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堪忍袋の緒
私が、ナイフ(ケーキを切るための)を探していたときだった。
「なんかお前がおかしいと思うのは、俺の気のせいか?」
う、うん?
お母さん、何か口調が変わったような・・・?
いつもだったらつっこむ所だけど、今はそんな余裕が有るわけもなく、口からは間抜けた声しか出て来なかった。
「え?」
・・・・・沈黙が流れる。
「・・・あ、あれ?お母さん、ナ、ナイフどこにしまった?」
必死に話題を変える。
「ちゃんと答えてくれ」
「・・・えっ・・・・・と」
「やはり・・・」
「え?」
何が?
「やはり、犯人はお前だな!!!」
「・・・は?」
犯人?
「・・・なーんてね。推理ドラマの真似してみちゃったぁ、てへっ。叶もいいリアクションしてたよぉ。女優になれるね!」
お母さんの舌が、唇から頭を出す。
プチッ。
「?今の音何だろ」
私の頭の中から、何かがぷつりと切れる音がした。
「んな・・・」
「え?」
それは・・・
「そんな事言われても嬉しくねぇええええ。っていうかややこしい事すんなああああああ」
・・・堪忍袋の切れる音だった・・・。