幼馴染
「やべ………」
端的に言おう、寝坊した。
俺は支度を済ませ、家を飛び出て自転車に飛び乗る。自転車を飛ばして、廊下を全力ダッシュし、チャイムと同時に教室に入った。
「ギリセーフですよね……?…」
先生は苦笑いしながら答える
「まぁ、セーフにしてやろう」
俺は息を切らせながら、席に着く。
「どうしたの?」
「ちょいと寝坊した」
「キスのこと思い出して寝れなかったの?」
ささやくような声で言う。
「そんなわけあるか」
できるだけ動揺していることを隠す。
「強がらなくていいのよ」
「強がってねえよ」
そんな会話をして授業に入った。
実は昨夜寝れなかったのは、キスのことを思い出したからなのだ。図星だった。できるだけ考えないようにしていたことを妹のせいで思い出した。
「もしもし」
「なんだ?」
「荷物忘れちゃったね」
「どうすんだよこれ」
「次来た時に取りに行くね」
「用件はそんだけか?」
「あともう一つ」
「なんだ?」
「彼女さんとキスした?」
「おやすみ」
俺はそう言って電話を切ると同時に、金曜日の帰り道での出来事を思い出してしまった。それからというもの、ずっとそのことが頭に残り寝付けず、今に至る。
授業の合間に侑芽に話しかけられる。
「結局告白の件はどうなったの?」
「なんか久しぶりの出番だな」
「出番て何よ。そんなことよりどうなったの?」
「恋愛好きにさせるって言われた」
「それからなんかあった?」
「一緒に勉強した」
「珍し!優生が勉強なんて」
「いろいろあったんだよ」
「他には?」
今日の侑芽いつもより質問が多く、機嫌が少し悪いように感じる。俺はキスの件を話すべきか迷う。
「ないの?」
「…………キ…」
「き?」
「………キスされた………」
「……………ふーん…」
私は教室を出て立ち尽くす。ただの同級生なのに、ただの幼馴染なのに。そんな奴が女の子に告白された、キスされた。それを聞いて胸が痛くなる。
「はぁ……なにやってんだろ私」
そう誰にも聞こえない声で呟き、いつものように教室に戻っていった。
最後までこんな駄文を読んでいただきありがとうございます。
感想や改善点など些細なことでも書いてくれると励みになります。




