24 襲撃
風邪をひいてしまったので、更新が遅れます。
鼻が壊れた‥ ステロイドが効かないだと?
ドン!
センカの体がいきなり衝撃に襲われた。目の前の明かりが消える。
「何」
つぶやきながら気がついた。
明かりを持っていた男が倒れていること、その体に何かがおおいかぶさっている事、何かは光る眼でこちらを見た事。
「エエエ!」
悲鳴が上がった。センカが出したのだ。
馬が暴れる。手綱がゆるむ。周りの歩兵を置き去りにして、馬は走り出した。
闇の中を馬が駆ける。センカはしがみついているだけでやっとだった。
しばらくの間暴走が続いたが、さすがに馬も疲れたようでやっと歩きに戻る。
「ここどこ?」
センカは途方に暮れた。周りは真っ暗で何も見えない。本隊からずいぶん離れてしまったようだ。
いくらセンカの方向感覚が良くても、馬で走りまくった後では方角の見当さえつかない。
「みんなと会いたいの。どっちか分かる?」
センカは馬に話しかけた。
まだ馬の方が知っているかも知れない。しかし馬はハアハア息をしながら止まった。すっかり疲れているようだ。
態勢がつらいのでセンカは馬から下りる。
日が昇るのを待った方がいいかもしれない。
馬は汗まみれだ。くしをかけてあげたいけど持っていない。
「疲れたね、あたしも疲れたよ。早く朝にならないかな」
馬をなでながら話しかける、と馬の体がビクンと動いた。緊張しているのだ。
「何」
センカは暗闇に目をこらした。腐臭がただよってくる。これは‥ 魔獣のにおいだ。
馬は飛び上がり逃げた。センカをおきざりにして。
(ヤバい)
センカの体には逃げ切る体力なんて残っていない。
(戦うしかない)
剣を引きぬき構える。
それは目をギラギラさせてセンカに向って来た。強まる腐臭。数秒後にはセンカの体を食いちぎるのだろう。
(ヤラナキャヤラレル)
センカの頭は思考を止めた。
右肩が後ろに下がり、剣を握る指に腕に力がこもる。
周りの映像がスローモーションになった。
魔物は地面をけって宙に飛び上がるのが見える。
センカは魔物を見つめたまま上半身ごと右腕を振り下ろした。
グンと右手から全身に衝撃が走る。魔物は‥ 吹っ飛んでいた。
「倒、せた?」
でもまだ油断はできない。センカは闇の中をキョロキョロする。
赤い点が四つセンカをにらんでいた。
「後二匹」
怖い。でも立ち向かわなくちゃ自分が死ぬ。
センカは両手で剣を握った。頭はやけに冷静で赤い点の動きをとらえる。
魔物が飛びかかりセンカは無情に剣を振り下ろす。ぐしゃりと音がした。
右足の違和感に気がつき見下ろすともう一匹にかみつかれている。
すぐになぎはらうとヒュウっと叫んだ魔物は逃げて行った。
どうやら危機は去ったみたい。センカはその場にへたりこんだ。
月は傾いている。おそらく数時間で日がのぼる。
「それまで眠っちゃだめ」
自分自身に言い聞かせた。
魔物がいつ近づいて来るのか分からないから。
右足がジンジンする。鋭い痛みがセンカを襲った。
懐から魔石を取り出してかまれた右足にくっつける。気休めに過ぎないけど消毒か痛み止めになるかもしれない。
痛みで眠りたいのを何とかこらえていると、地平線が見えた。夜が明けるのだ。
センカの意識はそこで途絶えた。
馬と相談する、は魔法でもチートでもなく、動物好きには全員装備されている通常スキルです!