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前途多難
「ここが、新しい家かぁ!!」
「こんなの・・・」
お母さんが、未だぶつぶつと文句を言っている。
私はそれを無視して、アパートの部屋に入った。
借金も少ししたし、狭い部屋だけれども、何とか先がみえてきたよ。
「なにこれぇ、畳が腐ってるよ」
お母さんが、眉をしかめる。
「そこ、文句言わない!」
こんなアパートでも、借りられただけマシだよ。
「あ、そうだ。仕事は探してる?」
私が言ったその瞬間、お母さんが目を見開いた。
「わ・・・すれてた」
「えぇ?!!ちょっ」
「だって、学校のことで頭いっぱいだったから・・・」
「もう・・・・・借金もしてるのに月十万なんて払えないよぉ・・・」
「だいじょうぶ!!お母さんに任せて」
お母さんが、自信満々の笑みで胸を叩く。
「やっぱ、学校に住もうよ」
「しつこい!!ダメって言ったでしょ」
「・・・じゃあ、盗み?銀行強盗でもする?」
はぁ・・・何でそうなるの?
やっと見えた希望の光が消えて行くよ・・・。
前途多難、本当にこの言葉が私たちの生活に似合うなぁ・・・。