27 前線に基地を造ろう
ストックがどんどん減ります。
次の日さっそく下見に出かける。
と言っても異世界組はセンカだけだ。
魔物が出る森の近くに行くのは怖いらしく、みんな留守番を選んだ。
城から畑の中の道を馬でパカパカ行く。
ルーギルの心当たりは古い民家だった。
「昔は木こりが住んでいたのだが魔物の被害が増え、住むのをあきらめたらしい」
ところどころ穴は空いているけれど土台がしっかりしている。
「穴を補修して柵で囲めば使えそうかと」
副隊長っぽい人と相談して、柵のために木を伐り出すことになった。
準備している斧やノコギリを構え、みんなで森に立ち向かう。
何時間も働けば、廃屋周りの柵は完成した。
「センカ嬢は帰りなさい」
正午になってルーギルから帰還命令が出る。
「さすがに負傷したばかりの女性を戦闘に参加させるわけにはいかない」
護衛も二人つけてくれた。少年とおじいちゃんだけど。
働き盛りはこれから見回りに出るのだ。大変である。
「あれ、センカ戻れたんだ」
城に入るとヒメコが声をかけてきた。
「大丈夫だった? 魔物出た?」
「ううん、まだ出なかった。みんなで森の木を切って柵にしたよ」
ちょうど食事の時間だったから一緒に広間に向かう。
「今日のクアモ先生の授業なんだけどね」
ヒメコが聞き逃した講義を教えてくれる。
魔物は闇を好み光を嫌がるらしい。昼は森に隠れていて夜になると人の領域に現われるとか。
「だからって森を切り開くと灰色の森が広がるみたいで、魔物も増えちゃうんだって。まー 森林伐採は良くないよね」
「で、俺らが間伐したらどうだって提案したんだ」
アダチさんも会話に加わる。
「そうか!」
センカは閃いた。
「人間の領域と魔物の領域の間に緩衝地帯を作るんですね!」
何人かが目を丸くした。
タジリさんもうなずいている。
「それだ! 人里を襲う魔物が絶対減ります」
「そうか‥緩衝地帯、それだ。領地と森の境界全部で行うか」
翌日戻ったルーギルに伝えたら、すぐ理解した。
自分の意見が採用されるのは嬉しい。
昼間だけの条件で日本人男性組が緩衝地帯と拠点づくりに参加してきた。
「これだけ木があればログハウスも作れるよな」
ホテイさんの一言で、民家がない場所にはログハウスが建てられる。
「DIYってやってみたかったんだ」
魔物討伐と違ってみんな楽しんでいた。
キャラ説明
アダチ チャラい大学生 タジリ 真面目サラリーマン ホテイ マッチョ大学生
時々自分でも名前忘れます。