24. くじ引き
前回の一件から本格的に彼等とナタリィについて明確に決めるとガルシアが言い出したことで夜中に招集された5人。
ナタリィと一緒に眠っていたウルフラムは不機嫌そうに机に突っ伏し文句言っているが、彼は気にも止めていないようだ。
皆が席についたことを確認すると軽く息を吐いてから口を開いた。
「休戦協定を結んだみたいだけど、お互い認めてはないよね?特にアントニオ。もう少し彼等のことを許容しなくてはいけないよ。」
「…許容はしない。」
「こら。それじゃ話が進まないから。」
ガルシアの言葉にムスッとしたアントニオだが、それ以上何も言わず視線を壁へと移してしまう。
自分の息子ながら扱いにくい性格だと呆れながら気持ちを切り替え彼らに向き直る。
「まずは平等にナタリィちゃんと二人っきりの時間を作ることから始めようと思うけど異論はないかな。順番は公平にくじ引きだよ。魔石を渡した順だと不公平になるからね。月曜日から金曜日までを割り当てようと思ってる。因みにナタリィちゃんの了承は貰い済み。彼女も土日は好きなことしたいだろうから配慮してあげるんだよ。特にウルフラムは気をつけるように。」
「えー?なんで俺?ちゃんとナタリィに許可もらってるもん。」
「ナタリィは優しいから断りきれないんだと思うけど。」
「は?何でお前がそんなことわかるんだよ。」
「喧嘩しない。」
「ッチ。」
「土日までは制限しないけど、決められた曜日の人の邪魔をしたりしないように。アントニオ、聞いてる?」
「…聞いてる。」
「魔法で脅すのもダメだよ。」
「…しつこい。」
「はいはい。じゃあ皆手を出して。」
ガルシアの決めた内容に一応納得はしているのか。
文句なく皆手を出した。
それと同時に四つ折りにされた紙が現れる。
「開けたときに抽選される魔法の紙。誰が一番になるのかな。」
彼の言葉に緊張の面持ちで紙を開いた。
結果はフランシス、トルシェ、ウルフラム、テレンス、アントニオの順で。
一番最後を引いたアントニオは絶望の色を濃くしたまま固まっている。
「そんなに落ち込まなくても…。」
「…今日から4日間も…ナタリィに会えない…。」
既にやる気のなくした彼は机に頭を預け、動かなくなってしまった。
「…僕が一番か。」
「嫌なら代わってやるが。」
「嫌ではありません!ナタリィと二人っきりなのは初めてなので少し緊張しただけですから。」
トルシェの言葉に焦ったようにそう答えたフランシスはガルシアの解散しようかという言葉でそそくさと割り当てられた自室へと戻っていってしまう。
「アントニオ、ここで寝ると風邪引くよ。」
声を掛けてみてもガルシアの言葉には一切反応はなく、脱力したまま壁を見つめている。
ここまでとは予想外でどうしたものかと思案していると、ネグリジェ姿のナタリィが小さく欠伸を溢しながら入ってきた。
「起こしてしまったかな。」
「いいえ、たまたま目が覚めたときに明かりが見えたので。お邪魔でしたか…?」
「寧ろグッドタイミング。アントニオ、ナタリィちゃんが来た…って言う必要なかったか。」
既に彼女を背後から抱きしめ、至福の表情を浮かべているアントニオに思わず苦笑しながら二人を眺める。
再びやってきた眠気にナタリィが眠そうにし始めると慣れたように抱き上げ、部屋へと戻っていった。
先に居なくなっていたウルフラムはきっと彼女の部屋で寝ているのだろう。
後から婚約者になった3人は王子や騎士として自制することが当たり前になっているが、こっちの二人は自制なんて言葉知っているのだろうか。
あの一件からアントニオの最後の枷が完全に外れてしまったのは親であるガルシアから見ても一目瞭然で。
もとに戻すことが出来るとしたらナタリィ唯一人だろう。
自分で決めたことではあるが、さっきのアントニオを見てしまったことで明日からどうなるのか想像するだけで頭が痛くなってきたと大きなため息を零すのだった。




