被害者
「ねぇねぇ、香奈恵ちゃんってさこの学校の怪談、知ってる?」
休み時間、東尾健吾が話しかけて来た。さっきちょっかいかけてきた男の子だ。
名前の事は、もう面倒くさいので修正しようとは思わなかった。
それにしても・・・そんな事、今日来たばっかりなのに、知るわきゃないでしょっ!!
東尾の話は、私の返事も聞かず、続く。
「あのね、学校にヴァンパイアがいるんだっ」
「あっそ・・・」
何言ってるの、こいつは。
ん?学校にヴァンパイア・・・・・・?
どこかで、聞いたこと、見たことのある組合せだが・・・。
・・・そうだ!あのメールと手紙だ。名前は『ヴァンパイア』、内容は『学校に住め』。
「そんでね、招待状が届いて内容は・・・何だと思う・・・?『学校に住め』だよ。ヴァンパイアの言う通り学校に住むと、願い事を一つかなえてくれる代わりに死後の魂を渡さなければならない・・・。言う通りにしないと、一週間以内にヴァンパイアに血を吸われてお陀仏さ」
ぇぇ?!
私もそうなるの・・・?
恐怖で、足がすくむ。
だが、東尾は気づかないのか話し続ける。
「そ、そんなの・・・嘘に決まってん・・・でしょっ・・・」
必死に言葉を紡ぐ。
私が怖がっているのを、楽しんでいるのか、東尾はにやっと意地悪な笑みを見せた。
「って思うでしょ。でも、ちがうんだ。被害者が、いるんだよ」