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お隣さん
ピーンポーン
私とお母さんは、お隣さんの部屋の扉の前に立っている。
「でないなぁ。・・・留守?」
「もうよくない?きっと留守だって!!早く帰ろ」
「もうちょっと・・・」
粘る私。
ピーンポーン
これで二回目。
すると、薄汚れた灰色の扉がゆっくり開いた。
そして、開いた扉の向こうには、青年が立っていた。
「あの、隣に引っ越して来た緑川ですっ」
私が、お辞儀した。
青年は、高校生くらいで、ひょろっとしていて薄汚かった。瞳は濁っていて、どこか生ゴミのような匂いが漂っている。
「お、お一人で住んでらっしゃるんですか?!」
青年の異様な雰囲気に、私は少し後ずさりした。
なにか、怪しい雰囲気というか近寄るなという雰囲気というか、思わずひるんでしまうような言葉にできない雰囲気を漂わせているのだ。
「そんなの、お前に関係ないだろう?」
青年は、ばたんと勢い良く扉を閉め、私と会話する事を拒否する様に、灰色の扉の向こうに姿を消した。