ったわね」


「いや~、姉さんの教え方の上手さと面倒見の良さとアドバイスのお陰だよ」


「本当だよ。流石学年主席の王女様なだけはあるね」


「俺達もシェーラ先生の所での経験が活かせて良かったよ」


「じゃあ試験も終わったし、私達も打ち上げやっとく?」


「そうね~」


 その時、教室の扉が開かれると、ライトピンクのツインテールの少女が入って来た。


「エミリア様!」


「ティティア!?」


「えっ、誰?」


「ティティア・パトミシア。1年2組の生徒で、城の専属ファッションデザイナーの下で住んでいて、彼女も次期専属デザイナー候補なのよ。交流会のステージ衣装も彼女が手掛けたの」


 そしてティティアがエミリアに近付くと、急にメジャーを身体に巻き付けた。


「エミリア様、本当に相変わらず麗しい見た目ですね!背中と腰全体を覆う程の流れる様な絹の様に綺麗な金髪!サファイアの様な瞳に可愛さと綺麗を両立させた顔立ち!Hカップの胸に綺麗な肌とグラマラスな肢体を上手く同居させた少女らしさも存在している完璧なプロポーション!これは正に服の創作のしがいがあります!では早速家庭科室へ!」


 そう言ってティティアは、そのままエミリアを家庭科室へ引っ張っていく。


「ちょっと姉さん!?」


「そんないきなり!?」


「ま、待って!」


 カイト達3人も慌てて後を追いかける。




 家庭科室

 ティティアの創作意欲が落ち着いた所で、エミリアも解放された。


「いや~、エミリア様のお陰で試験勉強のストレスが発散出来ました!今度の臨海学校用の水着を初めとした新作コーデ、出来上がり次第エミリア様の元に送りますので、暫くお待ち下さいね」


「あ、うん。楽しみに待ってるから」


「あ、そう言えばエミリア様、この話知ってます?この学園周辺に現れる小さな光の話。何でも昼夜問わず、不規則に消えては現れるを繰り返していると」


「その事、学園も何も言わないって事は、信憑性の低い噂か、放っておいても害が無い為、学園も放置しているかって所でしょ?」


「そうですね。まぁ、こんな話しても噂は噂でしかありませんけど。兎に角、私もこれから服作りますので、帰って結構ですよ」


 それを言われてエミリア達も家庭科室を出て、ティティアも早速作業に入った。




 女子寮、エミリアの部屋

 4人は打ち上げと同時に、エミリアとカイトの誕生パーティーを開いていた。


『ハッピーバースデー、エミリア、カイト!』


「ありがとう、ハルトマリー、スバル」


「いやぁ、しかし本物のエミリアの誕生日が、スレイとカイトとも同じだなんて、本当に偶然だよね」


「えぇ、私もそれ知った時、もしかしてこれも運命の導きかなって思ったくらいだから」


「まぁ私も聖職者だから、運命に関する話もあながち信じられるけどね。こっちも誕生日の事聞いて、勉強の合間にプレゼント用意しといたよ。はい、これ」


 そう言ってスバルは2人に小箱を渡した。


「6月の誕生石を埋め込んだロザリオ。縁起が良い筈だよ。」


「俺達からも、はい、新作アロマ。部屋に飾って使ってね」


「ありがとう2人共」


「そう言えば姉さんが実家から姿を消した日って、誕生日から1週間後の時期だったよね?」


「そう言えば私もあの時、実家への不満、結構溜まってたからね。本当、あの時シェーラに出会ったのは人生の転機でもあったわね」


「で、エミリア、まだ実家に話そうとは思わないの?」


「うん。私もあそことは、本当に色々あったから、今はまだ…」


「兎に角!今は誕生パーティーを楽しもう!」


「えぇ、そうね」


 そうしてパーティーを楽しむ一同を、部屋の影の1つの光が見ていた。




 時間が経って夜、スレイは部屋のユニットバスでシャワーを浴びていた。


「はぁ~、やっぱり気持ちいいな~」


「へぇー、思いっ切り女の子のシャワーの浴び方になってるわね」


 声のした方に振り向くと、そこに1つの光があり、それが人の形になった事でスレイは驚いて尻餅をついた。


「うわぁ!」


「ふぅ~ん。尻餅ついても、脚閉じて腕で胸を隠して、丸っ切り女の子のそれになってるじゃない。そう言った所まで、お姫様に染まっちゃってるのね。このままじゃ素顔でも女言葉のままになっちゃったりして」


 光のあった所には、黄色い花を連想させる衣装を着た、金髪三つ編みの妖精がいた。


「君は一体…?」


「あたしはフィーナ。最近この国にやって来た妖精よ。あんたがこの学園にやって来る前からずっとあんたの事見させて貰ったわ」


「まさか例の小さな光は!?」


「それ、あたしの事。でもってあんたの事ずっと見てたから色々知ってるわよ。10歳の時からお姫様やってる事。それが魔女との契約によるものだと言う事。あんたの正体が剣の名家の次男だと言う事。裏に関わる組織を追ってる事。勇者の血族と関わった事。使ってる仮面が男に惚れる事で同化するって話の事も」


「そこまで知られてるなんて!?君は一体、俺にどうしろと言うんだ!?」


「別にどうもしないわよ。こんな話あたしは興味無いし。あたしが此処にやって来たのは刺激が欲しかったからなのよね。人目を気にしてコソコソする生活は、あたしもいい加減飽きてきたし、嘗て人と共に過ごした妖精の様な、刺激と冒険に溢れた日常が欲しくて、こうして人里にやって来たのよね。で、誰か良い人いないかなって飛んでた時に、城で妹の為に戦うあんたを見たって訳。それからあんたの事観察し続けて、あんたはかなりの優良物件だと思った訳」


「で、俺にどうしろと?」


「丁度今日あんたの誕生日だったわね。あたしからの誕生日プレゼントはあたし自身!あんたの傍付きのガイド妖精として、あんたのサポートを全面的にやってやるわ!」




 翌朝、1年1組教室

 エミリアは自身の肩の上に乗ってるフィーナをカイト達に見せていた。


「で、その妖精が急に押しかけて来たと?」


「えぇ。私の正体知られちゃってる都合上、放置する訳にはいかないし」


「可愛い。本物の妖精なんて初めて見た」


「で、サポートと言うからには、貴方何が出来るの?」


「飛行能力は勿論、補助や状態異常等のサポート系魔法一式は使えるわよ」


「ちょっとフィーナ。学園の中では静かにね」


「分かってるわよ」


 そう言ってフィーナはエミリアの服の中に入り、その胸の谷間の中に入る。


「そこは恥ずかしいって」


「良いじゃない。中々の入り心地なんだから」




 昼休み、中庭テラス

 エミリア達はその場で昼食を取っていた。


「授業中もフィーナがちゃんと胸の中で大人しくしてて助かったわ」


「あたしだって、そこら辺ちゃんと弁えているわよ」


「でも何で急に姿を現して来たの?今まで通り物陰で静かにしてても問題無かった筈でしょ?」


「それは…」


「エミリア様!」


 そこに衣装を入れた箱を持ってティティアがやって来る。


「いやー、思いのほか、衣装作りが捗っちゃって、昨夜の内に全部出来上がってしまいました!これ、例の衣装一式です!お受け取り下さい!」


「あぁ、うん。ありがとう」


 そしてティティアはフィーナに気付いて捕まえる。


「まさか妖精!?こんなレアな存在が私の前に現れるなんて!」


「えっ、ちょっと!?」


「早速貴方の服を作っちゃいましょう!」


 そう言ってティティアは家庭科室へ走り出す。


「いやー!助けてー!」


「後で迎えに行くからねー」




 放課後、1年1組教室

 エミリア達も帰り支度をしていた。


「あの女、遠慮無しにあんな事を…」


「まぁまぁ…」


「まぁ、こう言うのも含めて、楽しいのかもね」


「それってどういう…?」


「さっきの話の続き。何だかあんたら見てると、こう言った日常が私に必要かなって思ったのよ。笑って、騒いで、馬鹿やって、でも悪くないと思える楽しい日常。あんた達の傍なら、あたしも退屈せずに済む筈だと思ったのよ。そう言う訳だから、あたしの事、退屈させない様にお願いね」


「…分かったわ。そこまで言うなら、ちゃんと役に立つ事。それが条件よ」


「上等よ。バンバン役に立って見せるわ」


「姉さん、まだ~?」


「あ、ごめん。今行く!」


 そしてフィーナはエミリアの胸の中に入り、エミリアも教室を出る。

 妖精フィーナとの日常も、この時から始まる事となった。

ファンタジー世界ですからね。妖精くらいは出してもいいかと。

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