11 訓練
中庭には兵士や召使が何人もいて武器や防具が地面に並べられている。
「これから戦いの訓練をする。軍において私は君達の上官である。戦闘や訓練の間は部下として扱うので、そのつもりでいるように」
ルーギルが剣を手に取った。
「魔法が使えると言っても、基本は武器での戦闘だ。甲冑には慣れるように」
一人ずつ鎖かたびらを着せられる。一人につき三人がかりだ。腕にも金属製の防具が取りつけられる。
(重い)
センカは音を上げた。
足にも防具を付ける男性陣よりはマシだけど、全身動かしづらい。
歩くのがやっとで、とても剣なんて振るえない。
女性陣はみんなへばっている。男性陣も何とか動いているのはマッチョさんだけ。
「甲冑は無理か、皮鎧にする」
皮鎧も重いけど何とか動ける。
次は剣の練習。こちらも重い剣を、振って突く動きをひたすらさせられた。
「あーもう嫌だ」
慣れない運動でへっとへと。元々センカに筋肉は無い。
(こんなので強くなれるのかな。明日なんて筋肉痛で動けないんじゃ)
やっと休憩になったからみんなは倒れるように座った。
「聞け」
ルーギルが無情に声を上げる。
「昨日魔法について少し話したが魔法の力には向き不向きがある。魔法戦士は一般的に武具に術をかける。甲冑を軽く丈夫にし、剣の切れ味を上げるために」
それは早く言って欲しい。
「甲冑着る意味無かったじゃん」
センカがぼやくとルーギルの顔には同情が浮かぶ。
「残念だが、実際に体験しなければ威力は発揮されないのだ」
(うわぁー しょうがないのかー)
「ではそれをふまえて、今度は魔法を使うように」
センカは胸元の袋から取り出す。
ずっと身に着けて欲しいって言われていたから、昨夜からこのままだ。
(鎧も剣も軽くなって!)
念じてから立ち上がると、確かにさっきより楽だ。剣も簡単に振れる。
「これからしばらくは毎日訓練だ」