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 食べ終わるとおばさんが「寝室にご案内します」と二人ずつ連れて行く。


 センカはワンピ女子と同じ部屋になった。


 せまい部屋にはベッドが二つ、丸テーブルをはさんでいる。

 一応タンスとでっかい箱があったから、箱にリュックをしまう。美少女もカバンを入れた。



「これからどうなるんでしょう」


 そりゃ不安だよね。センカもため息をついた。

「あたしセンカ。何て呼べばいい」

「えっとヒメコで」

 名前を憶えていないことはごまかせた。


「とりあえず、どんな魔法が使えるのか調べるんじゃない。まだ分からない事だらけだから、この世界の事ももっと調べたいし、自由行動できるかな」


 大した事は答えてないけどヒメコの顔はちょっと明るさを取り戻した。



 とりあえず部屋の周りの確認を提案する。

「現在地が分からないって気持ち悪いよね」


 ヒメコも賛成した。

「そうね、迷って戻れないのは嫌かな」



 廊下と部屋と外への扉を確認する。

 扉をくぐった先に城壁が広がる。城でよく見るノコギリ壁だ。

 巡回している兵士がこちらを見てひそひそ話している。


(嫌な感じ)


 二人は建物内に戻った。



 センカの部屋の隣の扉から、メガネさんが顔を出している。


 ヒメコは頭を下げた。

 センカは思い切って話しかけてみる。


「おじゃましていいですか?」



 そしてメガネさんと看護師さんと一緒におしゃべり。


「私は電車にのっていたら、ここに着いていました」

「私も

「私は市バス」


 みんなで異世界に来たいきさつを語る。

 センカが不思議バスツアーに乗ったことを伝えると、他の三人は普通に公共交通機関だったことが判明した。



 まあ何か乗り物に乗っていたことは共通しているようだけど。


 サクマさんとニシカワさんの名前を再確認して、食事のグチを言い合った。

 不安な気分が、センカから離れていく。


(みんなと話すって、必要なことだったんだ)



 日が暮れてくる。

「何にもできないから、寝ちゃおうか」



 自室に戻り、渡されたロングTシャツに着がえる。こちらのパジャマだ。

 ベッドは台の上にマットがしかれただけの物で、寝心地は悪い。


 窓を閉めて毛布をかけた。


「センカさんは勇気がありますね」

「センカでいいって。同い年なんだし」

「そお?しばらく帰れないのが大変ね。勉強遅れちゃう」

「あたしあんまり学校行ってないから」


「そう、なんだ」

 ヒメコは言いよどんだ。


 センカは心の中でため息をついた。普通人との付き合い方なんて知らない。

 ほっといてくれればいいけど、怖がられたら嫌。


(この子とは友達にはなれないのかな)



 ヒメコはそのまま静かになった。眠ったみたいだ。



センカたちには粗末な部屋でも、城側としては賓客扱い。

中世にロクなベッドを持つのは領主くらい。ベッドが一番の財産だったとか。

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