二つの才能
「見せるって、どうやって?」
勉強できるか見せてと言われ、俺は疑問をぶつける。
「これを解いてみて」
「なにこれ?」
「ワークとかからテストに出そうなところをまとめた数学のプリントよ」
「これをやれと」
「そうよ。二十分でね」
「わかった」
そういってプリントを解き始める。珍しく集中していて二十分はあっという間だった。
「時間よ」
「オッケー、採点してみ」
俺は得意げに言う。
「何点か楽しみだわ」
結羽菜が丸付けする手を止めた。
「九十点よ…………」
「ふーん」
「なんで授業中寝てるのにこんな点とれるの!?」
「さぁ?」
俺は他人事のように言う。
「家で勉強しているの?」
「してないけど」
「じゃあ、なんで!」
俺は重い口を開き話す。
「昔から大体のことは何もしなくても人並み以上に出来てしまうんだ」
「なにそれ?」
まただ。そうやって自分でも欲しかったわけでもない才能で羨ましがられる。妬まれる。嫌われる。
「何よ、いらないみたいに言って。それはあなたの実力でしょ。自信持ちなさいよ」
「え?」
俺は拍子抜けした。今までほとんどの人に妬まれ、嫌われる才能だったのに認められた。それだけじゃない、尊重してくれた。
「変なことでも言った?」
少し頬を赤らめている少女は、散り際の桜のように美しく、儚く見えた。
「…………ありがとう」
隣で結羽菜が不思議そうにしている。しかし、俺の表情を見て何かを察してくれたのか、それ以上は聞いてこなかった。
「それはいいとして、できなかったところはやり直しよ」
「えぇ……めんどいよ。いいじゃん九十点取ってるんだから」
「あなたなら少し勉強したら百点取れるじゃない」
「百点なんて取ったら目立つし、なによりめんどくさいって」
そう、この平優生という男はなんでも出来るという類い稀なる天性の才能を持っている。その反面、天性のめんどくさがりである。良い成績をとって目立つのもめんどくさい、スポーツで活躍して人気が出るのもめんどくさい。そんな考えのため、物事に対して本気になったこともなく、日々だらだら暮らしている。
それから二人で一時間ほど勉強した。
「そろそろ帰りましょうか」
「待ってました!」
「どんだけ勉強したくないのよ…」
「じゃあな」
俺は足早に帰ろうとする。
「なにいってるの?あなたは私と帰るのよ」
「は?……」
「それじゃあ帰りましょ」
そういって手を握ってきた。
少し帰り道が短くなったような気がした。
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