違い
「………………は?」
優生はチャイムの音も意に介さず立ち尽くす。それもそのはず、小学校から10年近く幼馴染という関係で関わってきた人から告白されたのだ。それに加えて優生が恋愛を嫌っているのも重々承知で。
優生は午後の授業に出る気にもならず、屋上でいつもより強い風と優しい陽を浴びて眠りについた。
(……はぁ…、言っちゃった。)
10年近い関係を壊してしまうのに。相手は恋愛が嫌いなのに。他にも彼女になろうとしてる人がいるのに。
それなのに伝えてしまった。
前のような関係に戻れなくともいい。恋愛を好きにさせればいい。他の人なんてどうでもいい。
そう思えるほどに好きだから。
「………さん。……母さん。」
少し冷え始めた風に起こされる。鉛色の空を見上げ少し思い出す。あの時もこんな天気だった、そろそろ命日だ。
重い体を起こし階段を下ると、見慣れた艶やかな黒髪が目に映る。
「何かあったの?」
結羽菜が声をかける。
「なんでもないよ」
「嘘つかないの」
諭すように、優しく微笑んで言う。
「なんでわかるん?」
「なんでって………好きだから」
またこの単語だ。『好き』。
「あなたのことが好きで、いつも気にしてるから。いつもと違うのはわかるの」
「そっか。ありがとう、気にかけてくれて。でも、」
「いいよ無理しなくて。朝も色々話してくれたし、それだけでも十分よ。また話したくなったら話してね。また明日」
「うん。また明日」
髪をなびかせてきれいに階段を下りていく。
いつもより早く暗くなった帰り道を街灯が照らしている。今日は道草をする。とある交差点にやってきた。ここだ。ここで1年半前あれが起こった。自分で来たのに長居はしたくなくすぐに踵を返す。
今日だけでどっと疲れたため、早く家で寝ようと玄関に向かう。なぜか見たことある人影が玄関の前に座っていた。
俺は見えないふりをして玄関を開ける。
「後輩!見えてるだろ!」
「はぁ……何してるんですか先輩」
「家の鍵なくした」
「そうですか」
俺はそう言って玄関を閉めようとする。
「ちょっと待って!入れてください。お願いします!」
「しょうがないですね」
「ありがとう後輩!大好き」
まただ。『好き』。
でも、これは結羽菜のとは違う。そのことはわかる。それしかわからない。
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