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初夏の帰り道

 夕日に照らされながら帰る男女二人。一人は背筋を伸ばし、嬉しそうな雰囲気をまとっていた。片やもう一人は猫背で気だるそうな雰囲気をまとっていた。


(恋愛を好きにさせないと)


 そう思い手をつないだが、この後を何も考えてなかった。


(とりあえず会話しないと)


 心の中の焦りをおくびにも出すことなく会話を始める。


「なんでこの学校に来たの?」


「どうした、手をつないだと思ったら」


「あなたのこと好きなのによく知らないから。いろいろ聞きたいな」


 優生は少し驚いた顔をする。


(よく好きって軽々と言えるな。好きだということに自信があるんだろうな、俺とは違って)


 そう思い手を握られていることを気にしないように答える。


「特に理由はないよ。学費が安くて勉強しなくても受かりそうで、中学の同級生があまりいないからかな」


 今通っている高校は県内でも有数の進学校であり、倍率は四倍ほどである。そこに勉強しないで受かることが出来るなんてあり得ない。しかし、それも優生の才能だろうと思い、私は言及しなかった。


「部活はしてるの?」


「今はしてないね」


「もしかして運動苦手とか?」


 私はからかうように言う


「運動も大体できるよ」


「じゃあやればいいじゃないの」


「努力もしないのに自分より上手いやつがいたらうざいだろ。そもそも熱意がないから部の邪魔になるからいいや」


「ずいぶん悲観的ね。美術とかはいいんじゃないの?あまり人と競わなそうだし」


「……………絵は下手」


「そうなの……ね」


 私は思わず笑いそうになる。いつも気だるそうにしているのにも関わらず、いろんなことを飄々とこなす人。そんな人が恥ずかしそうに自分のできないことを話している。こんな一面も、こんな表情も私しか知らないのだろう。それが愛おしい。


「別にいいんじゃないの。人間だれしも苦手なことはあるでしょ」


「てか……いつまで手握ってるの?……」


 目をそらし恥ずかしそうに言う。


「え?……あぁ!…ごめんね…」


 私は慌てて手を離す。我ながら攻めすぎたな、と思い少し反省する。



 その後も会話を続け、分かれ道に着いた。


「じゃあな。また明日」


「えぇ、さようなら」


 そういって優生の背中を見送る。どんどん小さくなっていく背中。寂しい。頭で考える前に、体が動いていた。私は優生に駆け寄る。


「どうした?」


 その質問に答えることはない。行動で示すから。




 ─────私は優生の頬にそっとキスをした。




 伝わってくる体温、少し赤く柔らかい頬、すべてが初めての感覚だ。


「え、、、」


「どう?少しは好きになった?私のことも、恋愛も」


 私はその答えを聞く前に振り返り、家に向かった。


(───私のほうがもっと好きになっちゃったかも)


 火照った体を初夏の夕方の肌寒い風が少しずつ冷ましていく。



こんな駄文を最後まで読んでいただきありがとうございます。

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