第9話
5月エピソード開始。
アルテミシア学園、空き教室
そこに生徒会を初めとする生徒達が集まっていた。
「では諸君、本日は交流会の参加メンバーの顔合わせと行こうか」
この開口の挨拶と共に、メンバーの紹介が始まる。
先ず1年代表、1組よりエミリア「よろしくお願いします」
カイト「最善を尽くします」
ハルトマリー「よろしくお願いします」
3組より、ピンク髪のセミロングのエルフの少女、ミーシア・リルア「は、はい!」
5組より、水色髪のショートヘアーの中性的な少年、シード・ケイネス「お願いします!」
次に2年代表、1組より、紺色のウルフヘアーの狼獣人の少女、ウォル・ランド「任せろ」
ロリータ改造制服の薄茶色のストレートヘアーの狐獣人の少女、フォリア・フェネクス「よろしゅう」
2組より、金髪の美青年、レクト・バルト「最善を尽くそう」
灰色の髪の好青年、アッシュ・ノールド「務めを果たします」
4組より、褐色肌の寡黙な男、ドゥーテ・ゴーン「あぁ」
次に3年代表、1組より、金髪縦ロールのお嬢様、ヴィオラ・レイローズ「ごきげんよう」
3組より、茶髪の髪で右短め左長めのアシンメトリーヘアーの少女、カヤ・ディトクス「応!」
紫髪のボサボサ頭の青年、ベリゴ・ラングルス「キッチリやり遂げる」
5組より、藍色の髪の筋肉質な青年、アイク・ストリング「任せろ」
水色髪の少年、ロイド・マクスウェル「は、はい!」
生徒会庶務、2年魔導工学科の茶髪お下げのドワーフの少女、レニン・アシト「お願いします」
書記、2年で黒髪眼鏡の知的青年、トール・ヴィゾン「やって見せよう」
会計、2年で青髪ストレートヘアーの眼鏡の少女、アイラ・ヴェリト「お任せ下さい」
副会長、3年で紺色ウェーブロングの少女、リリアン・フィンヴェール「私も力を尽くします」
そして3年で会長のラウディー
「以上が、交流会の代表に選ばれた者達だ。次に発表された種目毎の選手を決める。レニンを初め、裏方担当も選手達が万全に挑める様に力を尽くせ。準備が整い次第、各自調整に入れ」
『はい!』
交流会前日、魔導列車・アルテミシア王国駅
魔導列車とは、魔法石を動力源として組み込む事で動く列車で、列車の規模や性能が大きいと、ランクや純度の高い魔法石を使う必要がある。
魔導列車の存在は、移動や物流等にとっても重要な役割を持つ交通機関である。
そして、アルテミシア学園の生徒達が列車に乗って向かうは、セフィア王国。
競技の提供に力を入れるスポーツ王国である。
セフィアスタジアム・グランドホテル
そこに設けられたアルテミシア学園用の部屋にて、交流会の内容が確認される。
「では、今回の交流会で行われる親善試合の内容を確認しよう。試合については、競技と言うゲーム形式で行われる」
「先ず1日目で行われるのは、1つ目はディスクシューター。空中に撃ち出されたディスクを、制限時間内に多く撃ち落とす競技。これは射撃能力が高いハルトマリー、アッシュ、トールが出場」
「2つ目はマジックスケート。これは自身の魔力でコースを滑走していくレース。速く滑れるなら、氷なりボードなりを使ってコースを滑って行く事になる。これは移動補助が使えるシード、ロイド、リリアンが出場」
「3つ目はターゲットスクランブル。これは広範囲のマップ上のターゲットを撃破していくタイムアタック。限られた時間内に、どれ程効率的に多く撃破していくかが重要だ。これは戦闘能力と連携能力でカイト、レクト、ベリゴ、アイクが出場」
「4つ目はフェアリーズワルツ。魔法を美しく魅せていくパフォーマンス。如何に審査員から高評価を引き出せる魔法の魅せ方が出来るかが鍵となる。これは魔法の技量が高いエミリア、ミーシア、フォリア、ヴィオラが出場」
「次に2日目、1つ目はシールドシューター。設置されたシールドを飛ばした飛距離で競う。これは砲撃のパワーと射程がものを言う。これはパワーと射程が十分なハルトマリー、ヴィオラ、アイラ、俺が出場」
「2つ目はウォールクライム。小さな足場や岩場を駆使して壁を登る。これは体力だけでなく、選択肢の選び方も問われる。これは身体能力の高いシード、レクト、ドゥーテ、カヤが出場」
「3つ目はシティーズスクワット。用意された空の市街地で集団戦を行う市街戦。これはチームワークと索敵能力、周囲の物や地形を駆使する頭脳戦でもある。これは実戦経験のあるエミリア、カイト、ウォル、ベリゴ、アイクが出場」
「4つ目はダイビングターゲット。水中を動きながらターゲットの的を壊す水中戦。水中の機動力と攻撃手段が鍵となる。これは水中でも動けるミーシア、フォリア、ロイド、リリアンが出場」
「最後に3日目、1つ目はフライングダンス。飛行魔法で飛んでいる間に魅せるパフォーマンス。これは飛行と演技を両立させる演目も兼ねている。これは飛行魔法が使えるエミリア、ミーシア、ヴィオラ、リリアンが出場」
「2つ目はトワリングボール。浮遊魔法で操るボールを指定された通りに動かす。スピードと機動力を両立させる高度テクニックが要求される。これはコントロールが上手いハルトマリー、トール、アイラが出場」
「3つ目はクリエイトキューブ。用意された巨大キューブを刻んで1つの像を作る芸術競技。芸術センスと繊細な斬撃が問われるアート系種目。これは手先が器用なフォリア、アッシュ、ドゥーテ、ロイドが出場」
「4つ目はラビリンスレース。仮設された迷宮を脱出するまでのタイムで競うタイムアタック。無論、これは会場で用意されたゴーレムが設置され、1体1体は弱くない。これは万全を期してカイト、ウォル、レクト、カヤ、俺が出場」
「以上、今回参加して貰う競技のおさらいだ。レニンを筆頭とした技術班を中心に武器や道具類を調整。試合前のコンディション等の最終確認を怠るな。総員、理解出来たら取り掛かれ」
『はい!』
スタジアム・トレーニングルーム
アルテミシア学園の使用時間、カイト、レクト、ベリゴ、アイクが組み手をしていた。
アイクの体躯を活かしたパワーでカイトが投げられ、レクトが受け流しでベリゴを疲れさせていた。
「よし、ここまでで良いだろう。試合の為にも、ちゃんと手を止めよう」
「ありがとうございます、アイク先輩!」
「レクト、お前もやるなぁ」
「ベリゴ先輩も中々でしたよ。…っと、次はブレジアン学園の時間になるな」
4人がフィールドから離れると、入れ違いに灰色の制服の男子生徒2人が入ってきた。
朱色の髪の筋肉質の青年と、群青色の髪の青年は一瞬でスポーツウェアに着替える。
「行くぞ、レシアン!」
「はい、ゼイン様!」
その掛け声と共に2人は組み手を開始した。
「…ブレジアン王国第2王子、ゼイン・フォン・ブレジアン。その従者、レシアン・インダークか」
「傍から見ても分かる。あの2人、かなりのやり手だ」
そうして4人は、ゼインとレシアンの凄まじい組み手を眺めていた。
「見てるだけでも伝わる闘気。流石武に生きる者達の国」
「こいつはかなりの強敵だぞ」
グランドホテル・エントランスホール
そこを通り掛かったシード、ウォル、リリアンは、備え付けられているテーブルで話す、緑色の制服の、クリーム色の髪の青年と茶髪のツインテールの少女に気付く。
「今回の交流会でも、進行の内容次第でルールの見積もりをやっていこう」
「ルールもいいけど、やっぱり魅せる競技もいいと思うの」
そんな2人を見ながら3人はコッソリ話す。
「あれはセフィア王国第1王子フリード・フォン・セフィアと、妹の第1王女ミーシャ・フォン・セフィア」
「この国の王族の方々じゃないですか」
「そうね。でも、競技の運営に対する取り組み、やはりスポーツ王国の王族ね」
そして夕方、ホテル通路
調整を終えたエミリアとハルトマリーが部屋に戻ろうとした時、1人の女性が声を掛ける。
「ごきげんよう、エミリア王女、ハルトマリーさん」
「ゼシカ王女?奇遇ですね?」
「えぇ、私も丁度会議が終わった所だったの。折角だし、2人もお風呂一緒にどうですか?」
「えっ!?悪いですよ、他国の王族とお風呂って」
「いいじゃない、同じ王族同士。それに私も、他の生徒も別行動取っちゃって寂しかったし」
「お…私は自分の部屋のシャワーで済ませま…」
「ささ、遠慮せずに!」
『わっ、ちょっ…!?』
そう言ってゼシカは2人を強引に大浴場へ引っ張って行く。
更衣室でエミリアとハルトマリーは耳打ちをする。
「ハルトマリー、貴方の方は大丈夫なの?」
「大丈夫です。幻影魔法で隠しますので」
そうして3人は浴場に入ると、そこに茶髪のふんわりロングの少女がいた。
「あら、貴方も来ていたのですか、ミコノ王女」
「あのアイドルを初めとした芸能界に力を入れてるエンタメ国家、メルティ王国の第2王女、ミコノ・フォン・メルティ様!?」
「そう言うあんた達はアルテミシアとフィルビアのお姫様の様ね。まさかこんな所で会うとは思わなかったわ」
「まぁまぁ、取り敢えず身体洗って湯船に浸かりましょう。身体が冷えちゃいますよ」
そして4人は先ずシャワーで髪と身体を洗い、湯船に浸かった。
そしたらミコノが3人に恨めしそうな視線を向ける。
「どうしました?」
「な、何でもない…」
「ミコノ王女、目が私達の胸に行ってましたよ?」
「なっ!?何言ってんのよ、あんたは!」
「貴方は私達と比べて、明らかに小さいですものね。見たところエミリア王女はH、ハルトマリーさんはFですね。因みに私はGカップです」
「露骨に自分達のサイズを見せつけるな!悪いか!?Cカップで悪いか、こらぁ!?」
「いえいえ。実に小さくて可愛らしいなと思っただけです」
「って言うかあんたらデカ過ぎるのよ!嫌味か!?持つ者の持たざる者への当て付けか、こらぁ!」
「お、落ち着いて下さい、ミコノ王女!」
「コホン。…まぁ揶揄うのはここら辺にして、交流会、お互い頑張りましょう」
「ふん!まぁ良いわ!うちの魅せるメルティ王国流パフォーマンス、見せつけてやろうじゃない!」
そう言って4人は湯船を出て、制服に着替える。
因みにゼシカは赤、ミコノは黄色の制服に、ミコノは更にゴスロリ風の改造をしている。
4人が廊下に出ると、隣の男湯からミコノと同じ制服、同じ顔の少女が出てくる。
「えっ!?何で男湯からミコノ王女が!?」
「あっ、姉さん」
「あんたも同じタイミングだったの、イクト」
「あぁ。貴方がミコノ王女の双子の弟の第1王子、イクト・フォン・メルティでしたか」
「えっ!?男子!?」
「はい。この格好は、姉に憧れて始めた、僕の趣味です」
「いいでしょういいでしょう。私の弟も可愛いでしょう!」
そしてエミリアとハルトマリーは、更衣室で床に手を着いてるカイトに気付いた。
「あれは男、あれは男、あれは男…」
「どうやら、イクト王子の見た目と性別のギャップにショックを受けてるみたいね」
「そう…ですよね。男がこんな格好するの、気持ち悪いですよね…」
「あっ、そんな事無いわ!とっても似合ってるし、可愛いわよ!」
「そうですか?えへへ」
「弟の服は私がコーディネートして、服の裏もパットやコルセットでの補正を教えといたのよ。私の手腕も大したものでしょう!」
夜、ホテル通路
食事を済ませたエミリア、カイト、ハルトマリーが部屋に戻ろうとしていると、小さな影がエミリアに抱き着いてきた。
「お姉様!」
「ユフィ!?どうしてここに!?」
「俺が連れて来た」
声のした方に振り向くと、そこにアルベルトとアルフォードがいた。
そして6人はスイートルームへ。
エミリアも仮面を取る。
「兄さん達、どうしてここに?」
「今回は5か国から王族が出場するって話だからな。当然、警備もそれ相応のレベルにする必要がある。俺とユフィは、何とか時間を作ってやって来た訳だ。俺達の自慢の第1王女の晴れ舞台だからな」
「そうか。そこまで言われたら、俺も結果を残すしかないな」
「頑張って下さい、スレイお兄様!」
「お前達は俺の自慢の弟達でもあるからな、スレイ、カイト」
「はい、兄さん」
「…性別の話題で、さっきの風呂の件、思い出しちゃった」
「どうした、スレイ?」
「実は…」
スレイも夕方の浴場の件を話した。
「…そう言えばイクト王子の女装癖は俺も聞いた事があったな。それと、確かにスレイ、お前の胸、俺達も大き過ぎるなとは思っていた」
「そうですか?妹の私としては、抱きつき甲斐のあるおっぱいだと思いますけど?」
「イクト王子は男、イクト王子は男、イクト王子は男…」
そしてスレイも仮面を付け、3人は部屋に戻る。
「おやすみなさい、お兄様達」
「あぁ、お休み」
ユフィが寝た頃合いで、アルベルトとアルフォードの傍にシェーラが現れる。
「…さて、では明日以降、我々も交流会に水を差す不届き者を成敗するか」
「えぇ、俺達の弟と妹の晴れ舞台を汚させる訳にはいかない」
「私も、手早く済ませて弟子の活躍を拝みたいわ。因みに今回の報酬は交流会の録画映像で十分よ」
翌日、セフィアスタジアム
そこでは、5か国の学園の代表生徒達が集合、映像魔法により、その様子もスクリーンに映し出されていた。
「さぁ、やってまいりました学園交流会!本日から3日間に及ぶ12種目の競技で競う事になります!しかも今年は各国から王族が出場して大賑わい!スタジアムも観客席に至るまで大熱狂!交流会の内容は生中継に、録画されたものも各国に配布される手筈になってますが、王族効果によって、各国から生で見たいと観客がやって来ています!今回の交流会、勝利の栄光を手に入れるのは誰か!?今、戦いの火蓋が切って落とされます!」
そして、観客の大きな歓声の元、学園交流会が始まる!
次回より、学園交流会開幕。