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第13話

新メンバーの過去編から。

 5年前、とある村

 そこにある教会にて、茶髪のロングヘアーのシスターが子供達の世話をしていた。


「シスター・ララ、また明日!」


「はーい、また明日」


 そして子供達が帰って行った所で、2人の茶髪の少年少女が駆け寄って来た。


「ララ姉ちゃん!」


「あら、スバルにシータ、貴方達も今帰り?」


 この子供達は、ララの双子の弟妹、スバルとシータである。


「うん!僕達も勉強終わってここまで来た!」


「お姉ちゃん、お仕事は何時終わるの?」


「ごめんなさい。お姉ちゃんもうちょっと掛かりそうだから、ここで待っててね」


『はーい!』


 そう言ってララは教会の中へ入っていく。




 教会内、院長室


「お話とは何でしょうか、院長?」


「ララ、実はアルテミシア聖教会に、是非貴方を引き入れて欲しいって紹介状を送ったのよ」


「えっ…?」


「実際貴方は聖職者としての資質は高いし、勤務態度も真面目だし、それ故に教会内部からもこの村からも信頼されている。これならアルテミシア聖教会に出しても問題無いわ」


「ま、待って下さい!いきなり言われても困ります!私、この村を出る気は…!」


「貴方だって、早くに両親を亡くして、女手一つでスバルとシータを育てる事になったんでしょ?貴方も今17歳で、あの子達も今10歳になった以上、最低でも生活費と2人の養育費は考えておかなくちゃ。まぁ私だって強制はしないし、貴方達の気持ちだってあるもの。本部の人が来るのも1週間後だから、それまでにちゃんとあの子達と話し合って頂戴」


「…はい。失礼します」


 そう言ってララは部屋を出て、帰り支度をする。




 夜、3人の家

 ララ達は夕食を済ませ、3人でテーブルに座っていた。


「お姉ちゃん、お話って何?」


「うん。…実は私ね、都会の教会で働かないかって言われてるの」


「えっ、マジ!?お姉ちゃん凄いや!」


「その事でね、そこで働くにあたって、私達3人、この村とお別れする必要があるの。そりゃあ都会の教会なら、お金もいっぱい稼げるし、2人を育てる為のお金は用意出来るよ。でも、この村にはお父さんお母さんとの思い出だってあるし、2人をここのお友達とお別れさせたくない。だから迷ってるの。2人を育てるお金の為に、3人でこの村とお別れするか、思い出の為に断るか。私だって、2人の気持ちを無視したくないし、2人が嫌ならお姉ちゃんも断る…」


「断らなくて良いよ」


「…えっ?」


「僕達知ってるよ。お父さんお母さんが死んでから、お姉ちゃん無理してる事。そうやって僕達に気を遣って、折角のチャンスを諦めて欲しくないよ」


「私達なら大丈夫だから、お姉ちゃんも自分の事を考えて」


「僕達なら大丈夫だから」


「…ありがとうね、2人共」




 6日後、夜

 3人は出立の準備をしていた。


「2人共、忘れ物は無いわね?」


「大丈夫だよ、ちゃんと全部カバンに詰めた」


「僕達、この家とお別れしちゃうんだね」


「そうね。村の人達も快く見送ってあげるって言ってたし、良い人達で良かったわ」


「僕達も友達皆寂しそうにしちゃってたよ」


「私達の事は気にせず、お仕事頑張ってね」


「えぇ、2人もちゃんと言いつけ守るのよ」


 その時、外からノックが聞こえ、ララは対応する。


「はい。どちら様で…」


 扉を開けた瞬間、ララの首に当て身が当てられ、彼女は気を失い、スバルとシータも薬が染み込んだ布を当てられ、眠らされた。




 何か水滴が落ちる音が響き、スバルが目を覚ますと、そこは何処かの地下室だった。

 如何やらスバルは、部屋のベットに寝かされた様で、状況把握の為に起き上がる。

 ベットから降りる際、何故か足があっさり床に着いたり、立った時の視点が高かったりと違和感を感じた。

 そこに見つけた姿見に目を通すと、スバルは目を疑った。

 姿見に映った自身の姿が、頭は見慣れた自分の物だが、首から下が女性の物になっていた。

 否、その胴体をよく見ると、胸や腰等のほくろは、前に見た事ある姉のララのと全く同じ物でった。


「何だよこれ?まるで僕がお姉ちゃんの身体を乗っ取ったみたいじゃないか。」


「みたいじゃなくて、その通りだ」


 スバルがその声に振り向くと、ドアから数人の黒いローブの男達が入って来た。


「我々で研究した融合の書の力を、君達姉弟に使わせて貰った。母性と聖職者としての力がある姉の身体をベースに、まだ性の自覚が目覚めていない妹の性器と、女性と言う物に対する理解や興味がまだ薄い弟の頭を融合させた」


「っ!?まさか僕は、お姉ちゃんとシータの身体を混ぜ込まれたって言うの!?」


「その通り。君には我が組織が今後生み出したい人間の為の母体になって欲しくてな。これから我々の迎えたい世界の為に必要な事だったのだ。そう言う訳だから、君には大人しく、我々の道具として使われて貰うぞ」


 そこに新たに入って来た男が、慌ただしく報告してくる。


「所長!アルテミシア王国からの報告です!確かに暗殺した筈のエミリア王女が、何故か生存しており、現在アルテミシア城に帰還したとの事です!」


「何だと!?一体どういう事…!」


 スバルもその隙を突いて、別のドアから部屋を脱出。

 そのまま外への出口を見つけ、勢いに任せて外へ出て、土地勘を使って村の方まで駆け出した。


「はぁはぁ…!こんな見た目になっちゃったけど、皆僕の事分かってくれる筈!早く助けを求めないと!」


 そして村に着いたスバルが見たものは、辺り一面火の海と化した村であった。


「…何で?」


「彼らが我々の姿を見たからだ」


 立ち尽くしてるスバルの元に、ローブの男達がやって来た。


「実は君達を運んでいる所を村の者に見られてしまってな。こんな小さな村でも痕跡が残る事に変わりは無い。だから証拠を徹底的に潰す為に、村を焼かせて貰った」


「そんな…。こんな事って…」


「さぁ、大人しく我々に着いて来て貰おうか」


 リーダーの男が手を伸ばしたその時、スバルの身体が光り出した。


「…っ!?これは!?」


「…許さない。よくも…よくも皆を!」


 そこにスバルの背後から神々しい何かが現れた。


「これは、精霊!?まさかこの姉弟、精霊魔法の才能を秘めていたと言うのか!?」


 そしてスバルが手を振りかざすと、精霊は男達を一瞬で消し飛ばした。

 そして誰1人いなくなった村で、スバルは膝を着いて、大いに泣き叫ぶのだった。




 朝、スバルの家

 スバルの家は村から離れていたお陰で燃えずに済み、そしてララの服一式を拝借していた。


「何でか知らないけど、精霊出した影響か、私にお姉ちゃんとシータの記憶が流れ込んできた。まぁそのお陰で、お姉ちゃんの服を着るのに手間取らずに済んでるけど」


 そして服を着たスバルは、燃え切った村から村の人達の墓を作り、供養していく。

 そこに1人の司祭がやって来る。


「あの、この村の惨状は一体?」


「この村にやって来た山賊に村を焼かれ、私以外殺されました。私は偶然、村の外に用事で出てたので」


「そうでしたか。私にも祈らせて貰えないでしょうか?」


「えぇ、お願いします」


 そして司祭は村の人達への祈りを捧げ、スバルに向き直る。


「申し遅れました。私はここの教会の院長からの紹介状を貰って、アルテミシア王国の教会から派遣された者です。」


(アルテミシア王国!あの時のローブの1人が口にしていた!)


「失礼ですが、貴方の事をお聞きしても?」


「はい。私はスバル。その教会の院長から紹介されたのは私の姉です」


「そうでしたか。すみません。私も来るのが早ければ、王国からの救援を呼べた筈だったのに。到着が遅い方で、大変申し訳ありませんでした」


「いえ、もう過ぎた事ですし、今回の事は本当に運が悪かっただけですので、私も貴方を責めたりしません。あの、よろしければ、私をそちらの教会へ働かせて貰えませんか?私もまだ10歳で、田舎暮らしなものですから、1人で生きていくのは苦労しそうで」


「何と!?その身なりで10歳!?てっきり成人なものかと!」


「えぇ、よく言われるんですよ(まぁ、お姉ちゃんの身体を取り付けられたからね)」


「分かりました。これから貴方がうちの教会で働ける様、私も掛け合ってみます」


「よろしくお願いします」


 そしてスバルは、司祭の案内でアルテミシア王国へ向かう事になった。




 あれから5年、スバルはアルテミシア王国の教会で精霊魔法を磨き、シスターとして生活していた。

 教会職員及び周囲の人達からの信頼も厚く、聖女の様な少女だと称えられていた。

 容姿もララの胴体だけでなく、まだホルモン活性を始めていなかったシータの性器を取り付けられた為か、そこから更に女性らしく成長していく事になり、現在身長170cmでバストIカップ、顔も女性らしい物になり、ララを意識して、髪も腰まで届くロングヘアーにした。

 そして現在、教会からの推薦でアルテミシア学園に入学、1年1組で勉強していた。


 そして5月中頃、学園廊下


「ありがとうね、スバルさん。医務室手伝って貰っちゃって」


「いえ、これくらいお安い御用ですので」


 そしてスバルは医務室を後にする。


「さて、折角だから図書館で精霊の文献読み漁ろうかな」


「サポート役が欲しい?」


 その時、スバルが中庭に目をやると、エミリア、カイト、ハルトマリーが話し合っていた。


(あれは確か、エミリア王女?そう言えばあの時、暗殺された筈なのに生きていたって話だった様な?)


「そうなの。4月のオリエンテーリングで思ったんだけど、あの時は低級魔物だったから良かったけど、私達3人のパーティーって、私とカイトが前衛、ハルトマリーが後衛でしょ?で、基本私達3人はアタッカー向きで、サポート役全般を任せられる人がいないでしょ?そりゃあ私だって、回復・サポート用の魔法は使えるけど、私1人じゃ手が回らない時もあるし、私も攻撃に専念しなくちゃならない時だって出て来る事もあるから」


「そうね。俺達も闇魔法系統だから、サポート向きじゃないし」


 そして3人の前にスバルが姿を現す。


「その話、私が力を貸しましょうか?」


「貴方は、確か…」


「改めまして、私はスバル・フェニア。アルテミシア聖教会の推薦で入学した、エミリア様のクラスメイトです。先程、サポート役が欲しいと仰ってましたよね?私も光魔法と精霊魔法の心得がありますし、教会の人間の為、サポート全般は得意です。実は私も、今後の為に冒険者活動も視野に入れていて、パーティーメンバーを探していた所だったんです。私もパーティーの当てが見つかって無かった所なので、よろしければ私を入れて貰えないでしょうか?」


「うーん…。確かに今、私達も当てが見つかってないし、教会の人間なら問題無いか。先ずはお試し期間からでいいかしら?」


「えぇ、それで構いませんよ」


「よろしくね、スバルさん」


「よろしくお願いします、エミリア様」


 そして2人は握手を交わした。


(よし、取っ掛かりが出来た。エミリア王女は組織が目を付けていた重要人物。組織を追う為の足掛かりとして利用出来る筈。暗殺した筈なのに生きていたって理由も探ってみようか。私も組織の大本を見つけ出して、復讐を果たして見せる)

シスター加入。

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