表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/24

里歌

「ひ、被害者・・・?」

私が、おそるおそる訊く。

「そう。ほら、香奈恵ちゃんの座っている席はどうして空いてたと思う?」

「先生が・・・用意してくれたんでしょ・・・?」

「ちがう」

東尾健吾が、ゆっくり首を振る。

「もしかして・・・」

「その『もしかして』だよ。そこに被害者が一週間前、座っていたんだ。座っていた子、俺の彼女なんだ」

東尾健吾が、ふっと哀しそうな表情を見せる。

「・・・里歌っていってさ、強気で笑顔がカワイイ子だった。俺が、里歌の異変に気づいたのは彼女がノイローゼになるくらいに、追いつめられて弱って来たころだった。部屋に閉じこもってさ、出てこねぇからメールしたら、なんて書いてあったと思う?」

「・・・わからない」

「『助けて』それだけだった」

「・・・・・」

「俺、不安になって電話してさ、出てこいっつってんのに、でてこないんだ。だから、もうあきらめて電話越しで話した」

「なんて言ってた・・・?」

「『こわい』って。『ヴァンパイアに殺される、助けて』って。里歌の話によると、初めに『学校に住め』ってメールが来たそうなんだ。最初は悪戯かと思って消去してたけど、なんかがきっかけで、信じ始めたらしい」

「なんかって・・・・・?」

「それが俺にもわかんねぇんだよ。俺が訊いたら、里歌は答えてくれなかった。『話したくない』『思い出させないで』の一点張りで、何かにおびえてるみたいだった。俺があの時、里歌の部屋に無理矢理でも乗り込んでてたら、今ここに里歌はいたのかな・・・」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ