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第7話 これから

朝を迎え、結局野宿した時のようにルーンを囲んで寝ていたパーティーメンバー


宿を出るとバルトはぐっと手を上に伸ばし大きく深呼吸した。

そして後から出てくるメンバーに向け声をかける。


「今日も討伐頑張るぞ!」

「クエスト受注、よろしく」

「おう!」

「私達はルーンと待ってます。シンシアさんにルーンは会わせられませんからね~」

「あの受付嬢はいけ好かん」

「同感」

「俺もそう思ってるから1人でいくんだって」


ゴゴゴ…

どこか黒い笑みを浮かべる4人


ルーンは初日に会ってからシンシアがとても苦手だ。

本人は苦手意識を無くすために話して克服したいと思っているが、こうしてクエスト受注にはバルト1人でいく。





ーーーーーーー



バルトを見送った後、3人は近くの草原で各々武器の手入れやらをして待つ。


「ルーン」


ルーンが荷物を確認していると、メルダが声をかけてきた。


「なんですか?」

「昨晩のこと、気にしちゃダメよ?」

「もう大丈夫ですよ」


どうやらあの追放騒動を言っているようだ。

言われた時はとてもショックだったが、皆が自分をとても気にかけて、なにより仲間と認めてくれていたのが嬉しかったのだから、ルーンにとっては良い出来事に分類された。


「あれは、『好きな子に悪戯しちゃうバカ』みたいな、ものだと思うから」

「え!?」


(バルトさんが僕を?)


メルダの言葉に思わず顔が熱くなる。


「顔赤い、けど、大丈夫?」


顔を覗き込んでくるメルダに、「あはは」と笑いながら手で顔をパタパタと扇ぐ


「バルトさんは憧れですから。嫌われるより好かれてる方が良いし、嬉しいなって」


「そっか…あれに、憧れを…」


メルダはそう呟くと、何か納得したようにうんうんと頷いて、ルーンの頭を撫でた。


もふもふもふもふもふもふ


なんだか激しいが、撫でられるのは好きなのでされ放題である。


(本当にメルダさんは撫でるのが好きなんだなぁ)

(箱推しだから、パーティー内カプは許す)


2人が内心そう思っている傍ら



((はぁぁぁぁぁ!?!?))


やり取りを少し離れた所で見ていたシェーンとブリッジは顔を青くしていた。

そしてその日のクエストでやたらとバルトとメルダにつっかかっていたとか。


しかし、獣人同士のコミュニケーションが激しいルーンからすれば、仲良し同士で戯れている様にしか見えなかった。


(仲間と認めてもらえたけど、僕もいつか皆にあんな風にしてもらいたい!)


そう気合いを入れ、今日も皆と冒険をする嬉しさを噛み締めるのだった。







ーーーーーーーーーーーーーー


おまけ ギルドでのやりとり



「バルトさん、他のメンバー誰か連れてこないと受注させませんよ?」

「職権乱用は止めてくださいよ~」


バチバチバチ


心なしか二人の間に火花が散っている。



「ギルド長、シンシア先輩好みの子来る度あれってヤバくないですか?」

「ね…まぁ、まだ犯罪に手染めてないから」

「染めたら終わりなんですけど」

「万年人手不足だから受付やってもらってるけど、一応Aランクの実力者だから用心棒も兼ねててね」

「ギルド長は元Sランクって聞きましたけど?」

「休みたいじゃん」

「なるほど、これが職権乱用」

「可愛い子の他に厳つい老け顔(10代限定)も好きとか、彼女の好みはぶっ飛んでるよね」

「そういう子が来る度に先輩のファンは心を乱される…ドMばっかですよね」

「それでいて見た目爽やかなバルト君には塩対応」

「あの手の顔にトラウマでもあるんじゃないですか?」


裏でこそこそと、ギルド職員達が受付を見守りながらそんな会話を繰り広げつつ、次来る時バルトが他のメンバーを連れてくるかを賭け始める。

が、結局皆「連れて来ない」なので賭けが成立しないのであった。




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