幼馴染よりもっと
「幼馴染なんでしょ」
そういわれるたび少し言葉に形用しがたい優越感に浸れる。みんなの興味があることに自分だけ詳しい。自分だけ知っている。自分が一番知っている。
そう自分だけが。…………
「早く起きなさい!」
侑芽は学校では見せない表情と声色で朝から叫ぶ。親が仕事で忙しいため侑芽の朝は兄弟の世話から始まる。兄弟の世話をしながらも器用に自分の準備もする。
「お姉ちゃん俺の服はー?」
「そこにあるでしょ」
慌ただしい朝を超え家を出る。
校門をくぐる。
教室に向かう。
教室から声が聞こえてくる、
「………だけど………。」
優生の声だ。
「大丈夫?無理しないで。」
篠原さんの声だ。
「ふぅ……。それで彼女が……。
だめ。その先は私だけが、、
バン!
勢いよく教室のドアを開ける。
会話は止まった。これでいい。私が、私だけが優生のことを知ってる。私だけが優生のことがわかる。
できるだけいつもの声色で、いつもの顔で。
「おはよ」
「おう」
「おはよう」
優生も篠原さんも返す。
「じゃあまたあとでな」
「わかった。無理しないでね」
会話は終わった。
これでいい。今までと同じだ。
優生が近づいてくる。
「侑芽。昼休みあいてる?」
「あいてるけどなんで?」
「とりあえず屋上きて」
昼休みになると優生に言われるがまま屋上に向かう。屋上につくと、気持ちいい風が幼馴染の少し伸びた髪をなびかせていた。
「おう」
「なんで屋上に呼んだの?」
「結羽菜と朝喋っているときさ、わざとドア強く開けて会話止めたでしょ」
「………ちがうよ」
「噓つき」
その一言で感情が高ぶる。
「なんでそう思うの」
少し語気を荒げる。
「なんとなく」
「そんなんで決めつけないで!」
「…幼馴染だからなんとなくわかるよ」
なんであなたがそれを言えるの、、、私だって幼馴染だからやったのに。
「だって、………だって私と優生だけの秘密だったじゃん!」
「別にいいでしょ言ったって」
優生も少し声色が変わる。
……確かにそうだ。別に篠原さんに言われたところで大した問題はない。そんなこと頭ではわかってる。それでも、………それでも心が追い付かない。
「幼馴染」にこだわってるだけなら秘密を共有されようが問題はたいしてないはずだ。それなのに。
…………そうか。私は優生の「幼馴染」でありたかったんじゃない。
優生にとっての「特別な存在」になりたかったんだ。そしてその「特別な存在」とは、きっと優生の「彼女」なのだろう。
きっと今までもそうだったのだろう。恋愛というものが嫌いな優生に気遣ってその感情を「幼馴染」というもので都合よく蓋をしていたのだ。
そろそろ蓋をどかそう。
私は優生が好きだ。
「私は優生が好き」
追い付き、追い越した心に声にされる。
「は?」
優生は頭も心も侑芽の発言に追い付いてない。それでも侑芽の心は、今まで追いついてなかった分を取 り戻すようにまた声を出す。
「これからは「幼馴染」じゃなく「彼女候補」としてよろしくね!」
昼下がりの澄んだ空の下で恋愛が嫌いな少年と、それを知ってもなお少年が好きな少女の恋の一幕が上がった。
創作意欲がなさ過ぎて更新遅れました。申し訳ありません!
最後までこんな駄文を読んでいただきありがとうございます。要望や感想、改善点など何でも書いてくれると作者が跳ねて喜びます。




