第10話
やっぱり読み返しても、この手の話も苦手分野です。
セフィアスタジアム、第1競技「ディスクシューター」
「ではディスクシューターのルール説明と参ります!選手達はそれぞれ指定された足場に立ち、空中に撃ち出されたディスクを撃ち落として貰います!撃ち落とすのに使う方法は、射撃魔法或いは武器で行います!指定された足場の外に出る、ディスク以外を攻撃するのは反則となります!そして、魔法攻撃の際も、周囲に危険が及ぶものも失格となります!では、選手の入場です!」
そして、射撃競技ウェアとなった選手達が入場し、指定された足場に乗っていく。
「準備はいいですか?それでは、始め!」
開始のブザーが鳴ると同時に選手達も構え、撃ち出されたディスクを撃ち落としていく。
セフィアチーム、メルティチームは慎重に撃ち落としていき、ブレジアンチームも巧みな弓裁きを見せる。
アルテミシアチームは魔法と弓のコラボレーションを見せていき、フィルビアチームも幾つもの魔法陣を展開、手数で撃ち落とす。
「(フィルビア王国、魔法研究国だけあって、そう言うのは出来て当たり前か。だけど俺達だって、負けるつもりはないわ!姉さん、代わって!)はいよ、ハルト。私に任せろ」
ハルトマリーも人格を切り替え、魔法弾に軌道変化を加えながら、ディスクを撃ち落とす。
観客席のシェーラも、感心しながら見ていた。
「本来ハルトは思考で、マリーは反射と直感で動くタイプ。しかもマリーの方が魔法の扱いが上手い。人格の切り替えも上手く使えてる。本当に大した弟子達ね」
アルテミシアチームもハルトマリーの人格切り替え、アッシュの弓裁き、トールの計算能力で次々撃ち落とす。
そして終了のブザーが鳴り響く。
「終了!では結果発表に移ります!5位はメルティチーム、4位はセフィアチーム、3位はブレジアンチーム、最後は同列1位でアルテミシア、フィルビアチームだ!」
そして湧き上がる歓声に、選手達も手を振って応える。
第2競技「マジックスケート」
「ではマジックスケートのルール説明と参ります!この水のレーンの上を、ボードや足場生成魔法と言った移動補助で滑り、コースを3周してゴールするレース競技です!選手の皆さんにはゴールするまでのタイムで競って貰います!尚、ボード使用者はボードから落ちる、魔法使用者は魔力切れ等でレーンの中に沈んだ時点で失格となります!では、選手の入場です!」
そして、ウェットスーツとなった選手達が入場する。
その中にフリードとミーシャの姿もあった。
「さぁ、今シグナルが点灯しました!間も無く全てのシグナルが光り、そしてスタートだ!」
ブザーと同時に全員がスタートダッシュを切る。
シードは氷のスケートで、ロイドとリリアンはボードで颯爽とコースを駆ける。
フリードとミーシャもカーブを洗練された動きで曲がり切る。
2週目に入った時点で、フリード1位、リリアン2位、ミーシャ4位、ロイド6位、シード9位である。
フリードとリリアンはつかず離れずの攻防戦を繰り広げ、ミーシャも大きな波に乗り上げ3位に。
ブレジアンチームも下り坂のタイミングで体重を掛ける事でスピードを上げていく。
フィルビアチームも魔力を調整する事でカーブをカバーする。
そして最終ラップ、フリード&リリアン1位、ミーシャ3位、ロイド7位、シード12位である。
ブレジアンの選手の波飛沫に巻き込まれた後続の選手達は水没してリタイア。
その先にいたシードはぶつかるが何とか持ち直す。
暫くしてやって来た最後の先頭争い、最後のカーブを曲がり切った所でフリードとリリアンは加速。
そして最後の直線を猛スピードで駆け抜け、2人は同着となった。
「写真判定に入ります!これは…5cm差でフリード選手が1位!リリアン選手も惜しくも2位!そして総合成績の結果は、第5位メルティチーム、4位フィルビアチーム、3位アルテミシアチーム、2位ブレジアンチーム、1位セフィアチームだ!」
観客席の歓声を背後に、フリードとリリアンは向き合った。
「フリード王子、ありがとうございました」
「こちらこそ、いい試合でした」
そして2人は握手を交わす。
屋外グラウンド、第3競技「ターゲットスクランブル」
「ではターゲットスクランブルのルール説明と参ります!この広大なフィールドに配置されたターゲットを時間内に多く撃破して貰います!ターゲットに使われるのは、狼魔物ランドウルフ。知能と凶暴さが目立つ狼だ!当然、魔物との戦闘となる為、チーム連携で挑まなければならない!選手達に支給された致死量ダメージを肩代わりするリングが割れ、1人でも割ったら起動する転移クリスタルで退場した時点で失格となります!では、選手の入場です!」
そして、冒険者衣装となった選手達が入場する。
その中に、ゼインとレシアンの姿もあった。
「準備はいいですか?それでは、始め!」
開始のブザーと共に、皆は戦闘を開始する。
そしてアルテミシアチームは、アイクがタンクを引き受け大剣で防御、レクトが槍、ベリゴが剣で倒し、カイトが不意打ちを剣で対応する。
メルティチームも1人リングを割った事でリタイア。
フィルビアチームは多彩な魔法で次々撃破。
セフィアチームは持ち前の回避とスピードで撃破数を稼ぐ。
ブレジアンチームはタンクが全ての攻撃を受け止めている間に、ゼインが豪快な一太刀を浴びせ、レシアンが糸で隙間を縫う様に撃破。
「流石武の王国ブレジアン。王子と従者が出ているから尚更だな」
「ベリゴ!感心してないでこちらに集中しろ!」
そして各々疲労が見え始め、セフィアチームは不意打ちを受けてリングを割ってしまいリタイア。
フィルビアチームも魔法の出力が落ち始める。
そして終了のブザーが鳴り、全員フィールドの外に出された。
「終了!順位発表に移ります!第5位メルティチーム12体、4位セフィアチーム33体、3位フィルビアチーム48体、2位アルテミシアチーム60体、1位ブレジアンチーム80体だ!」
観客席の歓声を背後に、ブレジアンチームは選手達に一礼をする。
「各々方、対戦頂き、ありがとう」
第4競技「フェアリーズワルツ」
「ではフェアリーズワルツのルール説明と参ります!1人ずつ壇上に上がって、魔法でパフォーマンスをして頂きます!1人持ち点10点の審査員5人から如何に高得点を引き出せるか、それは選手達の技量と発想力に掛かっております!では、選手の入場です!」
そして、パフォーマンス用衣装に身を包んだ選手達が壇上に上がる。
その中には、ミコノとイクトの姿もあった。
「それでは、事前に伝えられた番号順に披露して貰います!」
そして各々、1人ずつ前に出て魔法を魅せていく。
総合得点は、15~35の範囲内が出る。
そしてエミリアの番、彼女は先ず幾つもの色とりどりの火球を放ち、それを小さな光弾で撃ち落として、空に大輪の花を咲かせる。
そして総合得点は38点。
その後も、ミーシアが魔法の舞を見せて35点、フォリアが光の動物の絵を描いて37点、ヴィオラが豪快なパワー系パフォーマンスを魅せて40点を取った。
最後の2人、先ずイクトは光魔法を猫の形にしてステージ上を走らせる。
最後に自身の頭上に乗せてフィニッシュ。
総合得点は42点を出す。
続いてミコノは頭上に光の粒子を撒いて、それを風で1つに纏めて木の形に。
そこから実が成る演出を出す。
総合得点は45点を出す。
「さぁ、パフォーマンスが終了しました!ミコノ&イクトコンビ、流石エンタメ王国の王族です!では、気になる総合成績順位は、5位ブレジアンチーム、4位フィルビアチーム、3位セフィアチーム、1位は同列でアルテミシア、メルティチームだ!」
観客席の歓声の後、エミリアはミコノとイクトに向き合う。
「今回のお2人を参考に、私も更に励むとするわ」
「私達だって、勝ちを譲る気は無いわよ」
夜、ホテル内パーティー会場
5か国共に立食パーティーを行っていた。
そしてエミリアの傍にゼシカが訪れる。
「エミリア王女、今回のフェアリーズワルツ惜しかったですね」
「いや、私だって上手くいくとは思ってませんでしたし、想定の範囲内ですよ」
「そうですか。所で、明日も出るつもりですか?」
「ええ。シティーズスクワットに」
「あら、丁度私とデュークが出る競技ですね。対戦楽しみにしてますよ」
そう言ってゼシカはその場を離れ、デュークの下に来る。
「ゼシカ様、明日の方、俺も勝つ気でいきますよ」
「えぇ、シティーズスクワットなら私達コンビの力を発揮出来ますもの」
何処かの空き部屋
アルベルト、アルフォード、シェーラの眼前に1人の男が椅子に縛られていた。
「この男がターゲットスクランブルのランドウルフに細工をしようとしていたわ」
「取り調べによると、命令されてやっただけだと供述しております」
「成程。各国の派遣された警備も、近くで妙なローブの人間を見たと証言していた。恐らくそいつの命令だろう」
「如何致しますか?」
「無論、全ての警備と連携して迅速に取り掛かる。シェーラ殿、手の回らない所はお願いしますよ」
「任せて頂戴」
「ローブの特徴も、この前アルテミシア城に現れた奴らと同じもの。例の組織と見るべきだ。大会の邪魔なんぞさせない。絶対に阻止して見せる」
1日目、終了。