飯までの道のりは長いらしい
「え、、、」
玄関に入った瞬間、俺はバックを落とす。
(キスされた?俺が?)
頬に少し残る温もりを感じる。
ベットに制服のまま飛び込み仰向けになる。
(なんで俺なんかに、恋愛は好きじゃないのに)
そんなことを考えてたらいつの間にか寝てしまっていた。
「腹減った」
そう呟いて起き、冷蔵庫を開ける。……………何もない。
(コンビニ行くか)
コンビニに着くと一人の女性がいた。ラフな部屋着らしき姿で、髪はぼさぼさだ。
(誰かに似ているような………………。気のせいか)
俺は菓子パンを買い、帰路につく。住んでいるアパートに着くと後ろから声がかかる。
「それが夜ご飯か?もっとちゃんとしたの食べなよ」
「別にいいじゃないですか」
「だめだろー。この私が作ってあげようか?」
「先輩料理できるんですか?」
「…………カップラーメンぐらいなら……」
この料理のできない女性は、俺の隣の部屋に住む大学生の津金紡輝だ。俺と同じ高校に通っていたらしく、先輩と呼ぶことになった。
「あのー相談なんですが、部屋の片付けを手伝ってほしいなぁって」
「またっすか!?つい一週間前にしたじゃないですか」
「また汚れちゃって。お願い!!ご飯おごるから」
「ならいいですよ。しょうがないですね」
「ありがと!やっぱいい後輩だ」
津金紡輝という人間は頭は日本トップクラスの大学に行けるほど頭が良いが、部屋の片付けや料理など日常的なことが一切できない。
「お邪魔します。………………げ、」
玄関に入った俺は言葉を失った。
靴を置くとこすらない玄関、人ひとりギリ通れるぐらいの廊下、洗い物がたまりすぎて蛇口にぶつかっているキッチン、足の踏み場のないリビング。同じ間取りとは思えない光景が目の前に広がっていた。
「汚しすぎじゃね…………」
「すいません………」
二人で会話しながら片付けていく。
「後輩はさ、彼女いないの?」
「………いないっす。てか、そもそもできないですよ」
「えー、ほんと?頭もいいし、運動もできるし、顔も人並みにはいいじゃん。私が同級生だったら好きになってたけど」
からかうように言う。
「冗談はさておき早く手を動かしてください」
「はーい」
一時間弱かけて片付け終わった。
「ありがと!埋め合わせは必ずするから」
「期待しないで待ってますね」
そう言って俺は自分の部屋に帰った。
さて飯を食おうと思うと電話が来た。
「もしもし、元気してるか?」
父さんだ。
「元気だよ」
「ならよかった。学校にはもう慣れたか?」
「まぁぼちぼち」
「友達は出来たか?」
「それなりには」
「彼女は出来たか?」
「できるわけねぇだろ!!]
「彼女作ればいいのに。母さんとの出会いも高校だったんだぞ!あれは桜が満開の日………」
今まで幾度どなく聞かされた、のろけ話が始まる前に電話を切る。
「じゃ」
スマホをベットに投げ、ご飯にする。
「いただきます」
その日の飯はいつもよりおいしく感じた。
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