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(で、ここにいたって訳か)


 違和感だらけ。まず、バスから降りた記憶はない。

 細長い窓からは昼間のように光がさしてくる。


 センカの周りには不安そうな顔の人が何人もいて、さらにその周りをコスプレ隊が取り囲んでいる。

 やっぱり同じバスで連れて来られたのだろうか。


(集団で誘拐? バスジャックかな)




「我らは今、危機におちいっており、魔法であなた方を呼び出したのでございます」


 オペラの衣装みたいな服を着たオジサマが両手を広げ声を上げている。たぶん偉い人なんだろうなとセンカは思う。

 後ろにいるお供みたいな人たちも含めて、みんなタイツ姿。


(うわぁヤバい宗教団体かも)



「何だよ、異世界に召喚されたってか?」

 茶髪の男性がイライラ声を上げてオジサマにつめよる。でも彼らは無表情のまま。


「その通り。これからあなた方にはこの国を救っていただきます」


「そんな話があるか。本当の事を教えろ」

 サラリーマンっぽいおじさんも抗議した。そりゃそうだ。他のみんなもうなずいている。


 センカはスマホを手に取る。まず、ここがどこかは確認しなくちゃ。

(現在地は…え、圏外)



 不安にかられて周りを見ても、みんなスマホを握って似たような表情。便利な道具が使えないのは痛い。


「元の場所に帰して」

 ワンピースの女の子なんて泣きそうだ。みんなザワザワしてきた。




「今、我が国は未曽有の危機に襲われており、みなさんの協力が必要なのです」

 オジサマのすぐ隣にいた長髪が口を開く。センカは女の人だと思っていたけど、イケメンだった。



「どうせふざけてるだけなんだろ!」

 茶髪が扉に向かって走る。つられてセンカも外に向かった。異世界っていうのは、さすがに嘘くさい。


 外に出れば、少しは状況も分かるし、うまくいけば警察に助けを求められるかもしれない。


 扉の外の空は青くまだ夕方にもなっていない。

 目をパチパチさせて見渡すと、広がるのは高く長い城壁に囲まれた町。


 隙間無くひしめく家々には煙突が備わっており、煙が何十本も立っている。

 日本では見ない珍しい光景。



「あー、ドイツ村? オランダ村? はっガチの海外?そっか時差があるから明るいんだ」

 センカはつぶやいて石の階段を下りる。段差が大きすぎて一段下りるのもやっとだ。


 鎧姿のお兄さん達がガチャガチャ音を立てて近づいて来る。みんな日本人とは顔立ちが違う。


(どこの国の人だろ。あの人はヨーロッパ系っぽいけど、こっちの人はラテン系っぽいかな)

 まあセンカだってそんなに詳しくは無いんだけど。



「勝手に動かれては困ります」

 兵士のコスプレイヤー?達に止められて、センカ達は先に進めない。


「私が案内いたします。慣れるまではお一人では動かないように」

 追いついたイケメンに先導されて、みんなで階段を下りた。


「下りづらい…」


 センカが苦労する横では、イケメンがワンピース女子の手を取っている。


(美少女はどの世界でも得だよね)


 中世ヨーロッパの男性貴族はみんなタイツ姿です。

 ビバ脚線美?


 昔の城の階段は段差が大きすぎて今の人間には上り下りがきついですね。


 名古屋城にはぜひエレベーターを!

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